働き方改革とも関連深い「健康経営」に多くの企業が注目するワケ
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最近、「健康経営」というキーワードを耳にすることが多くなったと感じていらっしゃる方も多いでしょう。
日本経済新聞をはじめ、各種メディアにおいて、従業員の健康増進を通じて企業の生産性を高める「健康経営」について取り上げられています(*1)。
働き方改革時代の重要な取り組みのひとつともいえる「健康経営」は、大企業のみならず中小企業にも広がりつつあるようです。
本記事では、この「健康経営」では具体的にどのような成果が期待されているのか、どのような施策があるのかなどについて取り上げたいと思います。
そもそも「健康経営」とは?
日本政策投資銀行によると、健康経営とは、
従業員の健康増進を重視し、健康管理を経営課題として捉え、その実践を図ることで従業員の健康の維持・増進と会社の生産性向上を目指す経営手法です。
と定義されています(*1)。
従業員の健康に関する規定と言えば、労働安全衛生法における雇入れ時および年1回の定期健康診断の実施義務が思い浮かぶことでしょう。
しかし、単にこの健康診断を実施するだけでは、健康経営を実現できません。
そのような単純なものではないことをまず理解しておきましょう。
「健康経営」に期待される成果とは?
なぜ「健康経営」に取り組む企業が増えているのか? 自社でも取り組むべきなのか?
「健康経営」期待される成果がわかれば、より理解が深まるでしょう。
成果の例としては、下記のような点が挙げられます。
- 従業員の心身の健康が図られることにより、安心して長く働き続けることへの期待
- 従業員の健康管理の意識が変わり、ガン・心疾患など生活習慣病になるリスクを減らすことへの期待
- 健康経営の取り組みを社外に公表することにより、求職者に安心感を与えることへの期待
- 健康に関わる社内制度の整備を条件として、通常より低い金利で融資が受けられる「健康経営格付」が実現できることへの期待
- 従業員の健康増進を目的として、業務の効率化がされ、長時間労働の是正や残業時間の削減が実現できることへの期待
このように様々な成果が期待できる健康経営の取り組みですが、短期的に効果を期待出来るものではありません。
「健康経営」は働き方改革とも関連する
健康経営は、「働き方改革」とも大いに関連してきます。
今年の秋の臨時国会に、働き方改革関連法案が提出されますが、関連法案には、ひと月あたり45時間(臨時的な特別の事情がある場合として労使協定を結んだ場合、60時間)の残業時間の上限規制が盛り込まれています。
健康経営の取り組みは、将来の残業時間の上限規制にも備えるものと言えるでしょう。
「健康経営」の大前提は経営者のコミットメント
まずは経営者自らが自社において、健康経営に取り組むことを宣言しましょう。そして実際に健康診断や特定健診を受診することから初めましょう。
トップのコミットメントなしに、健康経営は成しえません。
次に、従業員の健康管理を改善する担当者を選任します。
従業員全員に対して、定期健診を受診させることはもちろん、
- ストレスチェックの実施
- 健康増進・過重労働防止に向けた具体的目標計画の策定
- 保健指導の実施
など、様々な取り組みが必要になります。
また、経済産業省は、地域の健康課題に即した取組等をもとに、特に優良な健康経営を実践している企業を表彰する「健康経営優良法人認定制度」を開始しています(*3)。
健康経営の取り組みについてのヒントが得られますので、是非チェックしてみましょう。
まとめ
我が国は、人口減少社会の時代に入りました。その点から考えても最近の人材不足の問題は、将来にわたって重くのしかかる経営課題といえます。
そのため企業にとって、現在在籍する従業員の業務効率化は必要不可欠です。業務効率化によって人材不足をカバーし、又は将来来るであろう人材不足の難題に向き合う必要に迫られていると言えるでしょう。
働き方改革につながる健康経営に、今から取り組まれることを強く勧めます。
【参照】
*1:「健康経営」実践、都内中小は2割 東商調査 – 日本経済新聞
*2:健康経営とは – 日本政策投資銀行
*3:健康経営優良法人認定制度 – 経済産業省