早めの対応を。2021年4月施行「中途採用比率の公表義務化」について弁護士が解説

2020.09.15 ライター: 弁護士 浅野 英之

こんにちは。浅野総合法律事務所、代表弁護士の浅野英之です。

「労働政策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)」が改正され、2021年4月1日から中途採用比率の公表が義務化されます。

そこで今回は、同改正の概要と、公表の義務化に伴って企業に求められる対応について解説します。

【1】中途採用比率の公表義務化とは

中途採用比率とは、全社員に対して中途社員が何人働いているかを示す割合のこと。この中途採用比率について、冒頭で解説しました労働施策総合推進法の改正により、常時雇用する労働者の人数が301人以上の大企業に対して、公表を義務付けられることとなりました。

改正労働施策総合推進法の施行日は2021年4月1日であり、公表の対象となる項目は直近3事業年度となる見込み。公表の方法については、企業のホームぺージ等、求職者が容易に閲覧できる方法と定められる見込みです。

なお、中小企業については、中途採用が既に活発に行われていること、中小企業の事務的負担が過大となるおそれがあることなどを加味して、義務化が見送られることとなりました。

日本の中途採用の現状については、厚生労働省の資料「中途採用に係る現状等について」をチェックするとよいでしょう。

【2】中途採用比率公表義務化の背景と目的

公表義務化の重要な目的の1つに、中途採用を希望する労働者と企業のマッチングの促進が挙げられます。

公表義務化によって新卒一括採用制度を見直すきっかけとなり、企業間で中途採用比率を明らかにさせることにより、中途採用の動きの活性化につながります。

少子高齢化が進むと共に、個人のライフスタイルが多様化する現代社会において、働く意欲がある人たちの能力を存分に発揮できる社会の実現が必要となるでしょう。

今回の公表義務化により、多様で柔軟な働き方を社会全体で促進し、雇用の選択肢の増加・多様化が期待されています。

【3】企業に求められる中途採用比率公表義務化への対応

公表義務化にともなって、常時雇用する労働者の人数が301人以上の大企業では、対応が必要となります。もし、公表義務化に適切に対応しなければ、求職者からの企業イメージの低下につながりかねません。

公表項目について、直近3事業年度の中途採用比率を調査しておく必要があり、データの整理が必要となります。そのため、施行日である2021年4月1日を待たずして、早めに対応するとよいでしょう。

また、中途採用比率の公表義務化により、今後ますます中途採用の一般化が予想されます。これまで新卒一括採用を中心に採用戦略を検討していた企業においては、中途採用の基準や内部の処遇等の整備も必要となります。

公表義務化について、今後、具体的な方法等の情報が省令等で公表されますので、最新の情報を収集して対応していく必要があります。

【4】最新の情報をチェックして、早めの対応を!

今回は、中途採用比率の公表義務化の基本的な内容と対応方法を中心に解説しました。

2021年4月1日から施行されますので、正確な情報を取得しつつ、早急に準備を進めることが大切です。

適切な方法で、正確な情報を公表に努めなければなりませんから、これらの対応をはじめとした採用全般の法律問題の対応は、弁護士に相談するなどして進めていくとよいでしょう。

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弁護士 浅野 英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。企業側労働問題を得意とする石嵜・山中総合法律事務所にて、数多くの労働相談対応、顧問先企業の労務管理を行ってきた経験を活かし、「労働問題に強い弁護士」として、企業側だけでなく労働者側の相談にも対応。労働問題のスペシャリストとして活動中。特に成長中のベンチャー企業、中小企業の人事労務のコンサルティングに定評がある。 【企業向けメディア】ビズベン!企業の労働問題解決ナビ
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