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「健康経営」による持続的な組織づくり。基本から実践のヒントまで解説!

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目次

昨今、「健康経営」は、企業の生産性向上や企業価値向上につながる重要なキーワードとなっています。経済産業省の「健康経営優良法人認定制度」など、健康経営に取り組む優良な法人を見える化し、企業における健康経営の取り組みを他企業や金融機関が評価できる環境づくりが進んでいます。

キーワードとして注目が高まる一方で、具体的なアプローチや実態の伴った効果的な施策・手法はこれから浸透していく段階です。

本稿では、2023年8月28日に開催したセミナーをもとに、従業員の健康管理を経営的な視点で考える「健康経営」の理念から現場に即した施策まで、健康経営エキスパートアドバイザー・社会保険労務士である宮原氏にご解説いただきました。

宮原 麻衣子 氏

野嶋社会保険労務士事務所 健康経営エキスパートアドバイザー

2003年、メンタルヘルスの専門家である精神保健福祉士資格を取得し、精神科医療機関等で勤務。2015年に社会保険労務士登録、2017年に特定社会保険労務士となり、労働社会保険関係法に関する専門家として企業へのコンサルティング業務を担う。また精神保健福祉士養成の専門学校にて後進の育成に携わるほか、労務管理全般やストレスマネジメント等に関する研修講師、インターネット記事や専門誌の執筆を行う。一般社団法人産業福祉健康協会代表理事、健康経営エキスパートアドバイザー、両立支援コーディネーター。

健康経営とは、人を「資本」を捉える経営

健康経営とは「人」を「資本」と考え、その「資本」を活性化し、企業が成長していくための取り組みです。法令遵守、働きがいや生きがいの創出までを含んだ概念です。

健康経営の概念図。「労働安全衛生」「心と体の健康づくり」といった土台となる健康づくりにまず取り組み、その上に「働きやすさ」「働きがい」「生きがい」という人を資本として新しい企業価値を創造するための投資をすることが健康経営である。そしてそれらは経営者の倫理観に基づく経営戦略がベースとなっている。

健康経営が重視される背景には「人材不足」があります。帝国データバンクが実施した「人手不足に対する企業の動向調査(2023年7月)」によると、「正社員が不足している」と感じている企業は、過去最高の51.4%となっています。この人材不足社会を乗り越えるためには、従業員を「使うとなくなる資源」として扱うのではなく、「投資をすればより大きな成果を上げてくれる資本」と捉えることが非常に大事といえます。

従業員の健康への取り組みは、企業発展を支える「土台」への「投資」

健康経営は、人的資本・従業員の健康に対する投資から始まり、それらが経営課題解決に向けた組織体力の向上・組織活性化に繋がり、最終的に企業の業績向上や企業価値向上をもたらすことを示した図。

上図は、人を「資本」と捉えた健康経営への取り組みにより、起こる変化やゴールを表しています。ここで重要なのは、従業員の健康に向けた取り組みは「コスト」ではなくリターンが返ってくる前提の「投資」と捉えることです。リターンとは業績向上や企業価値の向上、社会によい変化を与えることを指します。

企業を「お城」に例えて説明します。企業の発展は、武将の権威を示す天守閣に置き換えられます。一方、お城の土台になる石垣が欠けてしまうと、天守閣は崩れてしまいます。武田信玄は「人は石垣、人は城」という言葉を残しています。同じく企業も、支える従業員によって成り立っています。従業員が職場に定着し力を発揮することで、企業が発展していくのです。

プレゼンティーイズムとアブセンティーイズムについてまとめた図。内容は本文中に記載。

従業員が、出勤はしているものの何らかの心身の不調があり、フルパワーで仕事ができていないという状態を「プレゼンティーイズム」といいます。たとえば、花粉症でくしゃみばかりしている、薬を飲んで眠い、肩が凝っている、頭が痛い、寝不足などの不調です。対になる言葉として、仕事を休んでいる状態を指す「アブセンティーイズム」があります。

