【6/22更新版】新型コロナ 特例雇用調整助成金についてQ&Aで社労士が解説
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目次
- 雇用調整助成金とは?
- 【Q1】6月12日付けの雇用調整助成金の特例措置の内容とは?
- 【Q2】助成額&中小企業の助成率引き上げの対象期間は?
- 【Q3】受給分・申請済み分は再度手続きが必要?
- 【Q4】遡って休業手当を増額し、再申請することは可能?
- 【Q5】緊急対応期間の延長により、これまで緊急対応期間の特例としていたもののうち、何が延長される?
- 【Q6】雇用調整助成金だけでなく、緊急雇用安定助成金も対象?
- 【Q7】生産指標要件はどのように比較すればよい?
- 【Q8】雇用調整助成金の助成対象となる「半日教育訓練」とは?
- 【Q9】教育訓練の加算額は訓練の時間及び日数によって変わる?
- 【Q10】小規模事業主の場合、休業等協定書は締結・作成しなくてもいいの?
- 【Q11】労働者への直接給付金との関係はどうなるの?
- 【Q12】雇用調整助成金の支給申請の期限は?
- おわりに
こんにちは、特定社会保険労務士の小高 東です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による緊急事態宣言も解除され、ピーク時と比較すると感染者数も大幅に減少してきました。雇用調整助成金の特例措置も何度も内容変更がありましたが、以前より落ち着いてきたように感じます。
本稿では、社労士の私のもとによく届く雇用調整助成金に関する質問や、多くの方が気になるであろう疑問について解説したいと思います。
【10/20 編集部追記】
本稿より新しい、10月20時点での最新版の記事について、以下のURLでまとめておりますので、ご参照ください。
※ 本稿は執筆時点(2020年6月22日)での政府、厚生労働省等の情報を元に解説しています。最新の政府や厚生労働省等の最新の情報を確認していただくようお願いします。
雇用調整助成金とは?
「雇用調整助成金」とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部が助成されるものです。
特に、新型コロナウイルス感染症の影響で店舗をオープンできなかった飲食・小売店などの方にとって、大きく関わる助成金と言えるでしょう。
以下、雇用調整助成金に関するQ&Aをお届けします。
【Q1】6月12日付けの雇用調整助成金の特例措置の内容とは?
【Q1】現時点での最新のアップデートである2020年6月12日付けの雇用調整助成金の特例措置の内容とは?
【A1】次の3つです。
- 助成額の一人あたり日額上限を8,330円から15,000円に特例的に引き上げる。
- 解雇等を行わない中小企業の助成率を10/10(100%)に引き上げる。
- 緊急対応期間を3ヶ月延長し、9月30日までとする。
【Q2】助成額&中小企業の助成率引き上げの対象期間は?
【Q2】助成額および中小企業の助成率引き上げの対象期間はいつなのでしょうか?
【A2】2020年4月1日から2020年9月30日までの期間を1日でも含む賃金締切期間(判定基礎期間)が対象です。また、受給分、申請済み分にも適用されます。
【Q3】受給分・申請済み分は再度手続きが必要?
【Q3】すでに手続きしてある受給分、申請済み分の雇用調整助成金については再度手続きが必要なのでしょうか?
【A3】手続きは不要です。労働局、ハローワークで算定しなおし、差額が支給されます。
【Q4】遡って休業手当を増額し、再申請することは可能?
【Q4】雇用調整助成金の上限額が引き上がりましたが、期間を遡って休業手当を増額し、再申請することは可能ですか?
【A4】期間を遡って休業等協定を再締結し、休業手当を増額して支払った場合、再申請は可能です。
【Q5】緊急対応期間の延長により、これまで緊急対応期間の特例としていたもののうち、何が延長される?
