フィードバックの意味や効果とは? 人材育成に不可欠な施策を解説

ビジネスにおけるフィードバックとは、従業員の言動や問題点などを指摘することを指します。フィードバックによって、従業員の成長を促せるだけでなく、モチベーションアップや維持にもつながります。本稿では、フィードバックの意味や効果、手法などについて解説します。

フィードバックの意味や効果とは? 人材育成に不可欠な施策を解説

フィードバックとは

近年、日本企業においても従業員へのフィードバックを重視する企業が増えています。なお、フィードバックという用語はさまざまな分野で活用されています。それぞれ意味が多少異なりますが、本稿では、ビジネスにおけるフィードバックについて紹介していきます。

フィードバックの意味

フィードバックは英語で「feedback」と表記し、帰還や反応といった意味があります。心理学やシステム工学などでもよく用いられる言葉であり、ビジネス用語としても使われています。

フィードバックの意味と目的

ビジネスにおけるフィードバックとは、従業員の言動への指摘や、実施した評価の伝達を指します。従業員との対話のなかで「あの点はよかった」「あそこが問題だった」などと指摘することで、今後の行動改善やモチベーションアップにつなげます。

近年、企業でフィードバックが注目されている理由として、コミュニケーション不足が挙げられます。リモートワークの普及やマネジメント層の業務領域拡大など、さまざまな理由によってコミュニケーションが不足しています。

コミュニケーション不足による情報共有の阻害や、相手への理解不足などを回避する手法として、フィードバックに注目が集まっています。また、雇用形態や価値観の多様化、人材育成に有効な点などもフィードバックを重視する企業が増加した理由と考えられます。

フィードバックの種類

フィードバックの種類として、相手のよい点を抽出して評価する「ポジティブフィードバック」と、改善点を指摘して成長を促す「ネガティブフィードバック」の2つがあります。それぞれ期待できる効果が異なるため、双方の違いを正しく理解しておかねばなりません。

フィードバックの種類、ポジティブフィードバック、ネガティブフィードバック

ポジティブ・フィードバック

ポジティブ・フィードバックとは、相手のよい点を抽出してメッセージを送ることです。業務において優れている点やよいと気づいたところ、今後も継続してほしいことなどを伝えます。従業員のモチベーションを高めたいときや、自信をつけさせたいときなどに有効です。

対話のなかで肯定的なメッセージを伝える点が特徴です。相手のことを否定せず、具体的によかった点、優れている点などを伝えることで、従業員は前向きな気持ちが生まれます。自分のやってきたことが間違いではなかったと認識でき、より意欲的に業務へ取り組んでくれる可能性が高まります。モチベーションや自信が高まれば、従業員はもっと成長したいと考えるようになり、さらなる活躍が期待できます。

ネガティブ・フィードバック

ネガティブ・フィードバックとは、業務における言動の問題点や改善すべき点などを指摘することです。「顧客への対応が乱暴だった」「業務の進め方に問題があった」など、上司が気になったところを具体的に指摘し、従業員の成長を促します。

従業員が何らかの問題を抱えたまま業務を遂行しようとすると、より大きなトラブルに発展しかねません。企業にとっても損失となるおそれがあるため、適切な対処が必要です。そのために必要なのがネガティブ・フィードバックです。

ただ、ネガティブ・フィードバックは、従業員にとってあまり気持ちがよいものではありません。「自分の仕事ぶりを否定された」「自分はダメな奴だ」と落ち込ませてしまうおそれがあります。

伝え方次第ではモチベーションが大幅に低下し、最悪の場合は離職につながりかねません。優秀な人材を失ってしまうのは、企業にとって大きな損失なので、問題点を指摘する際には細心の注意を払う必要があります。

フィードバックの目的

フィードバックの主な目的として、人材育成が挙げられます。適切な指摘は従業員の糧となり、成長を促せます。また、目標達成への道のりをスムーズにすることもフィードバックの目的です。

(1)人材育成

適切なフィードバックは人材育成に有効です。マンツーマンでの対話であれば、部下は周りの目を気にすることなく相談でき、上司はヒアリングした内容から具体的なアドバイスが可能です。

