この記事は公開から1年以上が経過しています。法律や手続き方法、名称などは変更されている可能性があります。

「仕事中に飲酒する社員」を処分することは許される?

2016.05.30 ライター: 弁護士 星野 宏明

オフィス飲酒

仕事中に「今から飲みたいなぁ」と思ったことがある人もいるかもしれません。例えばランチ中に「ランチビールやってます」などの文字が目に入ってしまい……。

しかし、そんなことは許されないと考えて思いとどまるのが一般的ではないでしょうか。

最近では「仕事中にノンアルコールビールを飲むことは良いのか?」という議論があり、賛否両論となっているようです。ですので、仕事中に本物のビールを飲むなんて「ありえない」といった風潮でしょう。

それでも仕事中に飲酒をしてしまった際、会社から処分されることは妥当なのか、さらに法的に見たときにどう扱われるのかどうかについて解説していきます。

法律上は「仕事中の飲酒」に関する明確な規定がない

実は、国の法律レベルでは、仕事中の飲酒を明確に禁止する規定はありません。

もちろん、「飲酒運転」は道交法で禁止されていますので、例えばタクシー運転手が乗務中に飲酒することは違法ですが、それ以外の職業については、基本的には直接法律で業務中の飲酒が禁止されているわけではありません。

例えば、ホストクラブの従業員や夜の飲食業では、むしろお酒を飲むことが業務の一環にもなっていますので、法律上は明確な禁止規定が存在せず、職種ごとに就業規則などで規定されることになります。

飲酒しながら仕事しても良いかは就業規則次第

仕事中に飲酒すること自体は、原則として法律違反にはなりませんので、あとは就業規則との関係次第となります。

この点、パイロットや電車、バスなど公共交通機関の運転士であれば、就業規則や会社内部の服務規定で、明確に業務中や乗務前の飲酒を禁止していることが多いのではないでしょうか。

人の命を預かるお医者さんや獣医も、勤務先によっては、業務中の飲酒を禁止する内部規定を設けているかもしれません。

ちなみに、弁護士事務所で業務中の飲酒を禁じる就業規則や内部規定を設けているところは聞き及びません。更に余談ですが、検察庁には、(業務後に飲むために)検察官室の冷蔵庫にビールが貯蔵しているそうです。

就業規則で禁止されていないからといって飲酒が許されるとは限らない

それでは一般の民間企業ではどうかというと、こちらも就業規則などで明確に飲酒行為を直接禁止しているケースは、あまり聞き及びません。

もっとも、就業規則で直接飲酒行為を禁止していなくても、飲酒の影響により、業務効率が低下したり、職場環境に悪影響を与えることは十分想定されます。

そうすると、勤務態度や業務効率の不良、職場秩序の破壊などを理由とした懲戒事由に該当する可能性はあり、飲酒が理由で解雇処分となることは考えられます

飲酒しても体調に変化がない場合や、パフォーマンス(業務効率)が逆に向上し、職場の秩序維持にも何ら問題がない場合には、就業規則で飲酒行為を直接禁止していない限り、懲戒解雇は難しいかもしれません。

逆に、パイロットや電車、バスなど公共交通機関の運転士で、就業規則や会社内部の服務規定で明確に業務中や乗務前の飲酒を禁止している場合には、たとえ実際の乗務にほとんど影響がなかったとしても、懲戒事由となりえます。

そもそも、飲酒行為をしている時間は、賃金を得る条件となる労働を行っているとはいえず、一般論としてもやはり業務中の飲酒は控えた方が無難でしょう。

 

【最終更新日】2017年7月14日

弁護士 星野 宏明

大手法律事務所勤務を経て、東京都港区で星野・長塚・木川法律事務所開業(共同パートナー)。企業顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中国法務、外国関連企業、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件、国際案件等が専門。中国語による業務可能。
他の執筆記事はこちら

トラブルの関連記事

トラブルの新着記事

働き方改革特集

SmartHR スタートガイド