企業が従業員の健康に対して負担するコストを比較したとき、アブセンティーイズムのほうが大きいイメージがあると思います。しかし実は、プレゼンティーイズムにより生産性が低下している状態に、健康関連総コストの4分の3以上がかかっているといわれています。1時間で10の仕事をしていた人が、何らかの心身の不調で1時間に7の仕事しかできない場合、残りの3は企業の損失(コスト)となるためです。

健康経営を通じて責任を果たす企業が、社会の信頼・信用を得る

企業が果たすべき役割をまとめた図。本文中にも記載。

「企業が果たすべき役割」という観点からも健康経営を考える必要があります。企業は利益を上げるのみではなく、さまざまな方面に対して責任や役割を果たさなくてはいけません。「法令遵守」により従業員の安全を守り、「CSR」の考え方をもって社会に対する責任を果たすことも、健康経営の1要素です。

就活生とその親が回答した「将来どのような企業に就職したいか(させたいか)」というアンケート結果において、両者ともに「従業員の健康や働き方に配慮している」という回答がトップであるデータ。

また、このグラフは、就活生やその親が会社を選ぶ際に、給与水準よりも従業員の健康や働き方への配慮を重要視している人が多いという統計結果です。

企業の取り組みは社会から大きく注目されています。昨今ではSNSの発展により評判が瞬時に広がるようになり、就職活動にも影響を及ぼします。企業がステークホルダーからの信頼を得るためには、社会に対して自信をもってアピールできる取り組みの実践が重要となっています。

「健康経営優良法人認定」とは?有用性と留意点

健康経営優良法人認定の概要をまとめた図。

健康経営への取り組みを社会に表すものとして、「健康経営優良法人認定」があります。この認定を受けることを目的に、健康経営に取り組み始める企業も年々増加しています。2023年は、中小企業・中小規模法人で、約14,000企業が認定されました。

健康経営優良法人認定は1年ごとの認定で、認定を受けたい前年に申請する必要があります。(※1)

※1:記事公開時点で、2024年の認定申込みは終了しています。

「『ACTION!健康経営』ポータルサイト」に優良法人認定の具体的な取り組み、資料や申請書などの情報が網羅されていますので、ぜひアクセスしてみてください。

健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定要件をまとめた図。参考資料のリンクより閲覧可能。

(参考)健康経営優良法人2024(大規模法人部門)認定要件

参考として、2024年の認定を受けるための要件をご紹介します。認定は大規模法人と中小規模法人に分かれており、それぞれに要件があります。要件項目は健康経営を始める際の取り組みのヒントにもなるので、ぜひチェックしてみてください。

健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定要件をまとめた図。参考資料のリンクより閲覧可能。

(参考)健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)認定要件

国は、とくに中小規模法人の認定を推奨しています。補助金などを申請する際に優良法人認定を受けていれば、加点の対象になることもあります。そのようなインセンティブについても、ポータルサイトに詳しく紹介されています。

一方で、優良法人認定を受けることが目的となってしまうケースも懸念されます。本来恩恵を受けるべき従業員が置き去りになっている場合も多く、「現場のことは何もわかってもらっていない」という声も耳にします。

優良法人認定を受けることは非常に重要です。しかし認定の要件をクリアするだけではなく、従業員の役に立つ健康経営を実践し、長く活躍できる環境づくりにも目を向けることが重要です。その結果に、優良法人認定がついてくると考えるとよいでしょう。

