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〜若手従業員の離職対策〜 起こすべき2つのアクション

公開日

この記事でわかること

  • 若手を中心に離職者が増えている一方、実は転職を後悔している人も多い
  • 後悔が生まれる離職を防ぐアクションは、「キャリアの棚卸し」と「メンタル不調の予防」
目次

多くの企業で若手従業員の離職が課題になっています。厚生労働省によると就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が37.0%、新規大卒就職者が32.3%と、およそ3人に1人が3年以内に会社を辞めています。
現状の改善には、どのような取り組みを進めればよいのでしょうか。今回は、SmartHRが毎月開催するウェビナー『月刊SmartHR』より、若手従業員の定着を成功させるポイントをお伝えします。
※出典:新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します(厚生労働省)

離職者の本音

若手を中心に離職者が増えている一方、実は転職を後悔している人も多いことがわかっています。3年以内に転職を経験した20代〜50代の男⼥1,000⼈を対象にした調査によると、59.7%の人が転職先の企業に⼊社してから「後悔・失敗した」と思った経験があります。理由としては「給与が思ったより上がらなかったこと」や「組織の風土が合わなかったこと」が挙げられています。

20代〜50代の男⼥1,000⼈を対象に転職先の企業に入社して後悔・失敗したと思ったことがあるかを聞いた調査の結果を示した円グラフ

※出典:転職による幸福度の実態を調査(株式会社識学)

会社としては活躍を期待して採用した従業員に辞めてほしくない。しかしながら従業員は辞めてしまい、転職先では「前の会社のほうがよかった」と後悔している。つまり、会社と従業員の間で「不幸なお別れ」が生まれているのです。

比較的はじめやすい取り組みがある

会社と従業員の間で発生する「不幸なお別れ」を防ぐには、そもそもの退職理由から逆算し、従業員が求める環境を整備する必要があります。

新卒入社3年以内に離職した20代の男女330人に退職理由を聞いた調査では、1位に「自身の希望と業務内容のミスマッチ」、2位に「待遇や福利厚生に対する不満」がランクイン。その後は「キャリア形成が望めないため」「長時間労働のため」と続きます。

多くの退職理由が混在していますが、これらすべてを今すぐ対応するのは難しいのが現実です。たとえば待遇や給与、労働時間に関しては、ビジネスモデルに関わる領域でもあり、いち担当者が「すぐに対策しましょう」といって取り組むのは難しい場合もあるでしょう。

一方で、比較的対応しやすい要因もあります。それが下図の赤枠で示した「キャリアサポート」と「メンタルヘルス」に関する領域です。では、具体的にどのような取り組みを進めればよいのでしょうか。

新卒入社3年以内に離職した20代の男女330人に退職理由を聞いた調査の結果を示したグラフ

※出典:新卒入社3年以内離職の理由に関する調査(アデコ株式会社調べ)

今すぐやるべき2つのアクション

キャリアの棚卸し機会を提供

退職理由に「自身の希望と業務内容のミスマッチ」や「キャリア形成が望めない」の項目があることから、社会人経験の浅い若手従業員は自身の目指すキャリアと現状のギャップに課題を抱えていると考えられます。だからこそキャリアサポートが必要不可欠です。

「会社で働き続けるとこんな将来がある」「希望するキャリアに向けてこのようなステップを踏めば実現するよ」と伝えることで、若手従業員が自身の将来を明確にイメージできるようになり、モチベーションの向上やキャリアの充実につながります。キャリア充足度とエンゲージメントスコアの高さには相関関係があることからも、こうしたキャリアサポートは従業員の会社への帰属意識を高め、人材の定着・組織の活性化に効果的です。

具体的なアクションとしては、各期で従業員のキャリアについて棚卸しの機会をもつことです。従業員の将来プランに対するギャップを整理し、将来に向けて今やるべきことを明確にするとともに、具体化した課題や行動を従業員に理解・納得してもらうことがポイントです。

メンタル不調を未然に予防

退職理由のなかにも「上司や同僚との人間関係によるストレス」が挙げられていました。メンタル不調は人間関係や仕事の量などの職場のストレス要因と個人的要因、プライベートの要因などが積み重なって起こります。不調から仕事を休職された従業員の約4割は職場復帰後に退職しているデータもあるように、状態が悪くなってからの対策だけでなく、状態が悪くなる前からの対処が求められます

具体的なアクションは、サーベイやストレスチェックなどで従業員の状態を把握するとともに、打ち手を確実に実施することです。

たとえば下図は、ストレスチェックや産業医との連携などを誰に対して何を目的に実施しているかを示した図です。右に行くほど重症化した方への対策であり、点線の上部は従業員の状態を把握する手段、下部が打ち手です。多くの会社で散見されるのが、ストレスチェックなどで把握のみを実施して終わりのケースです。従業員の状態を把握しているものの、それに対する打ち手を打てていないのです。

メンタル不調を未然に防ぐには、早期発見と早期対応、復職支援が重要であり、辛く感じたら助けてもらえる、相談できると安心できる環境づくりが非常に大切です。そのためには、1on1の実施や社内相談窓口の開設などの打ち手を必ず実施しなければいけません。

従業員の状態を把握する手段と把握した状態に対する打ち手を縦軸。従業員の状態を横軸に起き、把握と打ち手の実施例を示した図

従業員個人の課題にもアプローチが必要

離職対策において「キャリアの棚卸し機会の提供」と「メンタル不調を未然に防ぐ」ことの必要性と具体的なアクションをご紹介しました。従業員のメンタル不調に関しては、把握と打ち手を「個人と組織の両軸から対応する」ことも大切です。

たとえば人間関係の悩みは、「個人的な人間関係に起因する悩み」と「会社や部門間との関係性に起因する悩み」の2つに大別されます。組織の課題・個人の課題の両軸でのアプローチは、従業員のメンタル不調を防ぎ、離職の防止につながります。

組織に関わる課題と個人に関わる課題それぞれの解決手段を示した図

SmartHRでは、「従業員サーベイ」で従業員の声を収集し、従業員の状態を把握できます。また、グループ会社のSmart相談室には、カウンセリングやコーチングのプロが多く在籍しており、従業員からのキャリア形成における相談受付や、アドバイスを行う法人向けの相談窓口を提供しています。

社内では相談しにくい内容でも気軽にご相談できるので、従業員のメンタルヘルスケアにつながり、離職対策に有効です。メンタルヘルス対策の現状や企業が進めるメンタルケアについて知りたい方は、ぜひ次の資料もご確認ください。

お役立ち資料

効果的なメンタルヘルス対策とは? 離職・休職につながるメンタルヘルス不調と対策の実態

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