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「年功序列」から「成果主義」へとシフトする際に注意すべき3つのこと


こんにちは。社会保険労務士の篠原宏治です。

政府が主導する「働き方改革」が叫ばれていますが、個の働き方はもちろん、より強い組織へと変革すべくこれからの時代に適した仕組みづくりも欠かせません。

21世紀以降、日本企業の間でも「年功序列制度」から「成果主義」にシフトする動きが広がりを見せ、大企業も例外ではありません。中には、現在進行形で、年功序列制度から成果主義に切り替えることを検討している会社も、少なくないことでしょう。

今回は、年功序列制度と成果主義の特徴と、切り替えにあたって留意すべき点について解説します。

「年功序列制度」の特徴

年功序列制度は、勤続年数や年齢が上がるにつれて賃金や役職が上昇する、日本的経営の特徴的な賃金制度です。

職務遂行能力は勤続年数(年齢)に応じて高くなり、それが企業業績への貢献につながるという考え方が基本となっています。

社員が安心して働けて将来設計がしやすい、目先の利益に捉われず中長期を見通した業務に取り組める等のメリットがあります。

「社員の高齢化」による慢性的なコスト増が経営を圧迫しつつある

しかし、実際には勤続年数や年齢が上がれば、必ず職務遂行能力が上がるわけではありませんし、職務遂行能力が上がれば必ず企業利益が増加するわけでもありません。

個人成績や企業業績が伸びていなくても人件費は年々増加することになるため、社員の高齢化による人件費高騰が経営を圧迫していることで、多くの企業で慢性的な問題視されています。

「成果主義」の特徴

成果主義は、業績や成果に基づいて賃金や昇進などを決める、海外企業などで一般的な賃金制度です。

月ごとや年ごとの賃金額の変動が大きくなりやすく、社員間の賃金格差が生じやすい賃金制度と言えます。

成果を賃金に反映させる方法には、成績評価に基づいて来季の賃金水準や年俸額を決める方法、契約件数などの営業成績によって業績給などの出来高手当を支払う方法、成果に応じたインセンティブ報酬を賞与として支給する方法などがあります。

企業業績と人件費の連動性が高く、企業にとってコスト管理をしやすいというのが最大のメリットです。

一方、社員が目先の成果を追及して中長期的な成長や成果が見込めなくなる、個人成績を重視して社内の空気が悪化する、長期間在籍するメリットが小さいため定着率が悪化する、結果的に技術やノウハウの蓄積や継承が困難となる、等のデメリットも考えられます。

成果主義にシフトする際に注意すべき3つのこと

賃金制度の変更は重大な労働条件の変更にあたるため、年功序列制度から成果主義への変更には、高度な必要性と合理性が求められます。

(1)「人件費再分配の手段」と考えるべき

賃金総額を減少させるような制度変更の場合は、社員が被る不利益が許容されうるだけの、より高度な必要性や合理性が要求されます。そのため、年功序列制度から成果主義への変更は、「人件費削減」を目的として行うことは避けるべきです。

賃金原資の配分をより合理的なものとする「人件費再分配」の手段と考え、実行したほうが良いでしょう。

(2)急に制度変更するのではなく徐々に移行を

いきなり制度を切り替えると、合理的な再分配が行えたとしても、恩恵を受ける社員とそうでない社員とで差が大きく開く際に、社員の生活や将来設計に支障を及ぼす恐れが懸念されます。

できるだけ負担なく徐々に制度移行させるなど、激変緩和措置などの配慮も必要です。

(3)成果主義をどの程度取り入れるのかの慎重な判断を

最近は、大手企業においても年功序列制度を一切廃止した「完全成果主義」を導入するケースが見受けられますが、通常は賃金制度の一部を成果主義に切り替えるというケースが多いため、成果主義をどの程度取り入れるべきかも慎重に判断する必要があります。

 

このように、どのような企業でも、そのまま取り入れられるワケではありません。

成果主義に切り替える理由、期待する効果、懸念される問題などをしっかり整理し、弁護士や社労士などの専門家の意見も聞きながら、労使双方にとって最も良い賃金制度を構築していくのが良いでしょう。

特定社会保険労務士 篠原 宏治

社会保険労務士事務所しのはら労働コンサルタント代表。元労働基準監督官。特定社会保険労務士。労働基準監督官として残業代不払いや長時間労働などの労働問題に関する数多くの相談対応、監督指導(臨検)、強制捜査などを行ってきた経験を活かし、「労働問題に強い社会保険労務士」として、労使双方からのご相談に対して実務的な助言やコンサルティングを行っています。社会保険労務士事務所しのはら労働コンサルタント
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