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「特別休暇」とは?概要や種類、制定時の注意点などの基礎知識を解説!

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目次

こんにちは。特定社会保険労務士の山本 純次です。

企業では雇用する従業員に対して、勤務期間に応じて年次有給休暇を付与する義務があります。

ただし、こちらは最低限のもので、会社によって様々な「特別休暇」を定めています。福利厚生的な意味合いもあれば会社独自のカラーを出す休暇まで、特別休暇には様々な種類があります。

ここでは、特別休暇の基礎知識と制定時の注意点を解説していきます。

特別休暇とは?

一般的には就業規則で定める休日・休暇、また年次有給休暇以外で取得できる休暇を指します。

年次有給休暇は労働基準法に定められていますので、もし就業規則に記載がなくとも、労働者の権利として取得できますが、特別休暇は就業規則など会社のルールで制定されていない場合、取得できません。

特別休暇の種類例

会社のルールとして独自で定めるものになりますので、種類は無限にあり得ますが、一般的に制定されることの多い特別休暇には下記のようなものがあります。

  • 結婚・出産休暇
  • 弔事休暇
  • 夏季・冬季休暇
  • リフレッシュ休暇(休日に定める場合もあり)
  • 転勤時休暇・異動休暇
  • 誕生日休暇
  • アニバーサリー休暇
  • 永年勤続休暇

特別休暇の制定フロー

特別休暇は会社のルールで定め、下記のようなフローで届け出ましょう。

  1. 就業規則に当該特別休暇の内容を制定
  2. 従業員に周知
  3. 労働基準監督署に届出

施行後に、定めたルールに則り希望者に休暇を付与していくかたちになります。

特別休暇の制定上のポイント

特別休暇は新しいルールを定めることになりますので、該当した場合「取得できない」とはできません。

そのため、社内で不公平とならないよう、制度の目的や意図に沿うかたちで以下のポイントをしっかり定めてください。

(1)特別休暇の「対象者」

正社員、契約社員等の場合で取得制限があるか? 入社●年目以上などの基準があるか? など

(2)特別休暇の「取得日数」

どういったケースの場合何日取得できるのか? 翌年に繰り越すことはできるのか? など

(3)特別休暇の「取得制限」

退職予定者は取得できない、入社●年以下は取得できないなど

(4)特別休暇の「取得期限」

事案発生から●ヶ月以内など

特別休暇の注意点

上記のポイントをしっかりと定めないと、意図に沿った運用が難しくなる可能性があります。

例えば、結婚休暇を取る際、結婚前後●ヶ月以内という制限をしておかないと、結婚後10年目に取得できてしまう可能性があります。

また、取得期間の制限を制定しない場合、退職予定者が退職日前に、過去取得していなかったリフレッシュ休暇を最後にまとめて取得できてしまう可能性があります。これは長年勤める社員がリフレッシュ休暇によって英気を養い次なる活躍の弾みにしようというような、もともとの制度の意図と異なる運用になってしまうでしょう。

各特別休暇ごとに目的や意図は異なるため、それぞれの目的や意図に沿った運用ができるよう、制定時からしっかりと計画し周知することをオススメします。

おわりに

特別休暇という名前でもわかる通り、通常の休暇と異なる「特別」なものになりますので、企業にとっては会社の福利厚生の拡充として、働きやすい会社であることのひとつの採用アピールポイントになり得ます。

上記の注意点では、ネガティブな部分も記載させていただきましたが、企業にとっては従業員へのモチベーションアップが期待できる制度でもあります。

最近では、「自己研鑽休暇」や「ボランティア休暇」など、オフの時間を有意義に過ごすための制度など、各社の理念や風土のもと様々な制度が生まれています。

従業員にとって、どういった制度があれば働きやすく満足度が上がるかということを検討し、上記注意点を踏まえながら、必要に応じて有意義な制度を整えていけると良いのではないでしょうか。

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