【Next2021】業務効率化の先にある、人事担当者の新たな役割とキャリア

2021.09.09 ライター: SmartHR Mag. 編集部

2021年6月22〜24日、SmartHR主催イベント「SmartHR Next 2021」を開催しました。テーマは「人材マネジメントが創る、VUCA時代の経営」。本セッションのパネルディスカッションでは、「業務効率化の先にある、人事担当者の新たな役割とキャリア」と題しディスカッションを実施しました。

これからの人事労務担当として求められる役割やキャリア形成について、SmartHRをご利用のお客さまにご登壇いただきました。

■ パネラー

並木 亮輔氏(株式会社BAKE 人事部 部⾧)

森 知也氏(株式会社パーソナルネット 管理本部 人事部労務課 課長)

■ モデレーター

鈴木 高太郎(株式会社SmartHR カスタマーサクセスマネジャー)

鈴木SmartHRで、カスタマーサクセスマネジャーを担当している鈴木高太郎です。本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、個人の働き方やキャリアのあり方が大きく変化している昨今、人事労務担当者としてどのようなスキルを身に付け、キャリアを切り開いていくべきでしょうか。今回は株式会社パーソナルネット様、株式会社BAKE様をお招きしています。

森さん:株式会社パーソナルネット 人事部労務課の森と申します。弊社は福岡県北九州市を中心に、auショップとソフトバンクショップを43店舗運営しています。従業員数は約400名で、ソフトバンク部門では、九州・中四国エリアにて優秀オーナーランキング1位を獲得している代理店です。私は主に労務管理や福利厚生を中心に担当しています。

(株式会社パーソナルネット 森さん)

並木さん:株式会社BAKE 人事部の並木と申します。弊社はBAKE CHEESE TART、アップルパイのRINGO PRESS BUTTER SANDといった商品を展開していまして、現在では、国内外合わせて約120店舗ほど出店しています。2020年1月にBAKEに入社し、人事制度周りの運用や改定、労務周りの管理を中心に担当しています。

(株式会社BAKE 並木さん)

労務業務の紙運用で従業員にも負荷がかかっていた

鈴木:まずはSmartHR導入前に感じていた課題を伺えますか?

森さん:SmartHRを導入したのは、私が入社してすぐでした。当時の従業員数は200名ほど。バックオフィスの担当者は1名で担当していました。人事データの収集や手続きをすべて紙で運用しており、入退社の手続きや給与計算業務で夜中まで仕事をしていたようです。そのような状態で店舗数・従業員を増やす方針があり、バックオフィスの効率化は喫緊の課題でした。

鈴木:入社間もない時期に新しいツールの導入を推進するのは大変だったのではないですか?

森さん:前職が積極的にIT導入を実践していた社労士事務所でしたので、デジタルでの電子申請や人事データの管理は日常的でした。今までやってきたことを応用できたので、大きな問題はなかったですね。

鈴木:労務に関するツールに数多く触れている中で、SmartHRの使い勝手はいかがですか?

森さん:デザインの親しみやすさが第一印象に残りました。従来の人事労務システムのUI(ユーザーインターフェース)は、少しとっつきにくいデザインが多い印象でした。SmartHRは従業員もわかりやすい画面を想定して開発されていると感じます。

鈴木:ありがとうございます。並木さんが入社した時点ではどのような状態でしたでしょうか。

並木さん:弊社も、人事労務業務のほとんどを紙で運用していました。紙での運用のため、書類を郵送→全員に配布→回収→人事部へ郵送、と店舗従業員にとって非常に負担が大きい状態でした。また、店舗内で個人情報が記載された書類をどう保管するのか、という部分も問題となっていましたね。

鈴木:並木さんは、業務効率化推進のためにどんなことを意識していますか?

並木さん:一番大事にしていることは、従業員にとっての使いやすさです。従業員がスムーズに使えることを第一に考えて進めました。検討中の段階で店舗従業員に案を見てもらい、意見をもらって修正し、本稼働していくことを大事にしています。

事業拡大にも対応でき、従業員の業務負荷も軽減

鈴木:かなり丁寧にコミュニケーションを取っているのですね。では次に、導入による効果を伺えますか?

