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「ダイバーシティ実現」への課題と、成功に導く7つのポイント

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こんにちは。社会保険労務士の飯田 弘和です。

最近、「ダイバーシティ」という言葉をよく耳にするようになりました。

そして今まさにダイバーシティに取り組んでいる企業も多いと思いますが、その中には、なかなか成果が出せないでいる企業もあります。

ダイバーシティへの取り組みで成果を出している企業との違いはどこにあるのでしょうか?

「ダイバーシティ」推進で得られる効果

ダイバーシティとは、多様な属性(性別・年齢・国籍等)や価値・発想の違いを活かし、個々の人材の能力を最大限引き出すことで、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し、付加価値を生み出し続ける企業を目指す経営上の取り組みです。

社員一人ひとりが持つ様々な違いを受け止め、多様性(人材の多様性と働き方の多様性)を活かすことで、企業・組織の力を高めていく人材活用戦略です。

ダイバーシティを推進していくことで、様々な効果が得られます。

  1. 多様な人材が集まることで、「新しい発想」が生まれ、新製品・新サービスの開発につながる。
  2. 多様な人材それぞれが、能力を発揮できるような働き方を追求することで、効率性や創造性が高まる。
  3. 多様な人材の活用は、顧客や市場からの外的評価を高め、それが、優秀な人材の確保につながる。
  4. 従業員一人ひとりのモチベーションが高まり、働きがいを生み出す。
  5. ダイバーシティに積極的に取り組んでいる企業ほど、経営指標が高いというデータもある。

ところが、ダイバーシティに取り組んでいる企業の中には、うまくいかない、効果が出ないということで、取り組みを止めてしまう企業がみられます。

なぜ彼らはうまくいかなかったのでしょう?

注意すべき2つのポイント

ダイバーシティとは、多様な人材のそれぞれの「違い」を活かすものです。その「違い」が逆に、誤解や軋轢となったり、コミュニケーション障害を引き起こすことがあります。

(1)無意識の偏見や固定観念(アンコンシャスバイアス)

人間には本来、「無意識の偏見や固定観念」(アンコンシャスバイアス)があります。過去の経験や環境から、無意識のうちに性別や年齢・人種などを根拠とした決めつけを行う傾向があり、多様な人材の活躍を阻む言動として現れる場合があります。

この問題をクリアしなければ、当然、チームパフォーマンスは低下します。

(2)組織文化と多様性のパラドクス

また、「組織文化と多様性のパラドクス」という問題もあります。

これは、従業員の多様性を尊重し過ぎると組織に適合せずに大きくはみ出した従業員が生まれ、一方、従業員を組織に適合させようとし過ぎると、多様な人材の価値や強みが発揮できないというパラドクスです。

さらに、公平・公正な機会の確保と処遇を与えた上で、企業への貢献に応じたフェア(公平・公正)な評価が行われなければ、ダイバーシティはうまく機能しません。

ダイバーシティ実現に向けた7つのポイント

これらの問題をクリアし、ダイバーシティを成功へと導くためのポイントをいくつか紹介します。

  1. 自社の経営理念を明確にし、ダイバーシティへの取り組みに対するトップのコミットメントを明らかにする。
  2. 推進担当組織を中心に、「全社的」な実行体制を構築する。
  3. 採用について、企業の経営理念や目標に共感できる人材を採用する。ただし、目標達成の方法については、従業員の多様な進め方を認める。
  4. 明確な評価軸を持った人事処遇制度を構築する。
  5. 個々の従業員の事情に応じた、個別の人事管理制度を整備し、絶えず見直しを行う。
  6. 多様な人材をマネジメントしていくには、管理職層に高度なマネジメント能力が要求される。そのための研修やワークショップを開催していく。
  7. 情報共有やコミュニケーション活性化の仕組みを作る。

以上を参考に、みなさんの会社でも、ダイバーシティに戦略的に取り組んでいただければ幸いです。

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