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新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金とは?いくら貰えるのか、疑問点を解説

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こんにちは。特定社会保険労務士の小高 東です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けて、休業を余儀なくされる企業が多くあります。そんな企業で働く労働者のために生まれたのが新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」です。

本稿では、社労士の視点から、こちらの支援金・給付金について、よく相談を受けるポイントをQ&A形式で解説していきます。

※ 本稿は令和2年9月28日時点での政府、厚生労働省等の情報を元に解説しています。内容が変更されている可能性もありますので、政府や厚生労働省等の最新の情報を確認していただくようお願いします。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金とは?

そもそも「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」とはどのようなものなのか、はじめに解説しておきます。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金は、新型コロナウイルス感染症の影響により、休業させられたが、休業手当が受けられない中小企業の労働者個人に対して直接支給されるものです。

出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」

【Q1】休業支援金・給付金の対象者は?

【Q1】新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の対象者は?

【A1】令和2年4月1日から12月31日までの間に事業主の指示を受けて休業したが、休業手当が受けられない中小企業の労働者です。

なお、もともと支給対象期間は9月末まででしたが、8月28日の厚生労働省の発表により、雇用調整助成金の特例措置と同様、12月末までに延長となりました。

出典:厚生労働省「雇用調整助成金の特例措置等を延長します」

【Q2】いくら貰えるのでしょうか?

【A1】支援金・給付金はいくら貰えるのでしょうか?

【A2】休業前賃金日額(※1)の80%(日額上限11,000円)×休業実績(※2)となります。

※1:休業前賃金日額は、過去6ヶ月のうち任意の3ヶ月分の賃金(総支給額)を90で割って算定します。

※2:休業実績は、各月の暦日数から就労日と労働者の事情で休んだ日数を差し引いた日数となります。

【Q3】休業前賃金が3ヶ月ないのですが?

【Q3】休業前賃金が3ヶ月ない場合はどうなるのでしょうか?

【A3】2ヶ月以上の場合は、2ヶ月分の賃金を60で割って算定。2ヶ月ない場合は、1ヶ月分の賃金を30で割って算定します。1ヶ月ない場合でも30で割って算定となります。

【Q4】学生アルバイトや外国人、技能実習生、フリーランスは対象?

【A4】学生アルバイトや外国人、技能実習生、フリーランスは支援金・給付金の対象になりますか?

【A4】雇用関係がある学生アルバイト、外国人、技能実習生は対象。フリーランスは雇用関係がありませんので、残念ながら対象外です。

【Q5】2020年4月からの新卒は対象となりますか?

【Q5】2020年4月からの新卒社員は支援金・給付金の対象となりますか?

【A5】新卒社員は1日も勤務していなかったとしても対象となります。この場合、休業前賃金日額の算定は、雇用契約書・労働条件通知書等を基に算定します。

【Q6】○○業ですが、休業支援金・給付金の対象になるのでしょうか?

【Q6】○○業なのですが、支援金・給付金の対象になるのでしょうか?

【A6】中小企業であれば、全業種対象となります。ただし、暴力団員法関係団体等は対象外です。

【Q7】労働者本人が申請するのでしょうか?

【Q7】支援金・給付金は労働者本人が申請するのでしょうか?

【A7】労働者本人のほかに、事業主経由の申請も可能です。この場合でも、支援金・給付金は労働者個人の口座に支給されます。また、社会保険労務士や代理人による代理申請も可能ですが、社会保険労務士以外の代理人は委任状が必要です。

【Q8】休業支援金・給付金の申請方法は?

【Q8】支援金・給付金はどのような方法で申請したらいいのでしょうか?

【A8】現状、郵送のみでの受付です。申請書、要件確認書などは、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。宛先は、以下のとおりです。

〒 600-8799
日本郵便株式会社  京都中央郵便局留置
厚生労働省  新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当

【Q9】申請期限はありますか?

【Q9】支援金・給付金の申請期限はありますか?

【A9】休業した期間に応じて、以下のとおり、申請期間が決まっていますので注意が必要です。

出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の対象期間・申請期限を延長します」

【Q10】申請に必要な添付書類はありますか?

【Q10】申請に必要な添付書類はありますか?

【A10】申請書、支給要件確認書に併せて、以下3つの添付書類が必要です。

  1. 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード表面の写し)
  2. 口座確認書類(キャッシュカード、通帳の写し)
  3. 休業開始前賃金及び休業期間中の給与を証明できるもの(賃金台帳等の写し)

【Q11】支援金・給付金に所得税はかかるのでしょうか?

【Q11】支援金・給付金に所得税はかかるのでしょうか?

【A11】支援金・給付金は非課税であるため、所得申告は不要です。

【Q12】副業先だけ休業なのですが休業支援金・給付金の対象となるのでしょうか?

【Q12】副業先だけ休業なのですが支援金・給付金の対象となるのでしょうか?

【A12】副業先が休業となり、休業手当を受けられない場合は対象となります。

【Q13】複数事業所で働いていて、その全てが休業している場合、全て休業支援金・給付金の対象になりますか?

【Q13】複数事業所で働いています。複数事業所が休業している場合、全て支援金・給付金の対象となるのでしょうか?

【A13】複数事業所が休業となり、休業手当を受けられない場合は、全て対象となります。ただし、申請時に複数事業所分まとめて申請する必要があります。申請書も複数就労者用を使用します。別々に申請した場合、後から申請した分は無効となりますので注意が必要です。

【Q14】そもそも会社が休業手当を支給しないのは、労働基準法違反なのでは?

【Q14】そもそも会社が休業手当を支給しないのは、労働基準法違反ではないのですか?

【A14】休業手当が事業主の義務かどうかはコロナ禍の休業が不可抗力かどうかによります。不可抗力かどうかは、

  1. 外部要因かどうか
  2. 事業主が努力したかどうか

の2つのポイントから総合的に判断します。

ですから、休業手当が義務かどうかは個別判断になります。今回のコロナ禍では、休業手当の原資もない事業主も多く、支援金・給付金は労働者の生活安定・保護の目的もありますので、休業手当を受けられない労働者は支給対象となります。

【Q15】申請書類の作成に当たり、事業主の協力を得られません。

【Q15】申請書類の作成に当たり、事業主の協力を得られません。どうしたらいいのでしょうか。

【A15】要件確認書にその旨を記載し、申請して下さい。法律に基づき労働局から事業主に対して報告を求めますが、支給まで時間を要することになります。

【Q16】調査・罰則等はあるのでしょうか?

【Q16】支援金・給付金の申請後の調査や罰則などはあるのでしょうか?

【A16】あります。不正行為により、支援金・給付金の支給を受けた場合には、最大で支給額の3倍額の請求と年3%の延滞金、関係者が故意に不正行為を行った場合には、連帯責任、名称等公表とされることがあります。

おわりに

コロナ不況もかなり深刻なものとなってきています。

国としては、事業主はまず雇用調整助成金の活用を、ということですが、雇用調整助成金は、はじめに休業手当の支給が必要です。

休業手当の支給が困難な中小事業主は、雇用維持の選択肢として、支援金・給付金も検討するのが良いでしょう。

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