森さん:バックオフィスチームの効率化が進んだことで、休暇取得や早帰りをしやすくなりました。入社時に200名だった従業員をスピーディに400名まで増加できたのも、バックオフィス環境が整っていたからだと思います。環境整備が間に合っていなければ、業務負荷もかなりかかっていたのではないでしょうか。

鈴木:ありがとうございます。並木さんは、どのような変化を感じていますか?

並木さん:店舗従業員の人事業務負荷を減少でき、お客様との時間ややアルバイト教育など、店舗営業に集中する時間を増やせたと思います。以前から「サービスレベルの向上」という課題があり、店舗と本部の繁忙期を避けながら課題解決の施策を進めるのは難しいと感じていました。効率化したおかげで、人事側からも手を打ちやすくなっています。

業務効率化の次に取り組んだこと

鈴木:ありがとうございます。では、効率化によって生まれた時間で、どのようなことに取り組んだかを伺えますか?

並木さん:工数削減の次のステージとして、店舗従業員や本部従業員のサービスレベルの向上、教育に力を入れたいです。

弊社は9割以上が中途社員で、即戦力の方が入社しています。一方で、求めるサービスレベルや接客レベルと照らし合わせると、向いている方向が少しずつ違うと感じる時もあります。あらためて会社としてのミッションやビジョン、対従業員に対して求めるバリュー、行動指針を明確にし、浸透させる必要があると考えています。

鈴木:森さんは工数削減された時間を、どのような形で活用されていますでしょうか?

森さん:私は労務知識に関する社内勉強会を実施しています。入社される方の年齢が比較的若く、基本的な労務知識を身につけていない方もいるためです。

例えば従業員にとって身近な「休憩時間」についての知識もあやふやです。どれくらい働いたら、どれだけ休憩を取らないといけないのか、休憩中にも電話対応はしなければならないのかなどの知識ですね。残業時間が注目される一方、休憩の正しい知識には意外と目が向いていないため、人事からきちんと発信していくことが大事だと思います。

鈴木:なるほど。他にも、制度に関係することで取り組んでらっしゃることはありますか?

森さん:リフレッシュ休暇制度の使用率を増やす取り組みをしています。「制度は知ってるけど休みを取りづらい」、「そもそも忙しいから取れない」などといった声が上がっていたんです。

形骸化した制度を復活させるべく、現在1年先のシフトまでを考えどこで5連休をとるかを決めてもらっています。サービス業でも連休が取れる仕組みを実現すれば、ESの向上、採用、離職率にも良い影響があると信じて推進しているところです。実際、社員たちの間で「休暇を取れた」という報告や会話が生まれていて、とてもありがたいです。

鈴木:社員さん同士で、「5連休は何をするの?」という会話が生まれ、制度の浸透が進んでいるのは素晴らしいですね。

今後、人事労務として目指したいキャリア

鈴木:次は、人事労務担当として目指したいキャリアについて伺います。今後のキャリアについて、どのように考えていますか?

並木さん:先ほどもお話したように、主にサービスレベルの向上に時間を充てたいですね。

また、人事は給与計算や評価など、嫌な役回りをする部署という一面があります。ですので、人事部に対して、怖い、関わりづらいと感じてしまう人もいるかもしれません。でも本当は、業務の効率化や制度などの取り組みによって、従業員の目線に立とうとしている部署なんです。経営に直結する部署という立ち位置を確立したいですね。

鈴木:ありがとうございます。では森さんの目指したいキャリアについては、いかがでしょうか。

森さん:私は制度浸透を促す取り組みをさらに実施したいです。制度や取り組みが形骸化しないよう、意図を丁寧に説明する活動を続けたいですね。人事の自己満足になってしまっては、それまでに使ったお金や時間が無駄になってしまいます。社員の方からもフィードバックをもらい、より現場に即した制度作りにつなげていきたいと思います。

またBAKEさんがお話をされたように、人事はとっつきづらいイメージがありますよね。勉強会やその後の雑談で接点を作り、何かあれば相談してもらえる存在になることを目標としています。

鈴木:素晴らしいですね。お二人とも業務効率化を進め、さらに次のステップに向けてイキイキとされている姿が印象的です。

Q&A:部署内外からの協力を得るには?

