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労働時間と成果が必ずしも関連しない「クリエイティブ職」の生産性はどう評価すべきなのか?

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こんにちは。しのはら労働コンサルタントの特定社会保険労務士 篠原宏治です。

国が一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジと位置付ける「働き方改革」の流れを受け、「残業時間削減」や「生産性向上」をキーワードとした労務管理体制の見直しが多くの企業で進められています。

しかし、「生産性」は職種などによって大きく異なるものです。その最たる例が「クリエイティブ職」でしょう。

「クリエイティブ職」は労働時間と成果が必ずしも関連しない職種のひとつですが、このような場合、生産性をどのように評価すべきでしょうか?

「クリエイティブ職」ってどんな職種?

「クリエイティブ職」は、自身やクライアントの頭の中にあるイメージを目に見える形に具現化(創造)することが求められる職種の総称です。

クリエイティブ職の明確な定義や区分はありませんが、おおむね次のような共通点があります。

  • 独創的なイメージを発想し、それを目に見える形に具現化する能力が求められる
  • 担当者によって商品やサービスの品質や価値が異なる
  • 担当者の代替性が低い
  • 労働時間と成果の関連性が低い

クリエイター、デザイナー、プロデューサー、ディレクター、イラストレーター、ライターなどが「クリエイティブ職」の代表的な職種と言えるでしょう。

デザイナーであれば、WEBデザイナー、ファッションデザイナー、ゲームグラフィックデザイナー、空間デザイナーなどに細分されるため、世間で用いられているクリエイティブ職の呼称は数限りなくあります。

「クリエイティブ職」と「非クリエイティブ職」の違い

クリエイティブ職と非クリエイティブ職の対比の例として、Apple社の「iPhone」には、”Designed by Apple in California. Assembled in China”(カリフォルニアで設計し、中国で組み立てた)という表記がされています。

iPhoneの見た目や使い勝手などのデザイン(設計)には、デザイナーのスキルが影響し、それがiPhoneの品質や価値に大きく関わってきますが、組み立て(製造)の担当者によってiPhoneの品質や価値が変わることはありません。

iPhoneのデザインと組み立ては、それぞれクリエイティブ職と非クリエイティブ職の典型的な業務と言えるでしょう。

クリエイティブ職の生産性評価には「求められる成果」の明確な定義が必要

クリエイティブ職の生産性の評価の基本は、非クリエイティブ職と同様に「労働時間当たりの成果」となります。

ただ、クリエイティブ職の場合、成果により高い完成度を求め続ければキリがありません。そのため、クリエイティブ職の生産性を評価する場合には、「求められる成果は何か」を明確にすることが重要です。

クリエイティブ職の成果は、できる限り高い完成度を追及することが求められる場合もあれば、クライアントからの要求など一定水準を満たせば、それ以上の完成度の追及は必ずしも必要ない場合もあります。

前者の場合「限られた時間でどれだけ高い完成度を上げたか」が生産性評価の基準であり、後者の場合「求められた完成度をどれだけの時間で仕上げたか」が生産性評価の基準と言えるでしょう。

労働時間と成果の関連性が低いクリエイティブ職は、逆に言えば、短い労働時間であっても高い成果を上げられる可能性がある職種とも言えます。

成果の評価基準を明確にして労働者に正しく理解してもらうことが、生産性向上の第一歩でしょう。

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