給与? 賞与? 「テレワーク手当」の扱いについて社労士が解説

こんにちは、社会保険労務士の山口です。

長引くコロナ禍のなかで、テレワークを各企業内で推奨するにあたり、テレワーク手当を支給する企業も増えています。

このテレワーク手当は、社会保険の実務上どのように取り扱うのがベターなのでしょうか? 社労士が解説します。

そもそも給与と賞与の扱いはどう違う?

「給与」については毎月定期的に支払われるもの、「賞与」は年に1〜2回、ある一定の期間ごとに支払われるものというイメージがありますが、社会保険上はどう定義されているでしょうか。

社会保険(健康保険及び厚生年金)では、月々の給与を「報酬」と呼びます。賃金、給料など名称を問わず、「労働の対償」として支払われるものすべてが報酬です。さらに、労働の対償として受けるもののうち、3ヶ月を超える期間ごとに支払われるものを「賞与」と定義しています。つまり年3回まで支払われるものは「賞与」、年4回以上支払われるものは「報酬」として扱われます。

健康保険料及び厚生年金保険料の決定においては、報酬と賞与いずれに該当するかで変わります。報酬に該当する場合は定時決定(算定基礎届)、随時改定(月額変更届)で月額の等級が決定されます。一方、賞与の場合は「賞与支払届」を届出することによって、保険料が決定されます。

テレワーク手当はどう取り扱うべき?

「報酬」扱いにするケース

テレワーク手当は、毎月支払われるものか、それとも年1回など限定して支払われるものかによって、取扱いが変わります。

毎月の基本給とともに支払われる場合は「報酬」に該当します。

ただし、テレワーク手当の性質が、在宅勤務に必要な通信費・光熱費の実費弁償である場合は、報酬には含まれません。一方、実際にかかる費用に関係なく定額で支払われる場合は、報酬となります。また、1つの手当において、実費弁償の部分とそうでない部分がある場合は、実費弁償部分の金額を除いて、社会保険の算定に含める必要があります。

報酬であれば、資格取得の際は通勤手当等と同様、基本給と合算して等級表に当てはめることになりますし、また、在宅勤務の開始とともに新たにテレワーク手当を支給するようなときは、月額変更に該当する可能性があります。

「賞与」扱いにするケース

テレワーク手当を、毎月支給するのではなく、「椅子やモニターの購入にあててほしい」という目的で年1回などまとめて支給する会社もあります。その場合は「賞与」に該当する為、支給の都度、「賞与支払届」を届出する必要があります。

通常のボーナスについて賞与支払届を提出するということは覚えていても、テレワーク手当について賞与支払届を提出するということは忘れがちです。年金事務所の調査で指摘される可能性もあるので、気を付けましょう。

 

実質弁償的なもの 一定の額
基本給とともに毎月支払う 社保料の対象にはならない 報酬
年1回など限定的な支給 社保料の対象にはならない 賞与

(参考) 在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)  – 国税庁

おわりに

厚生労働省は「テレワーク総合ポータルサイト」及び「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」を公表し、テレワーク手当の取扱いについて説明しています。ポータルサイトでは、社会保険料のみならず、労働保険料の考え方についても明記されていますので、一度目を通しておくとよいでしょう。

また、割増賃金の算定基礎額について、現在はテレワーク手当も算入することとされていますが、経団連は2021年度規制改革要望において、割増賃金の算入基礎から「在宅勤務手当(テレワーク手当)」を除外するよう求めています。コロナ禍で急速に広まったテレワーク手当ですが、今後の社会的情勢により取扱いが変わっていく可能性があるので、動向に注意しましょう。

(参考)テレワーク総合ポータルサイト – 厚生労働省

(参考)標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集 – 厚生労働省

(参考)在勤手当の除外を 割増賃金算定基礎で要望 経団連 – 労働新聞社

2009年、SATOグループ 「日本社会保険労務士法人」設立とともに入所。2010年社員に就任。労務相談部門責任者として中小企業、大企業に対する労務コンサルティングを担当。就業規則諸規程のコンサルティング、判例に基づいた実務的なアドバイスなど経験多数。
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