コンプライアンス研修とは?テーマ例・事例の探し方、実施方法を解説
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目次
コンプライアンス研修は企業の社会的信頼を維持し、従業員のリスク意識を高めるために不可欠です。本記事では、コンプライアンス研修の目的や効果的な実施方法や、成果を高めるポイントについて解説します。
コンプライアンス研修とは
コンプライアンス(compliance)は直訳すると「法令遵守」です。法令や規則、社会的な規範を守り、倫理的に行動することを指します。
企業におけるコンプライアンスは、当初は法令遵守を意味していましたが、現在では就業規則などの企業規範、モラルや道徳といった社会規範も含む広い概念へと発展しました。明確な違法行為でなくても、社会的に不適切とされる行動を判断し、その回避が求められます。
現在、企業にとってのコンプライアンスとは、ステークホルダーからの信頼を維持し、企業価値を守るために重要な取り組みです。コンプライアンス研修は、組織全体でコンプライアンス意識を高めるために実施するもので、経営幹部や管理職から新入社員やアルバイトまで、すべての従業員が対象となります。
コーポレートガバナンスとの違い
コーポレートガバナンスとは、直訳すると「企業統治」という意味です。会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会などさまざまな関係者の立場を考慮したうえで、透明・公正かつ迅速・的確に意思決定するための仕組みです。
コンプライアンスは、コーポレートガバナンスの1つの要素と位置付けられます。適切なコーポレートガバナンスを実現するためには、組織全体におけるコンプライアンス徹底が不可欠です。そのため、企業がコンプライアンス違反を起こした場合、それはコーポレートガバナンスの問題として捉えられることが多いです。
CSRとの違い
CSRとは「Corporate Social Responsibility(コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ)」の略語で「企業の社会的責任」を意味します。
企業は法令を遵守して経済的利益を追求するだけでなく、社会や環境に対して積極的に貢献する責任があるという考え方です。これには環境保全活動や地域貢献、多様性の推進などが含まれます。
コンプライアンスは、CSRを含むすべての企業活動の土台となるものです。つまり、企業が社会的責任を果たすには、まず法令や社会規範を守るコンプライアンスの徹底が前提条件となります。
コンプライアンス研修が必要とされる理由
コンプライアンス研修が企業に広く導入されるようになった背景には、1990年代から2000年代にかけて発生した大手企業の不祥事があります。製品データ改ざん、食品偽装問題などの企業不祥事が相次ぎ、企業倫理の徹底と内部統制の強化が急務となりました。
また、ビジネスのグローバル化により、企業活動の舞台が国際市場へと広がりました。従来の、国による規制と保護が緩和され、世界共通のルールにもとづく公正な競争が求められるようになりました。海外進出する企業は現地の法令だけでなく、贈収賄防止法(FCPA、英国贈収賄防止法)など、域外適用される法律にも対応する必要が生じています。
さらに、SNSやインターネットの発展により、企業の不正行為が迅速に拡散されるリスクが高まりました。2022年6月に施行された「改正公益通報者保護法」により、不正を発見した従業員が安全に通報できる仕組みが強化されました。このようにして、企業内の法令違反だけでなく、従業員の不適切な言動が「炎上」するケースも増加しています。
2020年にHR総研が実施した「人材育成(テーマ別研修)に関するアンケート」によると、企業が実施する研修のうち「コンプライアンス研修」が51%で最も多く、ついで「ハラスメント研修」が44%となっています。この結果からも、コンプライアンス研修の重要性が広く認識されていることがわかります。

出典:HR総研『人材育成(テーマ別研修)に関するアンケート』
コンプライアンス強化の社会的要請に応えるためには、従業員一人ひとりのコンプライアンス意識を高めなければなりません。コンプライアンス研修を通じて、法令遵守の文化を組織全体に浸透させることが企業の持続的な発展につながります。
コンプライアンス研修の目的
コンプライアンス研修は、単に法令遵守の重要性を伝えるだけでなく、組織全体の健全性と持続的な発展を支える基盤となります。具体的には以下のような目的があります。