部下に成長してもらうには、現状を正確に把握しなくてはなりません。ただ、通常業務のなかで部下の現状を把握するのは難しい可能性があります。一方、定期的にフィードバックの機会を設ければ、部下の現状を正しく把握でき、そのときどきにあわせてアドバイスできます。

また、自分自身に何が足りないのかを、理解できていない従業員がいるかもしれません。このような場合は、上司の指摘で理解を深められ、成長を促せるのもメリットです。

(2)目標達成

掲げている目標の達成を目指してまい進していても、スムーズにゴールへたどり着けないケースは珍しくありません。「何をすべきか、わからなくなった」「この方法で本当に正しいのかわからない」となるケースは往々にしてよくあります。

このようなケースにおいてフィードバックは有効です。「今何が足りないのか」「どうすれば目標達成へスムーズに近づけるか」を示すことで、スムーズに目標達成へと近づけます。

また、部下が目標達成の遠回りになるようなことをしている場合も、適切なフィードバックによって軌道修正させられます。軌道修正によって無駄なまわり道を回避でき、効率的に目標達成へ向かって突き進めます。

ビジネスにおけるフィードバックの効果

ビジネスにおけるフィードバックの効果として、従業員のモチベーション向上や維持が挙げられます。また、自分が何をすべきか、どのように業務を進めるべきかが理解でき、組織の生産性も高まります。

(1)モチベーションの維持・向上

フィードバックを受けることによって、従業員は具体的に何をすべきかが明らかになり、モチベーションが高まります。仕事に対して前向きになり、より意欲的に業務へ取り組んでもらえるようになるでしょう。

また、適切な指摘によって従業員が小さな成功体験をいくつも積み重ねれば、それが自信につながります。自信がなかった従業員も、自信をもって業務に取り組めるようになり、今まで以上の成果を生み出せるようになるかもしれません。

ほかにも、上司と部下の信頼関係強化につながるのもメリットです。定期的にマンツーマンでフィードバックする機会を設けることで、コミュニケーションが円滑になり、信頼関係の強化につながります。

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(2)生産性の向上

フィードバックによって、従業員は効率的に業務を遂行できます。問題点を速やかに改善でき、どうすればより効率的に業務を進められるかも理解できるためです。

業務に何かしら問題があっても、フィードバックによって軌道修正できれば改善につながります。業務がより効率化されていき、限られた人員で今までと同じ、もしくはそれ以上の成果を生み出せるようになるかもしれません。

フィードバック時の注意点・ポイント

フィードバックを実施する際には、できるだけ具体的に伝えることを重視しましょう。また、主観的な意見ではなく客観的な事実を伝える、記憶に残っているうちに伝えるといった点も大切です。

フィードバック時の注意点・ポイント

(1)具体的に伝える

フィードバックするときは、できるだけ具体的に伝えることを意識しましょう。抽象的なメッセージでは従業員が理解できず、具体的に何をどうすればよいのかもわかりません。その場では何となく納得してくれても、実際の行動に反映されず改善にもつながらないでしょう。

従業員の行動につながらないフィードバックに意味はありません。お互いの時間も無駄にしてしまうため、「どこに問題があるのか」「それによって何が起きているのか」「どうすれば改善できるのか」などを具体的かつわかりやすく伝えましょう。

適切な表現を用いることも大切です。従業員の社歴や業務の習熟度により、表現によっては理解できない可能性があります。相手が新入社員であれば、なるべく専門用語や難しい言い回しを使わないなどの配慮も求められます。

(2)客観的に伝える

フィードバックを実施するときは、客観的な事実を伝えましょう。伝える側の主観的な意見をフィードバックしてしまうと、従業員に不快感を与えたり、モチベーション低下につながったりといったおそれがあります。

たとえば、「ミスをするのはあなたに協調性がないためです」や「あなたには危機意識が足りていません」といったフィードバックです。どちらも主観的な意見であり、受けた側は少なからずショックを受ける可能性があります。