​​健康経営を実践する5つのステップと7つのヒント

実践の5ステップをまとめた図。

ここからは、健康経営を実践するための具体的な取り組みを解説します。下記の5つのステップに従って進めるとよいでしょう。

ステップ(1):健康宣言の実施

経営方針として従業員が活躍できる環境整備に取り組むことを、方向性と共に経営トップ自らが力強く表明しましょう。

ステップ(2):実施できる環境の整備

健康経営を推進する担当者や期限、方法などを決めていきます。

ステップ(3):健康課題の把握

健康診断の結果や、アンケートの実施により、従業員が抱えている課題を把握しましょう。

ステップ(4):具体的な取り組み

具体的な取り組みの際には、従業員が興味を持ち、参加意識が高まる内容であると効果的です。また、従業員が健康を意識しやすい環境をつくるのも重要です。

ステップ(5):取り組みの評価

取り組みの実施中・実施後には、評価や効果測定をしましょう。離職率や働きがいなどに大きな変化がなくとも、評価により次の課題を見つけることが大切です。

健康経営オフィスの考え方をまとめた図。

さらに、具体的な取り組みを考えていくためのヒントをご紹介します。

健康経営に取り組み始める際に、もっていただきたい視点として「健康経営オフィス」という考え方があります。経済産業省が「健康経営オフィスレポート」という資料を出していますので、興味のある方はご覧ください。

レポートでは、健康経営につながる7つの要素が紹介されています。

  1. 体を動かす
  2. 適切な食行動をとる
  3. 快適性を感じる
  4. 健康意識を高める
  5. 清潔にする
  6. コミュニケーションする
  7. 休憩・気分転換する

まずは小さなステップから取り組みを始めてください。自社に合った範疇を超えた施策は継続が難しいため、取り組みやすい内容を同時進行でスタートしてみるのがよいでしょう。参加人数など、客観的評価が可能な取り組みをしてください。

健康経営を考えるための4つのテーマ

健康経営の取り組みとして検討するとよい4つのテーマをご紹介します。

(1)女性特有の健康課題・更年期障害への対応

女性特有の健康課題に関するデータをまとめた図。詳細を閲覧する場合は、経済産業省「健康エイエイにおける女性の健康への取り組みについて」平成31年3月のデータをご参照ください。

1つ目は、女性特有の健康課題への対応です。

たとえば経済産業省の試算によると、月経随伴症状による労働損失は、1年間で4,900億円あるといわれています。大きな労働損失を取り戻せる可能性がある一方、デリケートな話題であるために関わり方がわからない方もいらっしゃると思います。しかし女性が活躍するためには、男女問わず全社を挙げて正しい知識をもち、正しい働きかけを考え、取り組む必要があります。

また、女性特有と考えられがちな更年期障害は男性にもあります。更年期障害によって退職せざるを得なくなったことによる経済損失は、男女あわせて年間6,300億円といわれています。

(参考)“更年期ロス” 100万人の衝撃 離職による経済損失 年間6300億円 - NHK

本文中記載のNHKの記事に掲載されている調査データ。男女ともに、「症状や対処法について理解できる研修を希望する」回答が多いが、一方で女性の1割・男性の1/6は「職場の人に知られたくない」と回答。

上記は、自分が更年期障害になったときに、職場でどう取り扱ってもらいたかったかという調査結果です。ぜひ取り組みの参考にしてみてください。

(2)病気治療と仕事の両立

「働く世代のためのがんリテラシー向上プロジェクト」の概要を紹介した図。

2つ目のテーマは、病気の治療と仕事の両立についてです。医療の進歩により、がんは治療すれば仕事も続けられる病気となりました。しかしいまだに「がんは死んでしまう病気」だと考えている方も多く、望まない退職が多く発生しています。

国立がん研究センターが調査した、仕事と治療のために利用可能であった制度・利用したい制度の回答結果。ともに「時差出勤制度」「所定労働時間を短縮する制度」などが上位になっている。
国立がん研究センターが調査した、職場において病気の相談がしやすい雰囲気がある理由の回答結果。「上司や同僚の理解があった」が92.6%で飛び抜けて高い。

上記は、がん患者が回答した、仕事とがん治療を両立するために「あってよかった制度・あったらよいと思う制度」の調査報告です。仕事との両立に有効な制度があることや、相談窓口があること、上司や同僚に理解があることが大事なポイントとしてあがっています。従業員が望まない退職に至らないように働きかけるためのヒントとしてください。

