2022年の年末調整は小変更のみ! 2023年適用の住宅ローン控除と非居住者扶養親族変更を解説!

2022.06.15 ライター: 中島章伍

こんにちは。SmartHRドメインエキスパートの中島です。クラウド人事労務ソフト「SmartHR」の年末調整機能の開発に携わっています。

2022年5月、国税庁から令和4年度の「源泉所得税の改正のあらまし」が発表されました。

令和3年度は、年末調整電子化に伴う「関連書類の押印廃止」や「税務署への事前申告の廃止」などがありました。令和4年度は年末調整に関する変更点は小規模ですが、令和5年度から対応すべき内容が盛りだくさんのようです。

では、令和4年度の「源泉所得税の改正のあらまし」の内容から、年末調整業務への影響を解説していきます。

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令和4年度税制改正のポイントと年末調整で対応する内容

今後の年末調整にかかわる内容は以下の3点です。

年度別の年末調整にかかわる内容

しかし、令和4年度の年末調整に影響があるのは「1.」のみで、その他は令和5年度以降からとなります。

社会保険料控除及び小規模企業共済等掛金控除に係る「控除証明書」の電子データ提出

これまで年末調整で所得控除の適用を受けるために、勤務先へ書面で提出していた下記2点が、電子データでの提出が可能となりました。

  • 社会保険料控除証明書
  • 小規模企業共済等掛金控除証明(払込証明書) ※iDeCoなど

すでに電子データでの提出が可能になっている「生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書」などに加えて、社会保険料控除証明書と小規模企業掛金控除証明書も追加となります。

勤務先が電子的控除証明書等の受付ができない場合は、従来どおりの紙の控除証明書や、必要に応じて国税局提供の「QRコード付証明書等作成システム」を利用して、電子的控除証明書等を書面で出力して提出できます。

令和5年度以降の年末調整で対応する案件について

令和4年に対応することは上記で説明したとおりですが、令和5年度は今の段階でも大きな変更点があるので注意しましょう。具体的に解説していきます。

住宅ローン控除の適用延長など

2050年カーボンニュートラル実現に向けた対策や、社会環境の変化などに対応した豊かな住生活の実現に向けて、住宅の省エネ性能向上・長期優良住宅の取得推進を背景に、次の4点が変更になります。下記の内容は令和4年以降の適用であり、令和4年は確定申告をするため、年末調整に関わるのは令和5年以降となります。

  1. 住宅ローン控除の借入限度額・控除率・控除期間の変更
  2. 住宅ローン控除適用対象の所得要件変更
  3. 新築住宅床面積40㎡以上の住宅の要件変更
  4. 借入金残高証明書の添付が不要に

重要かつ大きな変更点は「1.」です! では具体的に解説していきます。

(1)住宅ローン控除の借入限度額・控除率・控除期間の変更

これまで住宅ローン控除は令和3年12月31日までの適用期限でしたが、今回の改正により令和7年12月31日まで4年延長されました。

また、令和4年から令和7年までの間に入居した場合の住宅借入金などの年末残高の限度額、控除率及び控除期間が住宅の種類などに応じて下記のように変更されました。

令和4年から令和7年までの入居時の住宅借入金等の借入金限度額・控除率・控除期間

(※1)「認定長期優良住宅」および「認定低炭素住宅」のことを指す

(※2)ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、高断熱外皮(壁紙・窓など)で、LEDなど省エネ設備を使用し消費エネルギーを減少させ、太陽光発電によりエネルギーを創ることで、エネルギーの収支をゼロにしようとするもの

今回の改正により、従来の「認定住宅(認定長期優良住宅および認定低炭素住宅)」に加え、「ZEH水準省エネ住宅」と「省エネ基準適合住宅」が追加されました。また、住宅性能と入居開始年の区分別に、借入限度額・控除率・控除期間が変更されました。

  • 住宅性能、居住開始年別に借入限度額が変更
  • 控除率は1%から0.7%へ変更
  • 控除期間は、新築住宅は13年へ延長、中古住宅は従来どおり10年
  • 震災再建住宅については、控除率0.9%、控除期間13年

(2)住宅ローン控除適用対象所得要件の変更

従来住宅ローン控除適用の所得要件は、その年の合計所得金額が「3,000万円以下」でしたが、今回の改正により2,000万円以下」へ引き下げられました。

基礎控除や配偶者控除などの要件確認において、給与以外の所得がある従業員についてはご注意ください。

(3)新築住宅床面積40平方メートル以上の住宅の要件変更

床面積40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅について、令和3年1月1日から令和4年12月31日の期間で適用とされていましたが、令和5年12月31日以前に建築確認を受けた住宅の取得においても適用とされました。ただし、合計所得金額が1,000万円以下という所得制限があるため、注意が必要です。

(4)借入金残高証明書の添付が不要に

令和5年1月1日以降に取得した住宅については、従来年末調整時に住宅ローン控除を受けるために提出していた「借入金残高証明書」の添付が不要とされました。詳細については、はっきり公表されておりませんが、来年以降の年末調整の住宅ローン控除については、従来の確認フローから大幅に変更となることが予想されます。

この内容はあくまで令和5年以降の取得にかかる場合であり、令和6年以降の年末調整から適用になると思われます。また、それ以前に取得している場合は、従来どおりの提出となるようですので、注意しましょう。

非居住者扶養親族の適用範囲変更

以下の内容は、令和2年度の税制改正により、令和5年以降適用されるものです。扶養控除の対象となる扶養親族の範囲が、「16歳以上の非居住者」のうち「30歳以上70歳未満」の非居住者が除外されました。ただし、「30歳以上70歳未満」でも、下記に該当する場合は今までどおり対象となります。

(1)留学により国内に住所および居住をしなくなったもの

(2)障害者

(3)扶養控除の適用を受けようとする居住者からその年において生活費または教育費に充てるための支払いを38万円以上受けている者

変更の要件を整理すると、以下のようになります。

扶養控除の対象となる扶養親族の範囲

また、(1)と(2)に該当する場合は、証明するための確認書類の提出が必要になります。

非居住者扶養家族別の確認時期と確認内容

おわりに

令和4年度の税制改正では令和3年度に引き続き、電子化対応に加えて令和5年度以降対応の住宅ローン控除に関する変更が大きなポイントです。

住宅ローン控除については、変更前の現状でさえ計算が複雑で苦手意識を持つ方が多いかと思います。令和4年度の年末調整に大きな影響はないと見受けられるため、翌年に向けて今のうちからしっかりと変更内容を整理していきましょう。

また梅雨のシーズンに入ったばかりですが、労務担当者の方はそろそろ頭の片隅に「また年末調整の時期がやってくるな〜」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

体調にはお気をつけて、今年の年末調整も頑張って乗り越えていきましょう!

大手百貨店で人事労務、社内SEとしてのキャリアを積んだのちに、2022年4月にSmartHRに入社。現在はドメインエキスパートとして、実務経験をプロダクト開発に活かす活動に従事しています。
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