1. 経営・組織
  2. 経営

株式会社TOKIOが信じるエンターテインメントの力。共創がつくる新たな可能性

公開日
目次

“AIとHRのつながり”をテーマとするイベント「SmartHR Connect 〜AIとHRテクノロジーが紡ぐ革新的企業への進化〜」が、2024年7月17日(水)に東京国際フォーラムで開催。

株式会社TOKIO 副社長の国分太一さんとロート製薬 元取締役の髙倉千春さんを迎え、「Do it ourselves! 汗をかき、手を働かせる…株式会社TOKIO・国分太一のチーム共創論」と題した特別セッションの様子をお届けします。

  • 登壇者国分太一氏

    株式会社TOKIO 副社長

    1974年生まれ、東京都出身。TOKIOのメンバーとして1994年にデビュー。アーティスト、タレント、MCなどさまざまな顔をもち、グループとして日本テレビ「ザ! 鉄腕! DASH!!」や、個人としても数多くの番組にレギュラー出演中。

    2021年より株式会社TOKIOの副社長としても活動の幅を広げている。

  • 登壇者髙倉千春氏

    ロート製薬元取締役(CHRO)、高倉&Company合同会社共同代表

    1983年農林水産省入省。92年に米ジョージタウン大学MBA取得。 93年からコンサルティング会社にて組織再編、人材開発に関するプロジェクトをリード。 99年よりファイザー人事部担当部長、2006年ノバルティス・ファーマ人材組織部 部長、 14年より味の素理事グローバル人事部長としてグローバル人事制度を構築、展開。 20年よりロート製薬取締役、22年同CHROに就任。 22年より日本特殊陶業社外取締役 サステナビリティ委員長。 23年より三井住友海上火災保険・野村不動産ホールディングス社外取締役。 将来の経営を見据えた戦略的な人事戦略、人材育成を推進する。

株式会社を設立し楽器からトンカチへ

髙倉さん

まず率直に、なぜ会社を設立されたのかを伺いたいです。

登壇中の様子

国分さん

 TOKIOというグループは5人ではじまりましたが、さまざまな変化のなかでメンバーが3人になりました。そのまま3人でタレントを続ける選択肢もありましたが「年齢がいくつになっても変化を楽しむべき」と考え、エンターテインメントで学んだ経験を生かしていろいろな人たちと共創するために会社を立ち上げました

2020年の設立当初に作成した企画書には、楽器をトンカチに持ち変えるイメージを載せました。

プレゼン資料の詳細

国分さん

この頃に「変化を楽しみながら新しいチャレンジを続けていけば、新しい自分たちに出会えるのではないか」と、さまざまな企業さんにプレゼンをしています。

プレゼン資料の詳細

国分さん

上記資料は「社会貢献に向けて、僕らが今まで学んだことを生かして企業と共創すれば、何か役に立てる」と伝えたく作成しています。

登壇中の様子

高倉さん

 私は人事を40年やってきましたが、今だからこそ、このメッセージが響きます。「国民的スターがいまさら株式会社を設立して苦労しなくてもいいのに」と思っていましたが、新たな領域で戦い続けるのは自己成長にとって非常に大事です。「これでよい」と思ってしまうと成長が止まるので。

たくさんの企業とタッグを組んで共創したいという考えも興味深いですね。

国分さん

僕はエンターテインメントの世界しか知りませんが、企業とタッグを組めばエンターテインメントの力が役に立つことがあるのではないかと考えています

共創するうえでは、僕らも相手の企業もお互いプロフェッショナルとして胸を張り、同じぐらいの力で向き合いたいので、遠慮せずに取り組みたいです

高倉さん

この講演のタイトルにもなっている「Do it ourselves! 汗をかいて。手を働かせて。思いを重ねて。」というメッセージにはどのような思いが込められていますか?

国分さん

僕らがエンターテイメントの世界でやってきたと胸を張って言えるのは、この3つだけです。

失敗もしてきたけど、失敗を見せるのって格好悪いことじゃなくて、それを見せられるのは格好よいことじゃないかなと、変換をしてきました。むしろ失敗を人に知ってもらったほうがよいとメンバー3人とも思っていたので、それは僕らの強みでもある。だからこそ、汗をかいてきたし、手を働かせてきた。ここはもう間違いないですね。

TOKIOはそもそも5人でしたけど、5人が表に出ているその裏では、頑張ってくれたスタッフがたくさんいました。その人たちがいなければ、僕らが表に出て輝くことはできなかったので、そこに対する感謝は一度も忘れたことがありません。それが思いを重ねるという言葉につながっています。

高倉さん

今のメッセージにも、いろいろな人事のキーワードが入っています。

まず失敗。昨今の日本企業は「挑戦して失敗を許す。そこから学ばないと新規事業を起こせない」と言っています。失敗してもよいからとりあえずやってみる姿勢は、正に新規事業を開拓する企業に必要な風土です。

