人材難時代に注目すべき手法「アルムナイ」、そのメリットとは?


こんにちは。特定社会保険労務士の榊 裕葵です。

最近人事界隈で「アルムナイ」という言葉が徐々に聞かれるようになっています。しかし一般的にはまだ馴染んだワードではなく、実際に耳にしたことがある方は、少ないかもしれません。

ですが、この「アルムナイ」という言葉は今後の人事、ひいては経営を語る上で重要な意味を持つキーワードになりそうです。

そもそも「アルムナイ」とは?

アルムナイとは、英語の「alumni」に由来し、「卒業生」「同窓生」といったニュアンスの言葉です。和製英語の「OB・OG」と同義と言うことができるでしょう。

そして、我が国で「OB会」というと、学校の卒業生のみならず、企業の退職者の集まりにも「OB会」という名称が使われることが一般的です。

今回紹介する「アルムナイ」という言葉も、人事用語としては「企業のOB会」というニュアンスで使われています。

「OB会」と「アルムナイ」の違い

では、従来のOB会とアルムナイは何が違うのでしょうか。

我が国で「企業のOB会」といえば、定年退職者が集まって昔話に花を咲かせたり、OB社員と後輩社員が和やかに交流し合うような場をイメージするのが一般的ではないでしょうか。

しかし、アルムナイも、OB会といえばOB会の一種なのですが、その役割は、従来イメージされていた「OB会」とは大きく異なります。

アルムナイは、定年退職者というよりも、転職や起業などの理由で退職した元社員が集まる場であり、それぞれ新たなキャリアを歩き出した後も、元の企業とつながりを持ち続け、ビジネスにおいて相互に協力し合うためのグループという位置付けになります。

「アルムナイ」のメリット

それでは、なぜ、アルムナイが重要視されるようになったのでしょうか?

その答えは、アルムナイが企業にとっても元社員にとってもメリットのある組織だからです。

まず、企業側のメリットですが、アルムナイのネットワークを使えば、採用活動の助けになるということです。

具体的なメリットとしては「採用面」や「事業面」

旧来、日本企業においては、一度退職をした人が同じ会社に戻るということはほとんど考えられませんでした。ところが、人材の争奪が激しくなり、また、働き方改革で業務の効率化が叫ばれている昨今、まったくの新人を採用して0から育成するよりも、勝手知ったる元社員を再雇用するほうが、採用コストも安く、即戦力になるという当然のことが改めて認識されるようになりました。

転職した元社員の中には、「やっぱり元の会社のほうが良かった」と思っている人も少なからずいるはずですので、そのような人に門戸を開き、呼びかけるために、アルムナイというのは最適な組織ということになります。

また、退職した社員が元の会社と相乗効果のあるようなビジネスを始めた場合は、アルムナイを経由することで事業提携を打診したりするきっかけも作りやすいです。

社員側にとっても、退職後も同じ企業のOBOGとつながりを持つことは、ビジネス上もメリットがあることが少なくないでしょうし、転職が失敗だと思ったときに、元の勤め先が門戸を開けてくれているのは嬉しいことだと思います。

まとめ

転職が当たり前のことになり、働き方も多様化している現在、我が国においても「アルムナイ」が、言葉そのものだけでなく、実態としても、まさに必要とされているのではないでしょうか。

今回紹介したようなメリットのみならず、“卒業”していった元社員たちのエンゲージメントが高ければ、事業面でも採用面でも口コミ的に会社の評判が広まっていく可能性もあります。逆に考えれば、元社員たちとの関係性が芳しくなければ、アルムナイを生かすのは難しいとも考えられます。

ですので、アルムナイありきで考えるのではなく、常日頃から事業にも従業員にも真摯に向き合っていくことでこそ、中長期的な資産として「アルムナイ」が形作られていくのかもしれません。


【編集部より】人事部に今後求められる姿とは?

人事部の現状と今後の姿
人事部の現状と今後の姿 smarthr

多くの人事担当者が「今後求められる姿」を認識しながら、現状にギャップを感じていると答えています。今回紹介した「アルムナイ」などの施策を手がけようにも、中々手が回らない……などの課題もあるかもしれません。そこで「人事担当者が今後求められる姿は何か?」「なぜ理想の姿と乖離があるのか?」「何が課題となっているのか?」について調査し、解決策を提示します。

特定社会保険労務士 榊 裕葵

東京都立大学法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念として、顧問先の支援に当たっている。執筆活動にも力を入れており、WEBメディアへの掲載多数。
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