マネージャーも使えるシャドーって何? 〜Smart相談室のプロコーチが行っているちょっと変わったセッション〜

2022.11.18 ライター: 廣嶋祐治

2022年9月29日、オンラインカウンセリングサービス「Smart相談室」を提供する、株式会社Smart相談室主催のオンラインセミナー「Smart相談室のプロコーチが行っているちょっと変わったセッション 企業労務担当、マネージャーも使えるシャドーって何?」。

Smart相談室カウンセラーの須藤 拓さんをお迎えして、相談者様が抱えている課題に対して、カウンセラーがどのように「ご本人の気づき」を促すようなアプローチしているかをご紹介しました。

部下のマネジメントに活用できる「不明確な状態から問題を顕在化させる手法」についてお届けします。


<セミナー講師> Parole Language代表 Smart相談室カウンセラー 須藤 拓 氏

<進行> 株式会社Smart相談室 CEO 藤田 康男

シャドーは個人にも組織にも影響する

須藤さん:「シャドー」は、あまり聞かない言葉だと思います。シャドーとは、「自分のなかの自分ではない一面」のことです。「自分ではない一面とどのように一緒に生きていくか」「仕事のなかで、メンバーとの関わりをどのように考えていけばいいか」というヒントになれば幸いです。

本編の前に、「シャドー」に対して、藤田さんはどのようなイメージをもっていますか?

藤田:まずネガティブな意味では、影の部分や、隠れている部分のイメージがあります。ただ、私は英語を聞きながら真似して発音するシャドーイングを実践して英語力が伸びたので、ポジティブなイメージが強いですね。

須藤さん:シャドーという概念が日常生活に関わってくるのは、個人レベルでいくと「虫が好かない相性の悪い人がいること」や、「同じパターンで失敗してしまうこと」でしょう。例えば、転職しても1、2年で飽きて、すぐ転職してしまうなど、同じパターンを繰り返しているところに、シャドーが見え隠れしているといわれています。

組織レベルで考えてみると、よい人たちなのに、その2人が関わると、なぜかケンカになってしまう。馬が合わないメンバーがいる場合、当事者たちのシャドーが影響していると考えられます。

シャドーの理解がコミュニケーション改善の第一歩に

須藤さん:シャドーの概念を知っても、すぐに部下のシャドーを明らかにしたり、部下のシャドーを取り除いたりといった使い方ができるわけではありません。

今回は、シャドーを含んだ存在としての人間観を理解していただき、シャドーとは“こういうものだ”ということを紹介します。シャドーに対する理解が、社内コミュニケーションの改善、共感による人間関係の改善につながるので、周りの人だけではなく、自分にもシャドーの側面があるという理解を深めていただければと思います。

シャドーとは「あるのに、ないことにしている」部分

須藤さん:改めて「シャドーとは何か」を話していきます。皆さんは「自分のなかにあるのに、ないほうが都合がよいから、ないことにしていること」をお持ちでしょうか? 今の私を例に出してみましょう。

私は今、皆さんに話していますが、すごく緊張していて、本当は逃げ出したいという気持ちがあります。ただ、逃げてしまうわけにはいかず、その思いはないものとして、私は登壇しているわけです。逃げ出したい気持ちは都合が悪いので、ないことにしているんですね。藤田さんはこのような経験はありますか?

藤田:2つの気持ちがあって、1つは怠けたいという気持ちです。もう1つは、いろいろなことを自分でやりたいという思いです。なかなか人に任せられない性格なので、自分でやったほうがよいのではないかと、常に葛藤しています。