それから、5人の後ろにたくさんの協力者がいたチームの力。TOKIOのメンバーはみなさんすごく人間味があふれているので、応援する人がたくさんいらっしゃったのだと思います。現代の日本企業はそれこそが組織の強さであると考えているので、これも参考にしたい点です。

ものづくりへの意識を変えた人間力への憧れ

高倉さん

株式会社TOKIOがどのような活動をされているのか、具体的にお聞かせください。

国分さん

会社を立ち上げた時に、新聞広告で「私たちと一緒に何かやりませんか」とメッセージを出しました。ホームページを経由して100社以上の企業さんからお話をいただきまして、そのなかから選んだ丸亀製麺さんと共創パートナーという形で、商品開発と食育のプロジェクトに取り組みました。

それから、福島県西郷村に、東京ドーム2個分のフィールドを買って、株式会社TOKIO-BAという、新たな会社を立ち上げました。人に集まっていただいて、フィールドでものづくりをするプロジェクトを進めています。

人間が五感で感じる力や自然の大切さに40代であらためて気づいたので、それを人に伝えていくのが、今のTOKIOの役割だと感じています。

高倉さん

人間としての五感の訓練は、今の時代に重要だと思います。会社組織は縦割りで、真面目に業務に取り組めば給料とボーナスが出る。これは日本が成長していく時に絶対に必要でした。しかし、やり過ぎると新しいことが起こらない。ルーティーンを繰り返していると感性が鈍ってしまうので、一度現状から抜け出るべきでしょう。そういう意味だと、自然や五感を大切にするのは先駆的な取り組みだと思います。

そもそもどうして1次産業に取り組まれたのですか?

国分さん

番組で村づくりの企画がはじまったのがきっかけです。実は当初全然やりたくなく、僕は音楽をやりたかったんです。

高倉さん

なにもないところでサバイブする企画ですね。

国分さん

そうです、全然楽しくなかった。「こんなことをやりたいわけじゃない、こんなことをするためにエンターテインメントをしているんじゃない」という思いが常にありました。

でも、そんな時に企画で出会った福島県のじいちゃん、ばあちゃんが、とても格好よかった。たとえば綱。普通「綱を切って」と言われたらハサミで切るじゃないですか。でも違いました。揉むんですよ。揉んだあと、勢いよくパーンって引っ張ると綱が切れる。

石を割る時も、角度を計算して綺麗に割っていて、人間力の高さに驚かされました。それまで僕が憧れていたのは芸能界で活躍している先輩でしたが、憧れの対象が福島のじいちゃんに変わりました。

それからは真剣に企画と向き合うようになって、「こんなに素敵な仕事はほかにない」と思えたし、ものづくりが大変な仕事だと伝えたいと考えるようになりました。

成長しようとする人の姿勢が次の世代にも受け継がれていく

高倉さん

現在、会社を設立されて3年目ですね。多くの企業は創業から3年程度経過すると次の段階を考えます。今後の抱負や挑戦したいことなどを教えてください。

国分さん

先ほども言いましたけども、僕らはエンターテインメントで経験をさせてもらったことを伝えていくのがひとつの役割だと思っています。いろんな人たちと共創して、人に伝える活動を今後も続けたいと思っています。

これからも僕らは、自分達がやりたいことをいろんな人たちに言葉を通じて聞いてもらおうと思っています。いつかここにいる皆さんとも、どこかで共創できたら嬉しいですね。

登壇中の様子

高倉さん

今日の私の学びを申し上げると、やっぱり純粋な気持ちで取り組んでいる人は輝いている。人の純粋な気持ちは感動を呼ぶし、成長しようと取り組む人の背中を見ながら、次の世代の人も成長すると思います。我々もそういう姿からいろんな学びを得られると、今日のこの短い時間で感じました。

国分さんからも本日の感想をお願いします。

国分さん

こういう形で登壇して話すのは、今回が初めてに近いです。僕は今年50歳になりますが、この年齢でこのようなチャレンジができるのは、今までエンターテインメントを続けてきた経験があったからこそだと思っています

弊社社長の城島は、彼が50歳の時に会社を立ち上げました。普通に考えたら、リスクがあるのでなかなか50歳で起業できないと思うんですよ。

同時に、副社長の松岡は、企業と共創するときは絶対に自分たちの思いを伝えたいという熱い思いをも持っています。

そんな2人の姿を見ながら一緒に会社を続けてきて、今は新たなステージに来ていると感じていて、すごく楽しんでいます。僕らがやってきたことを皆さんにちょっとでもお話を聞いてもらって、みなさんの仕事に変換して役立ててもらえたら嬉しいです

人気の記事