【Q5】緊急対応期間の延長により、これまで緊急対応期間の特例としていたものは、何が延長されますか?拡充が何回もあり、混乱しています。
【A5】具体的には次の特例が延長されます。
- 生産指標要件の緩和(5%以上低下)
- 雇用指標要件の撤廃
- 雇用調整助成金の連続使用を不可とする要件(クーリング期間)の撤廃
- 雇用保険被保険者以外の休業も助成の対象に含める(緊急雇用安定助成金)
- 被保険者期間要件の撤廃(継続雇用期間が6ヶ月未満の者も対象)
- 助成率を中小企業は4/5、大企業は2/3へ。解雇等を行わない場合、大企業は3/4(従前は中小企業は2/3、大企業は1/2)
- 教育訓練の加算額を中小企業は2,400 円、大企業は1,800 円へ(従前は中小企業、大企業共に1,200 円)
- 支給限度日数とは別に緊急対応期間中の休業等の日数を使用できる
- 事業所設置後1年未満の事業所についても助成対象とする
- 計画届(2回目以降のものを含む)を2020年6月30日まで事後提出可能
※2020年5月19日以降の申請では計画届の提出は不要 - 短時間一斉休業の要件の緩和
- 自宅での教育訓練等を可能とする
- 残業相殺は行わない
- 半日教育訓練と半日就業を可能とする
- 休業等規模要件の緩和(中小企業は1/40、大企業は1/30)
- 風俗関連事業者も限定なく対象とする
- 生産指標要件の判断期間の弾力化
- 労働保険料の滞納に係る不支給要件は適用しないこととする
- 労働関係法令違反に係る不支給要件は適用しないこととする
【Q6】雇用調整助成金だけでなく、緊急雇用安定助成金も対象?
【Q6】雇用調整助成金だけでなく、緊急雇用安定助成金も対象ですか?
【A6】対象となります。ただし、緊急雇用安定助成金は、北海道を除き、2020年4月1日以降に開始され、2020年9月30日までに終了する休業が対象となっているので、注意が必要です。
【Q7】生産指標要件はどのように比較すればよい?
【Q7】これまで売上高などの生産指標要件の確認のため、「計画届を提出する月の前月の生産量」が必要でしたが、2020年5月19日からは計画届の提出が不要となりました。生産指標要件はどのように比較すればいいのですか?
【A7】「休業開始月「休業開始月の前月」「休業開始月の前々月」のいずれかと、「前年同月」「前々年同月」「前年同月から前月までの1月」を比較し、5%以上減少していれば要件を満たします。
【Q8】雇用調整助成金の助成対象となる「半日教育訓練」とは?
【Q8】雇用調整助成金の助成対象となる「半日教育訓練」とはどのような訓練ですか?
【A8】3時間以上1日の所定労働時間未満の教育訓練を指します。教育訓練は全一日または半日のいずれかが助成対象です。
【Q9】教育訓練の加算額は訓練の時間及び日数によって変わる?
【Q9】教育訓練の加算額は訓練の時間および日数によって変わるのでしょうか?
【A9】加算額は、助成金の対象となる教育訓練の日数(半日訓練の場合は0.5日)に加算額を乗じた額となります。
【Q10】小規模事業主の場合、休業等協定書は締結・作成しなくてもいいの?
【Q10】小規模事業主の場合、休業等協定書は締結・作成しなくてもいいのでしょうか?
【A10】支給申請では、提出不要となっていますが、締結・作成不要というわけではありません。後から提出を求められる可能性もあります。
【Q11】労働者への直接給付金との関係はどうなるの?
【Q11】労働者への直接給付金との関係はどうなるのでしょうか?
【A11】休業手当がもらえない労働者が直接申請する「新型コロナ対応休業支援金」(仮称)については、現時点では詳細は発表されておらず、雇用調整助成金との関係もわかりません。続報を待ちましょう。
【Q12】雇用調整助成金の支給申請の期限は?
【Q12】雇用調整助成金の支給申請の期限を教えてください。
【A12】申請期限は支給申請する「判定基礎期間」の最終日の翌日から起算して2ヶ月以内ですが、判定基礎期間の初日が1月24日~5月31日までの申請期限は、特例により2020年8月31日までとなっています。
おわりに
雇用調整助成金の度重なる改正もほぼ完結したのではないでしょうか。上限額の引き上げも確定し、支給申請はこれから加速していくことでしょう。良くも悪くも、つぎはぎだらけの拡充のため、実務上は、様々な疑問が出てきます。
夏の予感がする日差しも眩しい今日この頃ですが、あまり無理せず、ここを乗り切っていきましょう!