コンプライアンスに必要な知識の学習
コンプライアンスという言葉は耳にする機会が多いものの、具体的な意味を正確に説明できる人は多くありません。そのため、コンプライアンスの概念を正しく理解することが、研修の最初の目的となります。
また、法令、社内規定、社会的規範や一般常識など、コンプライアンスにおいて遵守すべき項目の理解も重要です。
社会的規範は、報道やSNSなどの影響を受けて形成されたり変化したりします。外部の講師によるコンプライアンス研修は、自分たちの常識が社会の常識とかけ離れていないかを確認する貴重な機会となります。
リスクマネジメント
コンプライアンス研修の最大の目的は、組織のリスクマネジメント能力を高めることです。
法令や企業内のルール、他社のコンプライアンス違反事例などを学べば、自社の現状を客観的に認識できるようになります。これにより、自社でどのようなコンプライアンス違反が起こりうるのか、またその可能性はどの程度あるのか予測する力を身につけられます。
研修では、予測されるコンプライアンス違反について受講者間で問題点や改善策を洗い出し、社内のマニュアルへの反映、違反を防止するための体制づくり、違反発生時の対応を訓練するなどの実践へとつなげていきます。こうした取り組みが組織全体のリスク対応力を向上させます。
企業価値と意識の向上
現代では、コンプライアンスの取り組みが企業の評価に直結します。
コンプライアンスに積極的に取り組む企業は、不祥事のリスクが相対的に低く、長期的な成長が期待できる投資先として評価されるでしょう。また、信頼できる取引先として、ビジネスの成長や拡大につながる可能性も高まります。
コンプライアンス対策は、短期的な売上に直結しないという理由で、後回しにされることがしばしばあります。しかし、従業員のコンプライアンス意識を高めることは、組織文化の醸成にもつながり、持続的な経営基盤となります。
コンプライアンス違反が起きる3つの要因
コンプライアンス違反は特定の環境や条件が重なったときに発生する傾向があります。違反を防止するためには、発生要因を正しく理解するのが重要です。以下、コンプライアンス違反を引き起こす主な3つの要因について解説します。
業績や効率に対する過剰なプレッシャー
企業が業績や効率を過剰に重視し、従業員へのプレッシャーが増大すると、従業員は成果を上げること以外に目が行き届かなくなります。
不正行為は、「不正のトライアングル」と呼ばれる3つの要素(動機・正当化・機会)が揃うと発生しやすいといわれています。
「業績を上げなければ」「少しでも早く進めなければ」などのプレッシャーが動機となり、そこに「今月中に必達だから仕方ない」「ほかの社員もやっている」といった行動を正当化する考えと、「誰もチェックしていない」「発覚する可能性が低い」などの機会が加わると、不正行為の発生リスクが高まります。
相互牽制の機能不全
上司や同僚による適切な監視やチェックが不十分になると、企業内の相互牽制が機能しなくなり、コンプライアンス違反が発生しやすくなります。
とくに、意思決定が一部の権限者に集中している場合や、部門間の連携が弱い場合は相互牽制が機能しにくくなります。その結果、内部告発や問題の早期発見が遅れ、不正行為が長期化・深刻化するリスクが高まります。その防止策として、組織内でのオープンなコミュニケーションや透明性の確保が重要です。
知識不足、規範意識の欠如
法律に関する知識の不足や、モラルや規範意識の欠如が原因で、コンプライアンス違反が起きるケースも少なくありません。
企業に適用されるすべての法律を熟知するのは難しいですが、労働法やハラスメント防止に関連する法律、業界特有の規制、一般的な社会規範について理解しておけば、「うっかり」や「知識不足」による意図せぬコンプライアンス違反を予防できます。
また、長年続いてきた自社の慣習が現代の社会規範と合致していない可能性もあります。研修を通じて、職場全体のモラルや行動規範が社会の期待水準を下回っていないか定期的に見直し、必要に応じて改善しましょう。継続的な取り組みが組織文化の健全性維持につながります。
コンプライアンス研修で扱いたいテーマ6選
効果的なコンプライアンス研修を実施するためには、組織のリスク特性にあわせた適切なテーマ選定が重要です。以下、コンプライアンス研修で取り上げるべき6つの重要テーマを紹介します。
法律
知的財産法、労働基準法、個人情報保護法など従業員全体に関係する法律や、業務に必要な専門法規について学びます。
ハラスメントなどの個人レベルの違反と、粉飾決算などの組織レベルの違反を区別し、身近な問題を扱うことで当事者意識を高めます。
