Q:ネガティブなことをフィードバックしたいが、どうしたら聞く耳を持ってくれる?【人材マネジメントQ&A】
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少子高齢化が進む現在では、優秀な人材を採用・確保・育成するために、人材マネジメントの重要性はますます高まっています。この企画では人事担当者が見えにくい「マネジメントの悩み」を人材マネジメントのプロが解説。ビジネスの現場でマネージャーが抱える課題に効果的なヒントをご紹介します。
今回はZホールディングス株式会社 Zアカデミア 学長の伊藤羊一さんに、メンバーへのフィードバックのコツをご回答いただきました。
A:「GOOD→MOTTO」の公式で改善点を伝えていきましょう
これは公式みたいなものがあります(笑)。
フィードバックの目的は、メンバーの観察結果やファクトを伝えて、相手に気づきを与えることです。私は、ファクトを伝えた後のフィードバックを「GOOD」「MOTTO」と呼んでいます。
フィードバックは、期末の評価だけではないですよね。会議やプレゼン、取引先へ行くなど、日頃の仕事のなかで、その都度フィードバックしていきましょう。
「あなたはこのときこうだったね」と事実を伝えた後、「この点はよかった」とGOODポイントを伝える。GOODポイントを伝えると、「見ていてくれているんだな。ありがたいな」とメンバーは思ってくれます。一方で、ファクトを伝えるだけでは、メンバーは成長していきません。改善点を話すことがネガティブなフィードバックですよね。
ダメ出しではなく「こうすると、もっとよくなる」と伝える
「これがダメなんだ」と伝えるだけでは、メンバーも嫌がりますよね。私も言われるのは嫌です(笑)。ダメ出しをするのではなく、「こうすると、もっとよくなるよ」という伝え方をすると、聞く耳を持ってくれます。
ポイントはよい点も必ず伝えること。日本のビジネスパーソンは、恥ずかしがってよい点を伝えないこともありますが、たくさん伝えるべきなのです。「これがよかった。でもこうすると、もっとよくなるよ」と伝えるだけで、意味のあるフィードバックになるんです。フィードバックをメンバーも「もっとフィードバックしてください」となってきます。
そもそものスタンスがネガティブで、対立姿勢にあるからフィードバックを受け入れなかったり、会話を受け入れなかったりする場合は、人間関係がまだできていないことになります。フィードバックする前に、信頼し合える人間関係をきちんと構築して、雑談ができる状態にする。フィードバックの前段階として、これは非常に大事です。
雑談ができるような関係でも、ネガティブな場合でも、メンバーが愚痴を言ってくれるようになった場合はしめたものです。
メンバーがポジティブに考えるように導く
まずは、信頼関係を築くために、たくさん話を聴くようにしましょう。愚痴をずっと話していると、話しているメンバーも飽きてきます。その段階の次はコーチングですね。
メンバーが愚痴をひとしきり言い放ったら、「それはどうしたらいいと思う?」と聞いてみる。ポジティブに考えるように仕向けていくことが重要です。
ベースのマインドセットがネガティブになっていると、フィードバックしても改善につながりません。雑談ができるような関係になって、愚痴を聴きながら「どうしたらいいと思う?」とポジティブなマインドに持っていって、話ができる状態にする。そこから「GOOD」「MOTTO」の公式に当てはめていきましょう。