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リカレント教育に生かせる「教育訓練給付金」とは? 平成30年1月の改正内容もチェック

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こんにちは、社会保険労務士の倉橋和之です。

スクール通学や書籍購入等、自分自身のスキルアップや自己啓発に関する市場が、2016年の推計で約9,000億円となることが今年の初めごろに報道されていました(*1)。

「人生100年時代」を迎えるといわれ、「リカレント教育」などが注目される中で、自らのキャリアと向き合い、新たなスキルや知識・情報をまなび、身につけるという意識は大切ですね。

本記事では、スキルアップを支援する「教育訓練給付金」および平成30年1月の「専門実践教育訓練給付金」改正内容について解説していきます。

そもそも「教育訓練給付金」とは何か?

厚労省によると、下記のように説明されています(*2)。

働く方の主体的な能力開発の取組み又は中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とし、教育訓練受講に支払った費用の一部が支給されるものです。
また、初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する方で、受講開始時に45歳未満など一定の要件を満たす方が、訓練期間中、失業状態にある場合に訓練受講をさらに支援するため、「教育訓練支援給付金」が支給されます。

つまり、教育訓練給付金とは、自らスキルアップをしようと資格取得や講座の受講をした場合に費用の一部が支給されるものです。

この教育訓練給付金は、「一般教育訓練受講に係る教育訓練給付金」「専門実践教育訓練受講に係る教育訓練給付金」の2つに分かれており雇用保険の支給要件期間や給付される額が異なります。

「教育訓練給付金」の対象者となるのは?

「一般教育訓練受講に係る教育訓練給付金」、「専門実践教育訓練受講に係る教育訓練給付金」ともに、お仕事をされている方、または雇用保険の被保険者でなくなった(離職した)日から1年以内に受講されることが必要です。

雇用保険に3年以上加入されていらっしゃれば対象となることができます。

初回は1年以上加入されていれば対象となることができます。

「教育訓練給付金」はいくら支給されるのか?

一般教育訓練受講に係る教育訓練給付金

教育訓練経費の20%に相当する額が支給されます。

支給額の上限は10万円で、教育訓練経費が4,000円(税込)を超えない場合は支給されません。

専門実践教育訓練受講に係る教育訓練給付金

教育訓練経費の50%に相当する額が支給されます。

こちらは支給額の上限は年間40万円です。

また、専門実践教育訓練の修了後定められた資格等を取得し、受講修了日の翌日から1年以内に被保険者として雇用された方、または既に雇用されている方に対しては、教育訓練経費の20%に相当する額を追加して支給されます。

この場合、既に給付された訓練経費の50%と併せて合計70%に相当する額が給付されることになり、上限は年間56万円となります。

【捕捉】専門実践教育訓練とは?

ちなみに、本記事で取り上げている「専門実践教育訓練」とは、中長期的なキャリア形成に役立つ専門的・実践的な教育訓練として厚生労働大臣が指定した教育訓練で、看護師、介護福祉士、保育士、建築士など、資格取得を目指すカリキュラム専門職大学院等が該当します。

例えば、日本女子大学では、教育訓練給付金制度(専門実践教育訓練)の指定講座として、「リカレント教育過程」を受け付けています(*3)。

「専門実践教育訓練給付金」制度の改正内容

平成30年1月から「専門実践教育訓練給付金」が拡充されました(*4)。

変更のポイントとしては、平成30年1月1日以降に受講開始する専門実践教育訓練から支給率、上限額、支給対象者の要件が変わりました。

  • 【支給率】平成29年12月までは40%でしたが、50%に引上げられました。
  • 【上限額】平成29年12月までは32万円でしたが、40万円に引上げられました。
    ※ ちなみに、この上限額は、専門実践教育訓練を受講されて、かつ資格取得された場合、56万円に上乗せされます。
    ※ 訓練期間が2年間の場合は、上限額は80万円(資格取得の場合は112万円)、訓練期間が3年間の場合は、上限額は120万円(資格取得の場合は168万円)となります。

まとめ

人生100年時代の中で、「リカレント教育」をはじめ、様々なスキルアップ講座などが注目を浴びています。

主体的な姿勢が求められる一方、教育訓練給付金は、指定講座を受講するだけではもらえないことにも注意しましょう。カリキュラムを受講して修了することが必須です。

受講を考えている講座が指定講座かどうかは、教育訓練施設に確認するようにしましょう。

【参照】
*1:自己啓発市場、9000億円 経済激動、自分に“投資” 30年間で3倍 – 佐賀新聞LiVE
*2:教育訓練給付制度 – 厚生労働省
*3:教育訓練給付金制度(専門実践教育訓練)のご案内 – 日本女子大学 リカレント教育過程
*4:平成30年1月から専門実践教育訓練給付金が拡充されます – 厚生労働省

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