【企業向け】カジュアル面談の質問例を新卒・中途別に紹介!進め方や成功のコツも
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目次
カジュアル面談を効果的に実施するには、適切な質問と回答の準備が重要です。本記事では、カジュアル面談の基本から、新卒・中途採用それぞれの場面で使える質問例、逆質問例まで、実践的なノウハウを解説します。
カジュアル面談とは
カジュアル面談は、採用選考とは異なる位置づけの情報交換をする場です。採用選考では評価を目的とした質問が中心となりますが、カジュアル面談では、企業文化や職場の雰囲気、具体的な業務内容などの相互理解を深めることを目的としています。これにより、自社の価値観や目指す方向性に共感し、活躍が期待できる人材からの応募が見込めるようになります。
応募前に実施するケースが一般的ですが、内定後のフォローや、リファラル採用・スカウト採用のファーストステップとして実施されるケースも増えています。
カジュアル面談が増えている背景
近年、労働人口の減少により採用競争が激化しています。従来の「待ちの採用」では人材獲得が難しくなってきたため、 ダイレクトリクルーティングなど企業が人材をスカウトする「攻めの採用」が普及してきました。
一方で、企業が人材をスカウトする場合、求職者は人材募集中の企業のことをあまり知らないことが多く、ミスマッチが懸念されます。ミスマッチが起こると、早期離職率や内定辞退率が高まるため、カジュアル面談で相互理解を深めることが重要です。
株式会社学情が実施した「経験者採用(中途採用)動向調査」によると、29.1%の企業がカジュアル面談を実施しており、25.7%の企業が実施を検討しています。実施の目的としては、「ミスマッチの防止」「志望度の向上」などがあがっています。
カジュアル面談の4つのメリット
(1)相互理解を深め、ミスマッチを防ぐ
カジュアル面談では、求職者が自身のキャリアプランや価値観にもとづいた質問ができ、企業も詳細な情報提供や率直な対話が可能です。たとえば、具体的な働き方や、チーム内のコミュニケーションスタイルなど、通常の企業説明では伝えきれない情報を共有できます。また、その場で認識のズレを確認・修正できるため、入社後のギャップを最小限に抑えられます。
(2)求職者の自然体が見えやすい
カジュアル面談は、形式的な質疑応答にとらわれない対話が可能で、求職者は自身の関心事や懸念点を率直に話せます。求職者が自然体に近い状態で対話できるので、企業は選考前に人物像を把握できます。選考面接では、求職者の緊張がほぐれやすくなり、コミュニケーションが円滑になります。
(3)企業文化と職場の実態を適切に伝えられる
企業説明会やウェブサイトでは伝えきれない、日常的な業務の進め方やチーム内の関係性など、職場の実態に関する細やかな情報を共有できます。人材育成や評価、雰囲気、働き方など、実例を交えながら説明すると、求職者は働き方をより具体的にイメージできるでしょう。
(4)母集団形成が期待できる
企業の価値観や方向性に共感する人材との出会いを創出し、スカウトやリファラル採用などの能動的な採用活動を促進できます。さらに、以下のような採用基準に合致する優秀な人材プールを形成し、長期的な採用パイプラインの構築にもつながります。
- 事業戦略への理解と共感
- 組織文化とのマッチング
- 期待される役割の明確な理解
カジュアル面談の事前準備
(1)面談の目的明確化とアジェンダ設計
まず、カジュアル面談の目的を明確にし、それにもとづいたアジェンダを設計します。基本的な構成として、以下の要素を30分から1時間程度で組み立てます。
- 企業からの説明(15-20分)
- 求職者からの質問(15-20分)
- 今後のステップの確認(5-10分)
(2)面談担当者の選定と準備
以下の要素を考慮して適任者を選定します。
- 募集職種や部門についての十分な知識
- 企業理念や文化を体現できる人材
- コミュニケーション力とファシリテーション能力
人事部門と現場部門の担当者が協力して実施することで、企業文化と実務の両面から充実した対話が可能になります。
(3)求職者に共有する資料を作成
面談の効果を高めるため、事前に以下の情報を簡潔にまとめた資料を用意し、当日求職者に共有します。
- 企業の事業内容と価値観
- 募集職種の具体的な業務内容
- 組織体制と働き方の特徴
(4)質問項目の準備
カジュアル面談の本質は双方向のコミュニケーションにあります。そのため、以下のような観点で質問を準備します。
自社の理解促進に向けた質問例 | 当社の事業や職場環境について、とくに関心のある点はありますか? |
キャリアプランを確認する質問例 | 今後のキャリアでどのような経験を積みたいとお考えですか? |
質問は対話の糸口として位置づけ、求職者の回答から関連する話題を展開できるよう準備しましょう。一問一答形式を避け、自然な会話の流れを重視します。