須藤さん:「本当は自分でやってしまったほうが早い」という気持ちがあっても、チームで働く都合を考慮し、その気持ちはないことにする。

このように「あるのに、ないことにしている」部分というのは、消えるのではなく、自分の無意識領域に残っているといわれています。これがシャドーの概念になります。

シャドーの概念

具体的な例で説明していきます。仮に「海外で働きたい」人がいたとします。海外で働きたいが、周りの人から「まずは就職するべき」「新卒は貴重な時期だから、日本の会社に入社するべき」というアドバイスや、「英語力が足りない」「資金面が難しい」という現実があったとします。この「海外で働きたい」気持ちが、いつの間にかないことになって、「やっぱり日本で頑張るか」という気持ちに置き換えられる。海外で働きたい気持ちはまだあるのに、ないことにして「日本で頑張るぞ」という気持ちにしているんです。

なぜ海外で働きたいかと考えると、「多様性のなかで生きてみたい」「人生を冒険のように生きてみたい」「自由でありたい」「自己表現したい」という願いが出てきました。これは、「海外で働きたい」という裏にあった気持ちで、「海外で働きたい」という気持ちをないことにしたときに、これらの気持ちも一緒になくなってしまいます。

この気持ちは、まだ自分の無意識領域にあるので、自分の外の出来事や人に反応して、そわそわしたりイライラしたり、現実世界に影響が出てくるんですね。留学帰りの同僚がいたとします。普段から嫌いではないのに、留学の話をされるとすごくイライラする、その場を離れたくなってしまうことが起きたりします。

同僚が悪いのではなく、自分のなかにある、叶わなかった願いや、ないことにした気持ちが反応している状態です。これが、シャドーが現実世界に影響を与えてくる例です。

シャドーが現実世界に与える影響

シャドーはもともと、ユング心理学の概念で「気づかずに抑圧した感情や願い」を指します。自分の無意識領域にまだ残っていて、叶えられなかった自分として自分の心に息づいている。

その無意識領域の自分がシャドーとして、他人や現実への投影として、生活に微妙な影響を与え続けているのです。

これだけ聞くと怖いもので、消したいと思われるか方もいるかもしれません。しかし、ユングは同時に「シャドーは人間味の源泉」とも残しています。人間にはなくてはならないものであり、人生の多様性や人間味の豊かさにもつながると考えていたのです。

人間は、抑圧されるからこそ環境に順応できます。例えば、海外に行きたいという気持ちを持ち続けたまま日本で働くのは、非常につらいので、海外に行きたい気持ちは抑えながら日本で働いている。

藤田さんの例では、さぼりたい自分をガンガン出していると仕事はできないですから、さぼりたい自分を抑圧して生きている。これはすべての働く人にあてはまると思います。抑圧されるからこそ、今の生活が成り立っているということが、確実にあるわけです。

人間として生きていれば、みんな必ず何かしらシャドーを持っているといわれています。

シャドーによって何かを抑圧して、何かを選んで生きている。その生き方によって、その人の人生をつくっています。

シャドーを消していこうとか、なくしていこうというアプローチではなく、自分のなかに「実はこういう自分がいる」と気づいていくためのアプローチが重要になります。

「こういう自分はいないと思っていたけれど、こういう自分もいる」と理解し、自分の望ましくない部分とともに生きていく。全体性をもって生きていくことにつながる概念です。

シャドーが及ぼす日常生活への影響

シャドーによる日常生活への影響を2つ説明します。

シャドーの抑圧には多くのエネルギーが必要

1つ目に、シャドーの抑圧は無意識のうちに発生していますが、実は多くのエネルギーを使っています。自分のなかでないことにするには、多くのエネルギーが必要です。

私たちは生活、仕事などいろいろなことにエネルギーを分配して生きています。わかりやすく、エネルギーをパソコンのメモリのように表してみました。

エネルギー配分のイメージ

10のエネルギーがあるとすると、実はシャドーの抑圧に3~4を使っているのです。本当は10の力が使えるのに、6ぐらいの力で生活、仕事などをやる必要がありますね。

2つ目には、シャドーが投影されて「嫌いではないが、相性が悪い」という人が表れ、人間関係やコミュニケーションに影響が出てくるということです。

シャドーと向き合うメリット

次に、シャドーと向き合うメリットについて説明します。

見ないようにしていた自分の一面に気がつくと、シャドーの抑圧に使っていたエネルギーが解放されて、本当にエネルギーを向けるべきところに使えるようになります。

シャドーと向き合うことでエネルギーを解放できる

実際、コーチングでシャドーセッションが終わった後は「元気が出ました」という意見が多いです。また、「自分にはこのような部分があったんだ」と気づくと、同じ部分を持っている相手に共感や慈悲が生まれ、関係が改善されていくといわれています。