会社役員には監視役としてより深い法的理解が求められ、研修担当者は関連法改正を定期的にチェックする必要があります。
社内規定・ルール
社内規定は業務の円滑化だけでなく、法令違反の予防策としても機能します。社内通報制度についての理解も、コンプライアンス風土の醸成と企業の透明性確保に重要です。
これらの理解促進は社会規範の遵守につながり、企業価値の向上に寄与します。
情報漏洩、セキュリティ関連
リモートワークの普及により情報の社外持ち出しや外部からのサーバーアクセスの可能性が増加し、サイバー攻撃やデータ流出リスクが高まっています。社外での作業時ののぞき見や盗難リスクも含め、情報管理とセキュリティ対策の徹底が必要です。
ハラスメント
2020年のパワハラ防止措置義務化以降、多くの企業が対策を講じています。ハラスメントは管理職だけでなく全従業員が加害者になり得たり、部下から上司の流れで発生したりするケースもあります。
個人の価値観の差異を認識し、無意識の言動がハラスメントになり得ることへの意識を高めましょう。
SNSの利用などに関する情報リテラシー
SNSは個人の発信や企業のマーケティングに広く活用されていますが、不適切な発言、権利侵害、機密情報漏洩など、コンプライアンス違反リスクも増大しています。
一度の投稿が企業の信頼を損ない、損害賠償に発展するケースもあり、情報リテラシー教育が不可欠です。
知的財産権
著作権、肖像権、特許権などの知的財産権を理解することで、自社の資産保護と他者権利の尊重につながります。とくにウェブコンテンツ作成時の素材利用に関する権利侵害はつい見落としがちになるため、正しい知識の習得が重要です。

コンプライアンス研修で取り扱う事例の探し方
効果的なコンプライアンス研修には、具体的で説得力のある事例が不可欠です。適切な事例を通じてリスクの理解を深め、実際の業務での判断力を養えます。以下、コンプライアンス研修に役立つ事例の主な収集方法を紹介します。
自社・同業他社の違反事例を活用する
業界特有の法的リスクを理解するため、自社や同業他社の違反事例を研修に採り入れましょう。
効果的な事例は、研修テーマに合致し、事実関係が明確で、社会的影響が大きいものです。ただし、個人や企業が特定されないよう適切な加工を施しましょう。
省庁・関連団体の違反事例を活用する
厚生労働省や経済産業省など、各省庁や業界団体のサイトには違反事例や法律情報が掲載されています。
第三者機関の資料は客観性があり、違反の背景や関連法規も整理されているため、コンプライアンス研修で取り扱う事例として大変有用です。
新聞・ニュースで報道された事例
メディアで話題になった事例は受講者の関心を引きやすく、キーワード検索で最新事例を効率的に収集できます。
違反内容だけでなく背景や再発防止策も含めて紹介すれば、より実践的な学びにつなげられるでしょう。
コンプライアンス研修の準備の流れ
コンプライアンス研修を効果的に実施するには、体系的な準備と計画が欠かせません。以下、研修準備の主要ステップについて順を追って説明します。
ステップ1:コンプライアンスに対する認識レベルの調査
まず、従業員のコンプライアンスに関する知識と意識レベルの把握が重要です。
アンケート調査、テスト、面談などを通じて、社員がコンプライアンスについてどの程度理解しており、普段意識して行動しているのかを調査します。
ステップ2:内容と優先順位の検討
調査結果を分析し、違反のリスクが高く改善が必要と考えられる項目を洗い出します。
洗い出した項目について、違反発生時の重大性、違反の発生頻度、リスク顕在化の可能性、法令上の義務付け、従業員の関心度などから総合的に勘案し、優先順位を決定します。その際、自社の実情にあわせて優先順位を決定することが重要です。
ステップ3:カリキュラムの策定・実施
研修に盛り込む内容が決まったら、次は役職や部署・階層にあわせて習得すべき内容を整理し、段階的に学ぶ流れを整えます。
研修内容を策定する際は、重点テーマの策定、事例の収集・作成を行なったうえで、資料の作成を進めます。同時に、実施方法やスケジュールも検討しておきましょう。
実施方法は、主に下記の3つが考えられます。
・専門講師を招いた集合研修
業界に精通した専門家による、実践的な研修が可能です。受講者同士の意見交換や質疑応答がしやすく、リアルタイムでのフィードバックが得られる点もメリットです。一方で、企画や実施には、一定の準備やコストがかかります。
・社外セミナーへの参加