カジュアル面談当日の流れ
カジュアル面談は以下の流れを基本としますが、会話の流れに応じて、臨機応変に進行することが重要です。
(1) オープニング(5分)
まず、面談の位置づけと目的を明確に説明します。採用の合否には関係ないこと、相互理解を深めるといった目的を伝え、率直に対話できる環境を整えます。担当者の自己紹介では、業務内容や役割に加え、入社の経緯なども共有し、対話しやすい雰囲気をつくります。
(2) 求職者の状況確認(10分)
キャリアの方向性や企業選びの軸など、求職者の考えを丁寧に聞き取ります。この理解をもとに、後半の情報提供をカスタマイズします。
主なポイント
- 現在の状況と今後のキャリアプラン
- 重視する企業選びの条件
- とくに関心のある事業領域や職務
(3)企業の説明(20分)
(2)のヒアリング内容から参加者のニーズを見極め、以下の項目のなかから適切な情報を伝えます。
- 事業内容と成長戦略
- 組織体制、働き方、社風
- 具体的な職務内容と期待役割
- 自社が抱えている課題
- キャリア開発の機会
- (スカウトの場合)スカウト理由
(4)質疑応答(20分)
求職者からの質問に丁寧に回答します。具体的な事例を交えながら、正確な回答を心がけましょう。即答できない質問があれば、後日あらためて回答することを伝えます。また、質問への回答を通じて新たな対話のきっかけを見出し、より深い相互理解につなげるとよいでしょう。
(5)クロージング(5分)
面談の締めくくりとして、印象に残った点や新しく知った点などを共有します。その後、求職者の反応や状況に応じて、選考プロセスの案内や検討期間の設定など、次のステップについて説明します。以下の点を必ず確認しておくことが重要です。
- 追加の質問事項の有無
- 希望する連絡手段とタイミング
面談時に回答を保留した質問への返答や選考案内は迅速に進めましょう。素早いフォローアップは、企業への信頼感を高め、よりよい関係構築につながります。
カジュアル面談の質問例
面談では、一問一答の質問形式を避け、自然な対話を通じて相互理解を深めることが重要です。求職者の返答内容からニーズを読みとり、自社の等身大の状況を伝え、応募へのモチベーションを高めます。直接的な聞き方をすると面接のようになってしまうため、あくまでも自然な会話を意識することが大切です。
(1)キャリアの方向性
求職者の価値観や目指す方向性を理解することから始めます。これにより、その後の対話をより意味のあるものにできます。答えにくい様子であれば「今のところの考えで結構ですよ」「具体的でなくても構いませんよ」などフォローを入れるとよいでしょう。
質問例
新卒 |
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中途 |
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企業からの情報提供 |
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(2)興味の対象や企業選びのポイント
興味の対象や企業を選ぶ際に重視するポイントを聞くことで、より本質的な興味・関心を理解します。自社にマッチするかどうか、企業風土に馴染めるかどうかなどの判断に役立ちます。
質問例
新卒 |
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中途 |
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企業からの情報提供 |
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(3)求職者の経歴
自社が募集しているポジションにマッチしているか確かめるために、候補者の経歴を聞きます。質問という形で聞いてしまうと面接のようになってしまうため、自己紹介のタイミングで確認するとよいでしょう。
質問例
新卒 |
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中途 |
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企業からの情報提供 |
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(4)就職・転職活動の背景
現在の状況を理解し、適切なフォローアップにつなげていきましょう。ただし、プライバシーに配慮し、本人が話したい範囲で聞くようにします。
とくに中途採用の場合は、転職検討の緊急性も重要なポイントとなります。たとえば、現在離職中の方や早期の転職を希望される方は、具体的な採用機会を探している可能性が高いです。ニーズに合致する場合は本選考への案内など、より積極的にフォローアップしていきましょう。
