なぜ世界の先端企業は「ダイバーシティ」に注目しているのか?
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この頃、「ダイバーシティ(Diversity)」という言葉をよく耳にするようになりました。お台場では施設名にも活用されていますね。
その一方、具体的にどのような意味を持つ言葉なのか、いまいちとピンと来ない方も多いのではないでしょうか? gooランキングでは「よく聞くけど実は意味を知らない横文字ランキング」において「ダイバーシティ」は2位にランクインしています。
しかし、この「ダイバーシティ」は、今後の企業活動において重要な要素のひとつとなってくるでしょう。今回は、意味を知らないでは時代遅れになってしまうかもしれない「ダイバーシティと企業経営」について解説していきます。
「ダイバーシティ」とは「多様性の受容」
「ダイバーシティ(Diversity)」は、直訳すると「多様性」という言葉になりますが、昨今の社会において、多様性を認める社会を作っていくということが非常に重要になってきています。「ダイバーシティ」とは「多様性」を受け容れることと解釈できます。
この「多様性」という言葉の理解が難しいのですが、これは時代背景に応じて捉われる意味合いも違ってきています。
ここ数年では「LGBT」の受容に重点が置かれている
少し前では女性差別や障害者差別を無くしていこうというものが多様性のキーワードでしたが、グローバル化が進むにつれ、人種や国籍の多様化というところが重点化され、昨今では「LGBT(Lesbian、Gay、Bisexual、Transgender)」と呼ばれる、性的マイノリティーの一種の方たちの受容に重点が置かれています。
なぜ「ダイバーシティ」が注目を集めているのか?
ダイバーシティが重要視されつつある背景として、「社会的価値観の多様化」、「経済のグローバル化」、「社会構造の変化」などがあります。
特に経済活動の変化や少子高齢化の進展、企業間競争の量から質への転換等の要因もあり、企業活動が進んでいくうえで、様々な考えや価値観を社内に取り込んでこそ、「新しいサービスを生み出せる原動力となりえる」状況になっています。
そういったところから、企業においても、この「ダイバーシティ」を重視することが注目されています。
世界の先端企業が「ダイバーシティ」の重要性を認識
例えば「世界の最も価値あるブランド」トップであるAppleのCEOティム・クック氏は、自身がゲイであることを公表し、アメリカ社会に受け容れられています。また、新アメリカ大統領であるドナルド・トランプ氏が、一部の国籍の方の入国制限を設けようとした際、先端企業の多くは反対の意思を示しました。
これらのことからわかるように、新しいサービスを開拓していくうえで「多様な人材」が重要ということを、世界の先端企業は認識しているのです。
ダイバーシティの推進は「経営状況や方向性」を踏まえることが重要
企業におけるダイバーシティに対応する注意点としては、多様性を受け容れるうえでの「社内体制・準備ができているか、またその段階か」というところです。
前述のとおり、ひとくちに「ダイバーシティ」といってもその範囲は広く、「いま会社としてどのステージなのか?」というポイントを押さえることも重要です。スタートアップでドメスティックな事業を中心とされる会社が、最初からいきなり多国籍企業としての道に進んでも意味がないと思いますし、男性ばかりの職場で突然「女性活用」を叫ぶのも非現実的でしょう。
いま会社が置かれている状況から、今後進む方向性を意識しながら「多様性を受け容れる風土を作る」ことが重要といえるでしょう。
渋谷区では同性カップルの「パートナーシップ証明書」を発行
台湾における「同性婚容認」に向けた動きが報道され話題になっていますが、我が国日本においても、渋谷区で全国に先駆けて、同性のカップルを結婚に相当する関係と認めるべく「パートナーシップ証明書」を発行しています。
この公的機関での対応に即して、企業では同性での実質的な婚姻であっても「企業内の福利厚生や慶弔規程を適用する」などの動きが多数出ています。また、企業内に専用の相談窓口を設けて対応する会社も出ていたりします。もし、あなたの会社でこの「パートナーシップ証明書」を従業員が持参してきた際「どのように対応できるか?」考えてみてください。
多国籍というところでは、スタートアップの会社でも、ITベンチャーなどでは世界展開を視野に入れて、創業期から多国籍の社員を受け入れ、多様な考えを開発に反映していくという会社も多いです。その場合、日本での生活への対応、各種手続きのサポート、相談できるメンターの指名などが必要になるかと思います。
ただ多様性を取り入れるだけでなく、「受け入れた際のサポート」が重要になってきます。
「多様性の受容」がこれからの社会において必要
このように企業においての「ダイバーシティ」は重要視されつつあるものの、生半可な気持ちでは取り組めません。
時代の流れを受けつつ、企業において重点的に対応するべきポイントを押さえ、社内に多様性を受け容れる風土作りが重要です。そして、社内教育や会社ポリシーの作成、周知、トップからのメッセ―ジなどを絶えず発信していきましょう。
一朝一夕には難しい課題かもしれませんが、「多様性の受容がこれからの社会において必要」だと認識させていくのが良いでしょう。