鈴木:セッションのテーマは以上となります。ここからは質問をいくつかご紹介します。まずは森さんへの質問です。

「労務勉強会、素敵だなと思います。一方、現場従業員に及び腰になってしまったり、自分事できない方も多いのではないかと思います。理解を得ながら、労務知識を高めていくポイントは何でしょうか」

森さん:結果的に従業員にどんな影響が起こるのかを伝えるように心がけています。例えば休憩なら、なぜ労働基準法に即した長さの休憩を取らなければならないのかを説明しています。それは自分の健康を害するからですよね。

労働基準法は健康で文化的な生活を送っていけるように定められた法律です。健康が損なわれるとサービスレベルが低下し、最終的には売り上げの低下に繋がりますよ。間接的に、従業員の給料やボーナスにも影響するかもしれません。

鈴木:なるほど、背景を丁寧に伝えるのは大事ですね。ありがとうございます。では次は並木さんへのご質問になります。

「人事労務業務の効率化を目指し、取り組むべき課題に着手したいのですが、同僚から理解が得られません。チームとしてベクトルを合わせるための工夫について、アドバイスはあるでしょうか」

並木さん:自分自身にやりたいことがあっても、チームにそこまでの熱量がないというケースはありますよね。そういったときには、誰にどんなメリットが生まれるのかを、丁寧に説明するようにしています。業務効率化によって、早く帰れたり、本来やるべき業務に集中できるようになったりと、いいことがたくさん起こるはずです。共感いただけるよう説明してみてはいかがでしょうか。

Q&A:作業者から一歩先のステージを目指すには?

鈴木:ありがとうございます。さて、次はお二人にお伺いします。

「新卒から人事労務周りを中心に、3年ほど担当しています。どうしても作業的な業務が多く、このまま業務を極めていくか、キャリアチェンジをしようか悩んでいます。お二人はキャリアを歩む中で、同じような悩みを持った時期ありますか。また、どう乗り越えていきましたか」

森さん:私は社労士事務所で勤務し、給与計算と手続き、就業規則の改定などほぼ表面的な業務を5年ぐらい担当していました。そこからパーソナルネットへ入社したのは、事業会社に入り込んだ施策をやりたいと思ったからです。

作業自体に大きな変化はなくとも、場所を変えることにより、業務が発生する背景を深掘りできるようになりました。すると、自らの手で効率化や施策を考えられるようなったんです。事業側に立ったことによって、新しいキャリアを自分で歩み始めたといった感じですね。

並木さん:私は新卒で社労士事務所に入社しました。アウトソーシング業務やコンサル業務を担当する中で、顧客の課題の本質まで理解できないことを悩むようになりました。

考えるうちに、目指すべきキャリアは事業会社の人事であることに気付きました。悩んだ時点でいったん立ち止まり、自分自身が何をやりたいのか、どんな人事でありたいのかと考えるのが大切かもしれませんね。

Q&A:経営側のビジョンを人事部に落とし込むには?

鈴木:次の質問です。

「オペレーションレベルにとどまらず、経営の事業ビジョンを考慮に入れたマネジメントレベルの視野を、今後のキャリア形成基礎としていると感じました。経営側の事業ビジョンを、自部門に落とすために意識されていることはありますか」

並木さん:弊社では目標設定のフローをツリー状にしています。目標設定でまず基準となるのは、期ごとの会社の目標です。部署はそれを念頭におき、会社の向かう方向に即した目標を立てます。その目標に対して、配下の各部署で目標を設定。さらにその配下で目標を設定。という流れを毎回実施しています。

人事としての目標を立てるときにも、会社としての目標を達成するために、どういったアクションを取っていくべきかを考えるようにしています。

森さん:社長が言葉にした想いが全員に100%伝わるとは限りません。特に店舗にいる社員までは伝わりづらく、ズレて伝わってしまうこともあります。

人事は、経営層やマネジャーの意思を社員に伝わるよう噛み砕いて伝える役割があると思います。「社長はこう思っているので、こういう指針であるべきだ」といったような説明が必要です。施策ごとに想いを理解してもらうことで、自分事にしてもらえるのではないかと思います。

鈴木:マネジメント層が経営の想いを具体化し、浸透するよう、メッセージをお届けすることも人事の役割なんですね。ありがとうございます。

ご質問は、まだまだいただいていますが、終了のお時間になりました。あらためまして今日はお二人ともお忙しい中ありがとうございました。

森さん:ありがとうございました。

並木さん:ありがとうございました。

【執筆・まえかわ ゆうか】
エディター / ブランディングプランナー / カレー屋さん。アパレルからビジネス分野まで幅広い分野でクリエイションを提供する。専門分野は食。

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