(3)育児や介護と仕事の両立

仕事と育児の両立の障壁になる要素をまとめた図。「時間的制約」「精神的負担」「自身の健康状態」「高齢出産や不妊治療などその他の要素」などが記載されている。

3つ目のテーマは、育児や介護と仕事の両立です。出産によって仕事を続けることを諦めてしまう方は多くいらっしゃいます。最近は出産の高年齢化による体力的な問題や、親に子育てを手伝ってもらうことが難しいなど社会情勢の変化によって、課題が増えてきています。

経済産業省「健康・医療新産業協議会第8回健康投資WG」から引用したデータを複数掲載した図。

働きながら介護をしている「ビジネスケアラー」も増加しました。今後、超高齢化社会という前提がありつつ、育児と異なり先が見えないという性質から、介護のために「仕事を辞めざるを得ない」と悩む方が増えると考えられます。2030年には家族介護を理由とした退職による経済損失は、9.1兆円にのぼるといわれています。


今後は「育児休業制度」と同様に、「介護休業制度」を従業員に周知していくことが義務付けられる予定です。仕事と介護の両立は、健康経営の視点としてぜひ取り入れていただければと思います。

(4)メンタルヘルスへの課題

令和3年度版の傷病手当金支給件数の構成割合データ。「精神及び行動の障害」29%がトップであり、「新生物(ウイルス等と思われる)」19%を抜いている。

最後のテーマは、メンタルヘルスです。とくに近年は新型コロナウイルスによって働き方が変わったこともあり、人との関係性やコミュニケーションなど、さまざまな課題を抱える方が増えました。セルフケアと上司と部下の関係性のなかでケアするラインケア、そして事業場内外のさまざまな資源を活用したケアも大切です。

健康経営を実践する企業事例

実際のセミナーではご紹介しきれなかった「健康経営に取り組む企業事例」をご紹介します。

※2:事例はすべて『ACTION!健康経営』ポータルサイトから引用しています。

ホテルニューオータニ(大規模法人部門)

ホテルニューオータニは、お客さまと従業員両方の幸せを持続できるホテルを目指しています。「24時間356日営業のホテル業界で、健康経営に取り組むのは無理だ」という声もありながら、従業員のためにさまざまな健康施策を推進し、2019年度にはホテル業界で初めて健康経営優良法人認定の大規模法人部門「ホワイト500」に選出されました。

具体的な取り組みとしては下記が紹介されています。

スマートミール

「健康」と「食」は深くつながっていると考え、従業員食堂のメニューとして、スマートミール(健康づくりに役立つ栄養バランスのよい食事の通称)を提供しています。小鉢の種類を増やし、従業員自身が選べる形式とすることで、従業員が受け入れやすい形にしています。従業員への栄養バランスの意識づけや食生活改善に向けたきっかけの提供につながっています。

女性の健康に着目した取り組み

上長の男性に向けたeラーニング研修で、女性の健康について研修を実施しています。その成果として、女性の体調不良に対する理解や、子育て中の女性への理解が深まったとのことです。

また、女性担当者による相談窓口も設け、女性が健康問題を相談しやすい環境を提供しています。

協栄金属工業株式会社(中小規模法人部門)

金属製品の製造企業である協栄金属工業株式会社は、女性雇用率16.0%、60歳以上雇用率13.3%、障害者雇用率10.0%と、多様性に富んだ人材雇用を実現しています。2013年から健康経営に取り組み、健康経営優良法人ブライト500も3年連続で認定されています。

具体的な取り組みとしては下記が紹介されています。

ストレスチェック

個人面談ではフォローしきれない従業員の悩みをキャッチするために、ストレスチェックを活用して従業員の状態を確認しています。情報公開に同意した従業員のデータを分析し、特定された原因をもとに職場環境の改善などを実践しています。

勤務環境の改善

社内に安全委員会を設置し、工場のレイアウト変更や3S(整理・整頓・清潔)活動などに取り組んでいます。従業員が提案した取り組みを経営陣が積極的に実行して成果を生んだ場合に、その従業員を評価した結果、前向きな意見を出す社員がより増えたとのことです。