シャドーの自覚でエネルギーの回復や他者への共感が生まれる

ここまで説明してきた、シャドーという概念をまとめておきます。

シャドーは「自分のなかの“自分ではない”部分」です。相容れない人が出てきたり、気づかずに受けている影響を抑圧したりするために、多くのエネルギーを使っています。しかし、シャドーは悪いものではなく、自分の人間味の源泉です。消してしまうのではなく、自覚して共存するアプローチをとることで、エネルギーの回復や、他者への共感が生まれます。

シャドーがもたらすプラスの効果

藤田:シャドーは潜在意識の多くの割合を占めていて、多くのエネルギーがシャドーに使われているんですね。自分がシャドーに支配されているのかと、嫌な気分、危機感がありました。シャドーがなかったら、「もっと生産性があがるんじゃないか」「もっとストレスから解放されるんじゃないか」という印象です。

ただ、自分をよい方向に抑制してくれているものがなくなると、「変わっていますね」と言われてしまうのかなと思いました。

須藤さん:シャドーが占める割合は人によります。シャドーを統合するということですね。例えば、藤田さんのなかにある「さぼりたい自分」を認めたからといって、藤田さんがさぼり始めるわけではありません。藤田さんのなかに、さぼりたい自分がいるから、ちゃんと休めるエネルギーなったり、よいほうにも作用したりします。

もちろん良い面と悪い面があります。さぼりたい自分を抑制していたら、働きすぎてしまう場合もありますが、「さぼりたい自分がいる」と思うと、働きすぎずにバランスを取れるようになります。

藤田:さぼりたい自分がいるから、今、適正に働けるようになっているという解釈ですね。

須藤さん:本当に働きすぎていて、休む時間がまったくないという人は、「さぼりたい自分」にもう少し居場所を与えてあげることが大事になりますね。

藤田:シャドーがそれをするんですか? 「さぼりたい自分」を抑えるのがシャドーだと思っていました。

須藤さん:さぼりたい自分を抑えているのはシャドーかもしれませんが、「さぼりたい自分」が自分のなかにいると認識している場合は、シャドーではありません。「さぼらせてくれない何かがいるのですが、自分にはそれが何だかわからない」というものが、シャドーという感じですね。

藤田:よくわかりました。ありがとうございます。

コーチングでシャドーを扱うメリット

須藤さん:ここからは、コーチングの文脈で、どのようにシャドーが使われるかについてお話ししていきます。

コーチングでシャドーを扱っていくと、エネルギーが解放されて、エネルギーを向けたいところに向けられるようなります。また、自己認識を拡張できます。

コーチングでシャドーを扱う3つのメリット

また、「自分にはこのような一面があるんだな」「こういう自分もいてよいよね」と自分の許容範囲が広がります。自分の幅が広がることで、今までの自分だったら絶対に選ばなかった選択肢を選べるようになるんですね。シャドーを扱うと、自分のなかの多様性に気がついて、自分の一部として活用できるようになります。

コーチングで扱う際の注意点

須藤さん:ここで注意点があります。本来シャドーは、精神分析で使われており、トラウマとも結びついているため、臨床心理士など心理学の専門職の方が扱う領域です。シャドーには濃淡があって、「さぼりたい」ぐらいのライトなものに限り、コーチでも扱えます。コーチングをしていて、手に負えないなと感じたら、「私はコーチなので、ここから先は専門家を紹介します」と、しっかり止めておきましょう。