研修を受ける人数が少ない場合や、学ぶ内容の専門性が高いときに適した実施方法です。社外に出ることで新たな価値観や情報に触れられる反面、研修内容が自社の状況とかけ離れていると、セミナーで学んだ内容を業務に生かしにくい場合もあります。
・eラーニング・オンライン研修
個々のスケジュールにあわせて受講でき、開催準備の手間やコストが少ない実施方法です。動画教材にしておけると繰り返し学習できますが、一方通行のインプットになりがちなため、ウェブ会議ツールを併用した双方向のやり取りも検討しましょう。
年1回の集合研修に加え、eラーニング・オンライン研修で定期的に意識を高められると理想的でしょう。
ステップ4:振り返り
研修実施後は、振り返りのアンケートやフィードバックを実施し、実践を促します。
研修後のアンケート、理解度テストなどで理解度や知識の定着度を測るだけでなく、研修前後の行動変化やコンプライアンス意識の変化などを確認・分析し、今後の研修の優先順位の見直しや内容を改善することがポイントです。
コンプライアンスの徹底は継続的な取り組みが必要不可欠です。研修の振り返りとPDCAサイクルを確立することが、違反防止につながります。

コンプライアンス研修の成果を評価する方法
コンプライアンス研修の成否は、究極的には「問題が発生していない」ということでしか判断できないため、研修の成果がわかりにくい点が大きな課題です。
それでも、コンプライアンス研修の効果を可能な限り測定し、適切に評価することで、研修プログラムの改善や組織全体のコンプライアンス体制の強化につなげられます。以下、主な評価方法を紹介します。
研修後のアンケート
研修後のアンケートは、理解度や満足度を確認するだけでなく、改善点を把握するうえでも重要な役割を果たします。
主な調査項目としては、理解度、満足度、改善点などが挙げられます。また、自由記述欄を設けることで、より幅広い意見を収集できるでしょう。
アンケート結果を分析して、研修内容や方法の見直しに活用するほか、継続的にアンケートを実施して経年変化を追えます。社員の意識の変化も把握すれば、より効果的なコンプライアンス研修の実現につながります。
理解度テスト
研修終了後に理解度テストを実施すれば、受講者の理解度を客観的に測定できます。
実施方法としては、筆記テスト、選択問題、レポート課題などが考えられます。選択問題は手軽に実施できる一方、筆記テストではより詳細な理解度を測定でき、レポート課題では理解度に加えて思考力も評価できるというメリットがあります。
理解度テストを作成する際は、単なる知識確認にとどまらず、実際の業務に適用できる応用力を測るのがポイントです。具体的な事例を示し、受講者の判断力や適用力を問う出題を心がけましょう。
行動量の比較
コンプライアンス研修の真の効果は、組織や個人の行動変化に現れます。研修前後の以下のような指標で行動量を比較することで、研修の効果を間接的に評価できます。
- コンプライアンス違反件数の推移
- 社内の通報窓口に寄せられた内部通報件数の変化
- ヘルプデスクへのコンプライアンスに関する質問や相談の件数
- コンプライアンス関連の社内ルールの遵守状況
中長期的に見て「違反が減少し、事前の質問や相談が増加する」という変化が見られれば、従業員の予防意識が向上したと考えられます。
また、単に数値を追うだけでなく、その数値が示す背景要因を分析し、必要に応じてさらなる改善策を講じることが重要です。たとえば、違反が減少した部署の取り組みを他部署に展開したり、質問が多い領域については追加研修を検討したりするなど、PDCAサイクルを回せるとより効果的です。
コンプライアンス研修の成果を高めるポイント
コンプライアンス研修の効果を最大化するためには、受講者の理解と行動変容を促す工夫が必要です。以下、研修の成果を高めるための具体的なポイントを解説します。
実践を交えることで、当事者意識をもたせる
コンプライアンス研修では、受講者自身が当事者意識をもちやすいよう工夫することが重要です。
ロールプレイングで具体的なシチュエーションを疑似体験したり、ケーススタディで過去の事例について議論したりすると、当事者の視点を養えます。グループディスカッションでは、「もし自分がこの立場ならどうするか」という問いかけを含めると、より実践的な学びとなります。
実践形式の研修は、内容を自分事として捉えやすくなり、当事者意識の醸成に役立ちます。
意識が高まるタイミングを捉えて実施する
コンプライアンス研修を実施するタイミングも、成果を高める重要な要素です。
自社・同業他社などで実際に違反事例が発生したり、コンプライアンス違反が社会的に大きな話題となったタイミングなどで自社の点検を兼ねて実施すれば、効果的な研修が実施できます。