とくに、人間性を否定してしまうようなメッセージを伝えないように注意が必要です。人間性ではなく、相手の行動に対して客観的に指摘、評価することを心がけましょう。

(3)記憶に残っているうちに伝える

適切にフィードバックしても、相手の記憶に残っていなければ効果が薄れてしまいます。伝えられた側が、「そんなことあったかな?」といった状況では、いくら丁寧に指摘をしても、そのときの状況を思い出せず、言動の改善にもつながりません。

従業員の言動に関して気になることがあったのなら、できるだけ早いタイミングでフィードバックを実施しましょう。時間の経過にともなって人の記憶は曖昧になっていくため、相手が覚えているうちに行動を起こすことが大切です。

時間が空きすぎてしまうと、部下だけでなく指摘する側の上司も記憶が曖昧になってしまうおそれがあります。その結果、適切なフィードバックができず行動の改善にもつながらない、といったことが起こりかねません。

フィードバックにおける3つの手法

適切にフィードバックを行うのに、どのような方法で実施すればよいのかわからない、といった方も少なくないでしょう。フィードバックの手法には、サンドイッチ型やSBI型、ペンドルトンルールなどがあります。それぞれに特徴があるため、そのときどきの状況にあわせて使いわけるのもよいでしょう。

サンドイッチ型

サンドイッチ型とは、ポジティブな言葉でネガティブな内容を挟んで伝える手法です。ネガティブなフィードバックは、伝え方を誤ってしまうと従業員のモチベーション低下につながります。サンドイッチ型の手法であれば、ネガティブな点が強調されずに済むため、このようなリスクを回避できます。

具体的には、まず褒められる点を相手に伝えます。次に、ネガティブな点を指摘し、最後にまた褒める言葉を伝えて終了します。「〇〇はとても評価が高かったですね。でも、〇〇については課題が残りました。〇〇は高評価なので、今後も頑張っていきましょう」といった具合です。

この手法であれば、問題点や改善点をやんわりと指摘でき、モチベーションの低下も回避できます。ただ、ポジティブな言葉で挟みこむにしても、ネガティブな内容があまりにも多いと効果が薄れるおそれがあるため、注意が必要です。

SBI型

SBIとは、Situation(状況)とBehavior(行動)、Impact(影響)の頭文字です。フィードバックを実施するときは、状況から行動、影響と順序だてて進めると相手に伝わりやすくなるため覚えておきましょう。

まずはどのような状況なのかを相手に伝え、そのうえで行動に関する指摘や評価を伝えます。最後に、その行動によって、どのような影響があったのかを伝えます。

フィードバックは、相手にきちんと伝わることが何よりも重要です。相手に伝わらず理解もされなければ、行動につながりません。相手にきちんと伝わるフィードバックを意識するのであれば、SBIの順序にしたがって内容を組み立ててみるとよいでしょう。

ペンドルトンルール

ペンドルトンルールは、フィードバックの対象となる人物に、自ら改善点を考えてもらう手法です。双方でコミュニケーションを測りつつ取り組み、従業員自ら「何が問題だったのか」「どうすれば改善できるのか」の答えを導き出してもらいます。

自ら答えを導き出そうと頭を回転させるため、従業員の成長につながりやすい点がメリットです。自ら改善点を見つけようとする癖がつけば、今後は自分自身で問題の抽出や改善策の立案もできるようになるでしょう。

適切なフィードバックこそが成長への近道

フィードバックは「ポジティブ・フィードバック」と「ネガティブ・フィードバック」があり、人材育成や目標達成のために実施します。適切にフィードバックすることで、従業員のモチベーションアップや維持につながり、組織全体の生産性向上にもつながります。

なお、フィードバックを実施する際には、できるだけ具体的かつ客観的に伝えることを意識しましょう。また、記憶が曖昧では効果が薄れてしまうため、お互いの記憶に残っているうちに伝えることも大切です。適切なフィードバックこそ、部下が成長する近道であるため、注意点を踏まえたうえで実践してみましょう。

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