シャドーを知ったからといって、むやみに使うことは危険です。コーチングでシャドーを扱う際には、“地下室の整理をして、生活の質を上げる”といったイメージで進めてください。

コーチングでシャドーを扱うデモセッション

須藤さん:コーチングでシャドーを扱う際の具体例として、「いのっちさん」というクライアントとのデモセッションをご紹介します。このセッションでは、「家族に対してモヤモヤする」というところを出発点として扱っています。

15分の動画を3パートに分けて、パートごとに簡単に解説を挟みながら進めていきます。

モヤモヤの明確化

1つ目のパートは、家族に対するモヤモヤの明確化です。家族に対して何故モヤモヤするのか、どのような感じなのかを明確化していく時間。

2つ目のパートは、出てきたシャドーに話しかけてみたり、シャドーになりきってみたりして、シャドーとの関係を深めていく時間。

最後のパートは、シャドーを自覚してどう感じるかを振り返っていく時間になります。

セッションを通してシャドーを自覚することで、「どのようにエネルギーの回復と自信が生まれていくのか」に着目してください。

デモセッション(1):モヤモヤの明確化

須藤さん:家族のことにフォーカスして、モヤモヤする気持ちを見つめていきます。とくにモヤモヤするときはどのようなときですか。

いのっちさん:「自分はこれをやりたいからやっている」とか、「これからこれをやる」と電話で伝えたときに、いろいろと詮索されたり、家族から否定される傾向が見えたときに、とてもモヤモヤしますね。

須藤さん:そのときの家族は、いのっちさんからはどう見えますか。

いのっちさん:行きたいのに壁があって、出たいのに出られないような気持ちになります。

須藤さん:モヤモヤのほうにフォーカスしてみたいと思います。そのモヤモヤをイメージしてもらって、入っていってみてください。どんなモヤモヤですか。

いのっちさん:1つではないと感じます。好きな家族が、自分がやりたい方向を応援してくれないのが嫌なのが、まず1つ。ほかにも家族と仲良くしたいけれど、モヤモヤするので何も言いたくない気分になってしまい、あまり仲良くできていない状況にも、モヤモヤしている感覚があります。

須藤さん:仲良くしたいのに仲良くできていない。またそこをじっくり考えてみましょう。どんな気持ちになりますか。

いのっちさん:胸がぎゅっとする感じがします。暗い気持ちになります。

須藤さん:苦しそうですね。胸がぎゅっとなっていることにフォーカスしてみましょう。何がぎゅっとしているんでしょうか。

いのっちさん:家族が押さえつけているのかと思ったのですが、そのような感じではないですね。自分の心が押さえつけている感じがします。今、黒い何かが広がっています。

両親の仲が悪かったことによって、嫌な思いをしていた自分への思いが、出てきています。それは自分のことなのでよいのですが、「もしかしたら自分も将来、同じようにしてしまうのではないか」「周りの人に対して意図せず嫌な思いをさせてしまうのではないか」という黒いモヤモヤなのかもしれません。

いのっちさんのモヤモヤとは?

モヤモヤを具体的に想像する

須藤さん:ここまでがパート1です。モヤモヤを明確化していきました。家族に対してモヤモヤするというところから、まずは、とくに何にモヤモヤするのかを具体的に想像してもらいました。

好きなテレビや着ている服、好きな食べ物、話の内容など、家族の特徴があるなかで、とくに「相手がわからないから否定する」傾向が見えたときに、詮索されているようでモヤモヤすることがわかりました。それは壁のように感じられて、動けないような感覚があります。

そこにフォーカスすると、「胸がぎゅっとする感じがある」とおっしゃっていました。さらに、そこには何か黒いモヤモヤがあることがわかったんですね。そして、胸をぎゅっとしているのは家族ではなくて、自分の心の黒いモヤモヤだとおっしゃっていましたね。

