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人事評価におけるフィードバック【ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ人事が語る、人事評価制度 #3】

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Great Place to Work Institute(GPTW)が主催する2022年「働きがいのある会社」ランキングベスト100に選出された(中規模部門:従業員100~999名部門で第8位)、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ。

プロジェクトファシリテーションとITを軸に、経営戦略検討からIT導入までを支援するコンサルティングファームとして、企業の変革プロジェクトの成功に貢献しています。

今回はHRの渡辺歩さんに同社の人事評価制度について伺いました。全4回となるインタビュー企画、第3回のテーマは「人事評価におけるフィードバック」です。

エラーや不納得感を防ぐ仕組み

評価システムと説明責任のカルチャー

ケンブリッジでは、評価エラーや不納得感に対して明示的には取り組んでいません。しかし、それらを防ぐ仕組みは存在しています。

まず評価者は、コンピテンシー、職位ごとの期待値と照らし合わせて、ロジカルに評価を回答する必要があるので、「なんとなく真ん中でいいな」「なんとなくいい感じだな」では評価をつけられない構造になっています。

さらに、「評価者に説明責任がある」というカルチャーが大きく影響していると考えています。

評価者に関しては、メンバーの育成は自分自身の評価にも関わっています。育成に関心がない人であっても、聞かれたら答えなければならない、説明責任を果たすものであるという意識は一貫していると思います。

以前はアップワードレビューという、メンバーがPM(プロジェクトマネージャー)に対し行うレビューの仕組みがあり、PMが自分のマネジメントを客観的に見直す機会としていたのですが、形骸化してしまっているので、もう少しなんとかしたいなと思っています。

最も大切なのは、日々のフィードバック

評価エラーや不納得感を防ぐ仕組みとして、評価システムやカルチャーも大事なのですが、最も大切なのは日々のフィードバックだと思っています。

評価のタイミングでサプライズが出てしまうのは避けるべきことです。日々認識のズレを細かく合わせていくことが大事で、毎日のフィードバックを積み上げていけば、自己評価・他者評価の溝は自ずと埋まっていくものと考えています。

フィードバックは「アドバイス」と捉えられがちですが、弊社ではもう少しフラットな意味合いを持っています。ケンブリッジでは、自分たちの行動を少しでも良くしていくために、思ったことを正直に相手に伝えるようにしています。

フィードバックとは、相手の成長を願い、具体的な行動レベルで良い点、改善点を伝えること。当社では、フィードバックを個人の成長を加速させるツールとして重視していて、「フィードバックは贈り物」とも言われています。

日々のフィードバックの運用方法

フィードバックの考え方

評価をサプライズにしないためには、日々の細かいフィードバックが先にあり、評価はそのまとめであるべきです。

一番良くないのは、自分では評価が高いと思っていたのに、四半期評価のタイミングで自分が思ったより低い評価を受けることだと思います。

フィードバックにルール的なものはあまりなく、世の中で言われているフィードバックよりも、かなりカジュアルに行われています。

例えば、会議が終わったタイミングで「最後にチェックポイントをやりましょう」と、その場でお互いに感想やフィードバックをシェアします。チェックポイントというのは、短時間で行う、振り返りのためのミーティングです。会議の最後に、進め方の良い点、改善点などを言い合って会議の質を高めたりします。

「さっきのファシリテーション、途中でだいぶ静かになりましたが、どう思いますか?」「参加者の皆さんにじっくり考えてもらう時間が必要だったので、あれで良かったと私は思います」といった感じでやりとりします。評価という意味合いの濃いフィードバックというよりは、単純に「私からはこう見えた」「こうするといい思うよ」という振り返りをかなりカジュアルにやっています。

メンバーからPMに対しても「あの言い方は少しお客さまが怖く感じてしまうと思います」と言ったりしますし、「あのときの発言ってどういう意味があったんですか?」と聞いて、理解を深めたりもします。

当社には、常に立ち止まって振り返る習慣があります。それが会議単位だと先ほどのチェックポイントですし、1日の終わりに振り返ることもあります。週次チェックポイントもありますし、3か月単位になると先述したサンセット・ミーティングになります。日々フィードバックすることで、評価エラーや不納得感を防いでいます。

事あるごとに立ち止まって、振り返って、次につなげるというのがケンブリッジの仕事の進め方です。なので、逆にいうと、うまくいっていないプロジェクトは、大抵振り返りをやっていないという経験則があります。基本がなおざりになっているのです。

フィードバックをうまく伝える工夫

一方で、フィードバックを多くもらう環境なので、入社してフィードバックを受け入れるのに苦労するメンバーもいます。

ある新入社員は、入社した直後「なんでみんな、俺に対してこんなに指摘してくるんだろう」と悩んでいる様子でした。ですが、その後に本人の中でフィードバックの捉え方に変化があり、「周囲は自分を攻撃する意図はなく、コトに向かって発信しているだけ。自分が勝手に攻撃性を見出しているだけだった」「今では言葉をそのまま言葉通りに受け止められるようになった」とポジティブに受け止められるようになっていました。この話はすごく印象に残っています。

フィードバックはストレートにわかりやすく伝えたほうが良いですが、言い方や伝えるタイミングは気をつけるべきだと思います。特に、伝えやすい関係性を構築することはとても大事です。それを怠ると言葉の暴力、場合によってはパワハラに発展しかねないと思います。ここのバランスは難しいですが……。

世の中ではリモートワークが普及して、人事評価の難易度が上がったという話もありますが、当社ではあまりそういう実感はないです。これまでファクトベース、つまりコンピテンシーと職位ごとの期待値を照らし合わせて評価をしてきたので、「リモートワークで普段の動きがあまり見えないから評価しづらい」という声は上がっていないです。

以前から、Slackでのレビュー依頼の内容や、Zoomで見るドキュメントの品質などでメンバーの動きを判断をしていたので、それがリモートになったからといって、動きがわからなくなる、ということにはなっていないです。

評価内容を伝えるフィードバックは対面 or オンラインで

事実認識、認知、解釈まですり合わせて、双方が納得のいく評価を目指す

評価内容を伝えるフィードバックも、ルールは特に定めていません。また、オフィシャルには特に事後フォローもしていません。評価の場面でフォローしても遅く、日々のフィードバックでフォローする方が大事だと考えています。

気をつけているのは、評価を渡す際はシステム上の通知で済ませず、対面 or オンラインで互いに読み合わせるようにすることです。事実認識から認知・解釈まですり合わせ、双方が納得のいく評価を目指しています。

例えば、プロジェクトレビュー(プロジェクトの節目に、PMがメンバーの評価をすること)の人事評価には、ファクトしか書かれていません。「あのときのセッションで、こういう状態でフォローを必要とした」などと詳細に書かれており、ぐうの音も出ないような内容になっています。つらい人もいると思います。私も昔つらかったです(笑)。

ですが、人事評価に自分の改善点が書いてある状態なので、「次の期は何を頑張ろうか?」ということが話しやすいと思います。自分の足りないところが明確にわかるから、次の努力目標も見えやすくなります。

とはいえ、年次評価でも揉めるケースもあります。現在の評価制度は完璧ではなく、みんなで試行錯誤しながら運用しています。制度通りにやっていればさらさら回る仕組み、というわけではないなと日々実感しています。

次回は納得感・公平感のための工夫について解説していきます。

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