また、新入社員研修や昇進時など、従業員のキャリア上の転機も意識が高まる重要なタイミングです。
リスクの大きさを実感させる
コンプライアンス違反は単に法令違反に問われるだけでなく、損害賠償や社会的信用の失墜、事業機会の喪失など企業に甚大な損害をもたらす恐れがある行為です。
またSNSが発達している昨今、一つの違反行為が瞬時に拡散され、企業に致命的な打撃を与える可能性もあります。実際の企業不祥事の事例を取り上げ、業績への影響や株価の下落、取引先からの信頼喪失など、具体的な説明を通じてリスクの大きさを伝えましょう。
役職や立場によって目標を設定しておく
コンプライアンス研修を成功させるためには、役職ごとに適切な目標設定をすることが大切です。役職や立場が違えば、視点や責任も異なるため、それぞれの役割に応じて内容をカスタマイズし、研修を実施する必要があります。
<役割ごとの研修内容例>
- 経営層:コンプライアンス体制の構築責任、監督責任の理解
- 管理職:部下への指導方法、リスク察知能力の向上
- 一般従業員:日常業務における具体的な判断基準の習得
経営層・管理職に対して率先して行なう
経営層や管理職は、組織全体のコンプライアンス意識の醸成に大きな影響力をもちます。
株式会社manebiが2023年に実施した『企業コンプライアンス緊急調査』の結果によると、「現場だけでなく、役員・管理職にも徹底したコンプライアンス研修が必要だと思いますか?」という質問に対し、83.7%が「必要だと思う」と回答しています。さらに、回答者からは「トップが徹底しないと意味がない」「役員管理職の理解なくしては、会社のコンプライアンス遵守が達成できない」などの意見が上がりました。
経営層や管理職への研修を優先的に実施し、彼らの姿勢や行動が現場のロールモデルとなるようにすることが、コンプライアンス意識の組織的な浸透には不可欠です。

出典:株式会社manebi『企業コンプライアンス緊急調査』
定期的に研修を行なう
単発の研修では、一時的な理解は得られてもコンプライアンスの遵守に向けた意識の定着が難しいため、定期的な研修実施が重要です。
また、コンプライアンスの概念は、法改正や社会規範の変化とともに常に進化します。たとえば、近年ではハラスメントの定義拡大や個人情報保護法の強化など、従来の常識が通用しなくなるケースも少なくありません。そのため、実施の都度、内容をアップデートしましょう。
年次での全社研修と、四半期ごとの小規模な振り返りセッションを組みあわせるなど、計画的かつ継続的な研修体系を構築できれば、コンプライアンスの重要性を常に意識し、組織文化として定着させられます。
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近年は、不祥事やコンプライアンス違反が一度でも起きてしまうと、大きな損害や信用失墜につながりかねない時代です。
自社の課題や研修対象をふまえて最適なテーマを選定し、受講した人の当事者意識を高める工夫や、経営層・管理職への優先的な実施など、効果的な研修を継続的に行うのが大切です。
また、研修後には評価と改善に取り組むことで、コンプライアンス研修の質を高め、企業価値の維持・向上につなげられます。
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Q1. コンプライアンス研修とは?
コンプライアンス研修とは、法令遵守だけでなく、社内規定や社会規範に対する理解と意識を高めるための教育プログラムです。従業員が法的・倫理的に正しい判断ができるよう知識を提供し、リスク意識を醸成します。結果として企業価値の保全と向上につながる重要な取り組みとなります。
Q2. コンプライアンス研修のテーマには、どのようなものがありますか?
コンプライアンス研修の主なテーマには、労働法や独占禁止法などの関連法令、社内規定・ルール、情報セキュリティ、ハラスメント防止、SNS利用に関する情報リテラシー、知的財産権保護などがあります。自社の業種や状況に応じて、リスクの高い分野に焦点を当てて研修を実施できると効果的です。
Q3. コンプライアンスの目的とは?
コンプライアンス研修の目的は主に3つあります。(1)法令や社内規定、社会規範に関する正しい知識を習得すること、(2)自社にとってのリスクを予測・管理する能力を高めること、(3)コンプライアンス意識を組織全体に浸透させ企業価値を向上させることです。最終的には違反防止と健全な企業文化の構築を目指します。