自分のなかで認識できてない心の一部がシャドーではないかというところで、続きを見ていきましょう。

デモセッション(2):シャドーとの関係を深める

須藤さん:今度は、いのっちさんがその黒いモヤモヤになりきってみましょう。まずは、いのっちさんを脱いでいただいて、置いて、その黒いモヤモヤを着てみてください。

今から、その黒いモヤモヤに話しかけていきたいと思うので、モヤモヤとして答えてください。よろしくお願いします。お名前は何ですか。

いのっちさん:かずきです。

須藤さん:かずきさんは普段、どんな気持ちで生きているのでしょうか。

いのっちさん:平和に過ごしたいです。そんな空間をつくっていきたいのですが、自分がいることによって、つくれなくなってしまうのが嫌なので、できるだけ存在感を出したくありません。

須藤さん:穏やかでいたいけど、自分のせいでできないのではないかと感じているのですね。

いのっちさん:自分がいることによって、周りがケンカをしてしまって自分も悲しいし、周りも悲しいという連鎖になる感じがあります。穏やかな関係をつくりたくてもできないと感じています。

須藤さん:かずきさんから、いのっちさんに伝えたいことはありますか。

いのっちさん:今、彼は外の世界にいて、いろいろやりたいことをやれていて、楽しく生きているので、それは応援したいです。どんどんそこを深めて、自分の道を進んで欲しいという思いが出てきました。

でも、それとともに、どんどん遠くに行ってしまうような感じがあるので、落ち着いたときでよいので、できる範囲で外の世界のよい影響をこっちにも持ってきてほしい。独りにして欲しくない、寂しいと伝えたいですね。

須藤さん:ほかに伝えたいことはありますか。

いのっちさん:「大丈夫だよ」と伝えたいです。よい世界にいるので、「自分が人に対して負の影響を与えてしまうのでは?」と、考えすぎなくてよいと思います。自信を持って生きてくれたらよいのではないかと伝えたくなりました。

いのっちさんのシャドーを言語化した内容

モヤモヤの解像度を上げて思いを言語化する

セッション(1)で出てきた黒いモヤモヤを対象化して、何を考えているのかなどを話し合って、黒いモヤモヤの解像度を上げていきました。シャドーになりきる方法はいくつかありますが、脱いで着てみるという体の感覚を使う方法が私は好きで、これを取り入れています。聞いてみると、名前も名乗ってくれるんですね。

どんな気持ちで生きているかと質問してみると、「平和でいたい。穏やかでいたい。穏やかな関係をつくりたくても、それができない」という気持ちがあると話してくれました。

家族に詮索されるとモヤモヤするという、いのっちさんの思いをシャドーになりきって言語化してみると、「穏やかな関係を築きたい」という願いが出てきました。

また、いのっちさんは、シャドーは無認識のなかにいて「寂しいからもっと構ってほしい」とおっしゃっていて、「自分はここにいるから大丈夫だよ」と思っていたことがわかりましたね。

次が最後のパートです。シャドーを自覚してみて、いのっちさんがどのように感じるかを一緒に見ていきましょう。

デモセッション(3):シャドーを自覚して振り返る

須藤さん:お帰りなさい、いのっちさん。いかがでしたか。

いのっちさん:スッキリしました。背筋がピンと伸びた気がします。

須藤さん:聞いてみて思うことはありますか。

いのっちさん:自信になりました。まず、「自分の人生を生きてよいんだ」という気持ちが湧いてきました。

自分の人生を充実させて楽しむことで得たものを、時間が空いたときや余裕があるときに還元するというのはよいと思いました。また、それは今できることだと思うので、やっていきたいと思います。

コーチングを学び始めてから、人の成長や感情に寄り添うことをやっていきたいと思っていましたが、小さいころの自分や家族に対しては、あまりできていなかったと気がつきました。感情に寄り添うことは、自分の進みたい方向性だと思うので、これからどんどんやっていきたいですね。