個人の特性を生かした働き方に調整

障害者雇用を積極的に進める同社では、特性を理解し、仕組みでカバーできる体制を整えています。設備の導入や、得意な業務への配置、それぞれの体調にあわせた業務時間への調整などにより、従業員の得意分野を伸ばし、モチベーション向上へつなげています。

ポータルサイトでは、他にもさまざまな健康経営の取り組み事例が紹介されています。ぜひご覧ください。

FAQ

  1. Q1. 「健康経営は大企業や中小企業の話だ」と興味をもっていない小規模事業体の経営者には、どのようにアプローチすればよいでしょうか。

    まずは「人」、そして「企業の発展性・持続性」という2点からアプローチするとよいでしょう。小規模企業だからといって従業員の健康をおろそかにしてはなりません。従業員数が少なければ少ないほど会社への影響は大きく、いきいきと働ける環境づくりが必要です。そして企業は、同じ従業員だけで事業が永続するわけではありません。いつか採用が必要になったときに選ばれる企業であるために、取り組むことが大切です。

    また、健康経営は企業の価値や業績アップを期待できます。企業の発展性・持続性という点からもアプローチができるでしょう。

  2. Q2. 女性の健康課題について、どのような取り組みが有効であったかなど、具体的なケースを教えてください。

    ある企業で、男性管理職だけを対象に「女性の健康」についてのセミナーを実施したことがあります。

    月経の痛みによる欠勤は男性にはよくわからない点もあり、上司として「痛いんだったらいいよ」と言ってよいのか、管理職として厳格な対応をしなければならないが詳しく聞くとセクハラになるのでは、など対応に苦慮している方もいました。女性が月経痛で欠勤する場合と男性の頭痛で欠勤する場合の対応の違いなどをお話しし、理解を深めてもらいました。

  3. Q3. 健康経営で利益や生産性を上げている企業の事例はありますか。

    「健康経営オフィスレポート」「『ACTION!健康経営』ポータルサイト」から、健康経営の優良法人認定を受けた企業の具体的な事例をご覧いただけます。


    ただし大事なのは、自社に合った課題に対する取り組みを実施することです。まずは課題を抽出して、「従業員はどんな取り組みがあればやる気が高まって、元気になっていってくれるのだろう」と考え、自社の課題や取り組むべきテーマに合致した事例を引用するとよいでしょう。

  4. Q4. 介護休暇制度の周知は、今後企業にとって法的に必須となるのでしょうか。

    2022年4月から、育児休業に関して妊娠・出産の際に、育児休業取得の意向を個別に確認することが義務付けられています。同じように、介護休業を知らないために取得できない状況を改善すべく、今後は介護休業の個別周知も義務付けられるであろうといわれています。

  5. Q5. 喫煙期間の長い喫煙者が多く、今さら禁煙するつもりもないという方が一定数いる会社です。禁煙率向上を目的に、「全社一斉禁煙」以外で地道な改善に取り組んでいる事例はありますか。

    禁煙は健康経営において大事な取り組みです。ある企業では、「禁煙したい」と考える方でチームを組み、全員が禁煙を達成できたらインセンティブを与える取り組みをしました。自分ひとりの意志では禁煙は難しいので、仲間を募り励まし合いながら取り組めば効果が期待できます。

    小さなチームをつくって課題に取り組み、成果が出たらインセンティブを与える方法は、他の取り組みにも有効です。

  6. Q6. 健康経営とウェルビーイング経営の違いを教えてください。

    「ウェルビーイング経営の一部に健康経営がある」と考えると分かりやすくなります。

    従業員のウェルビーイングを向上させるために健康経営の視点は必須です。

    健康経営は、禁煙への支援や、育児や介護による退職率の低下、メンタルヘルス不調の阻止に向けた取り組みの実践です。一方、ウェルビーイング経営は、従業員の健康という視点だけでなく、給与や待遇面、働きがいの創出など、より大きな視点での取り組みを指します。どちらも従業員のウェルビーイングを考えた取り組みではありますが、とくに従業員の心や体を元気にしていく取り組みが、健康経営です。

【執筆:まえかわ ゆうか、後藤 栞】

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