須藤さん:そうやって生きることが、かずきくんにも還元されていくということですね。

いのっちさん:そうですね。

須藤さん:シャドーがいるとわかったから、いのっちさんは、それができると僕は思っています。

いのっちさん:今まで見えていなかったものがあるとわかったのは、とても大きかったですし、エネルギーが湧いている感じがあります。

シャドーを自覚したのちの感想

「シャドーの自覚」がポジティブな気持ちに導く

須藤さん:最初に、シャドーを自覚するメリットとして「エネルギーが回復してくる」とあげましたが、いのっちさんは模範解答のように、最後に「エネルギーが湧いている」と話してくれてました。これはシャドーが統合されて出てきた言葉だったのかなと思います。

いのっちさんは、「シャドーを通して自信がつき、自分の人生を充実させて還元していく」というシャドーとのつき合い方を見つけました。

また、もともと人の感情に寄り添うことをやっていきたいと思っていたけれど、家族に対してはできていなかったことにも気づきました。

実際、いのっちさんが今どのように家族と触れ合っているかは、私はわからないのですが、このセッションの後に、家族の感情に寄り添う態度を取る選択肢が、いのっちさんに生まれていたらよいと思っています。

自分になかった選択肢が生まれることで、人間関係の修復につながっていくと思います。

家族に対するモヤモヤから始まって、いのっちさんには「穏やかな関係を築きたくても、できていない」という隠れた思いがあるとわかりました。家族の感情に寄り添っていなかったと気づき、エネルギーが湧いてくる一例としてご紹介しました。

1人でできるシャドープロセス

いのっちさんとのセッションでは、「モヤモヤを具体的に想像して、話しかけて、なりきってみる」ことをコーチと2人で実践していますが、1人でもできるプロセスがあるので、簡単にご紹介します。

1人でできるシャドープロセス

まず、その日に自分を悩ませた人、自分を惹きつけた人を1人選んでください。とくに自分を悩ませた部分を頭のなかにできるだけ細かく描写していきます。

例えば、海外に行っていた友人を選んだとします。その友人が「海外の話をしているときが気になった」「自慢されている感じがした」という気持ちなど、嫌だったと思ったところを描写していきます。

次に、その特徴を念頭に置いて、頭のなかでその人に話しかけてみます。「どんな気持ちでいるのですか」「何を求めているのですか」と話しかけます。

例えば、その友人は「留学時の海外生活がとても素晴らしかったから、それを共有したかった」と頭のなかで言ってくれたとします。そして、その人の言葉を使って、その人になりきって、その言葉を自分で口にしてみます。「自分は海外生活を素晴らしいと思っている」と口にしたときに、どんな感じがするかを自分で味わってみるというプロセスです。

あまりピンと来ないかもしれませんが、別々の対象をもとにやっても、同じところに行き着いたり、繰り返すことで、自分のなかのシャドーが現れたりすると思います。ぜひ実践してみてください。

シャドーの理解で視点を転換しよう

シャドーを理解することは、「望ましい自分へ、どのように成長していくか」という視点から、「望ましくない自分とともに、どのように生きていくか」という視点へ転換することだと思います。

仕事のなかでも、「この人はここに合っていない」というときに、違う側面を見てみるという視点の転換に活用できます。シャドーを理解することは、自分の影の部分を見つめていくことにつながります。

「三角形だと思っていた自分が、実は立体的だった」と知ることが、立体的な自分としての生き方や、裏側のリソースの使い方を考えるきっかけにつながってくると思います。

▼Smart相談室について

Smart相談室は、従業員のモヤモヤを解消し、個人の成長と組織開発を促すEAP(従業員支援プログラム)サービスです。

メンタル不調はもちろん、業務内容、プライベートなこと、ハラスメントの訴えまで、さまざまな相談にオンラインで対応します。メンタル不調になる前に対応し、離職を防止します。

詳細はこちら:Smart相談室

株式会社SmartHR コンテンツマーケティングユニット所属。雑誌編集者、クリエイティブディレクターを経験したのち、2022年3月より「SmartHR Mag.」「SmartHR ガイド」の編集に携わっています。
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