質問例
新卒 |
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中途 |
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企業からの情報提供 |
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よくある逆質問例と回答のポイント
カジュアル面談では、求職者からの質問に対して、具体的かつ誠実な回答が求められます。まずは、効果的な回答のための基本姿勢を押さえておきましょう。
効果的な回答のための4つの基本姿勢
- 誠実な情報提供:事実にもとづく正確な情報を提供しつつ、必要に応じて課題や改善点にも言及します。
- 具体例の活用: 抽象的な説明を避け、実際の事例や数値を用いて説明することで、求職者の理解を促進します。できるだけ身近な例を用いて、イメージしやすい説明を心がけます。
- 双方向の対話を重視:一方的な説明に終始せず、求職者の反応を見ながら対話を進めます。質問への回答後は、求職者の考えや価値観も聞き、相互理解を深めていきます。
- 適切な情報開示範囲の把握:開示可能な情報範囲を事前に確認し、適切に情報を提供します。回答が難しい内容については、その理由を説明したうえで、後日回答可能な部分について共有することを伝えます。
以下、主な質問カテゴリーと効果的な回答のポイントを解説します。
(1)企業文化・職場環境に関する質問
質問例
「社内の雰囲気や働き方について教えてください」
回答のポイント
- 具体的なエピソードを交えて説明
- 部署や役職による違いにも言及
- 担当者自身の実体験を共有
(2)働き方と制度に関する質問
質問例
- 「実際の労働時間や働き方の柔軟性について教えてください」
- 「リモートワークの活用状況を教えてください」
回答のポイント
- 制度の説明だけでなく、実際の活用状況を共有
- 部門による違いがある場合は明確に説明
- 今後の制度改善の方向性にも触れる
(3)キャリアに関する質問
質問例
- 「入社後のキャリアパスについて教えてください」
- 「研修制度や成長支援について詳しく知りたいです」
回答のポイント
- 具体的な成長事例の紹介
- 研修体系の説明
- 社内でのキャリアチェンジ事例の共有
(4)今後の事業展開に関する質問
質問例
- 「今後の事業展開について教えてください」
- 「現在の課題と今後の展望を教えてください」
回答のポイント
- 公開できる範囲で具体的な戦略を説明
- 業界動向との関連付け
- 求職者に期待する役割との接続
(5)求める人物像に関する質問
質問例
- 「御社で活躍されている方の共通点はありますか?」
- 「この職種で成果を上げている方の特徴を教えてください」
回答のポイント
- 活躍している社員の具体的な行動特性を例示
- 入社後の成長ストーリーを交えて説明
- 企業の価値観と結びつけながら伝える
(6)募集理由に関する質問
質問例
- 「募集の背景をお聞かせください」
- 「このポジションを募集するに至った経緯を教えてください」
回答のポイント
- 事業の成長や組織の拡大など、前向きな背景から説明
- 求職者に期待する役割と紐づけて伝える
- 配属先の具体的な状況にも触れる
このように、質問への回答は基本姿勢を意識しながら、具体例を交えて説明することで、より効果的な対話が可能になります。
カジュアル面談を成功に導く5つのコツ
カジュアル面談を効果的に実施するためには、準備段階からフォローアップまで、以下の5つのポイントを意識することが重要です。
(1)適切な担当者の選定と事前準備
カジュアル面談の成否は、担当者の適性に大きく左右されます。対話力とコミュニケーション能力が高く、企業文化や業務内容について深い理解がある人材を選定しましょう。また、評価者としてではなく、キャリアアドバイザー的な視点をもてる人が適任です。担当者は事前に、求職者の経歴や志向性を踏まえた情報やエピソードを準備します。
(2)リラックスできる環境づくり
面接とは異なる雰囲気づくりが重要です。場所は、カフェなどのカジュアルな場所やオンラインを選択します。適度な賑わいのある空間で、オフィスカジュアルや私服といったフランクな雰囲気を意識した対応を心がけましょう。
(3)情報提供の質とバランス
企業情報は具体的なエピソードを交えて説明し、公開情報と非公開情報を適切に使い分けます。また、自社が抱える課題に触れる場合は、必ず改善への取り組みもセットで説明しましょう。自社の実態が伝わるよう、具体例を交えながら説明することが重要です。
(4)相互理解を深める対話
一問一答ではなく、求職者の発言から話題を展開し、具体的なエピソードを共有しながら対話を進めます。求職者の反応に応じて情報提供の内容や深さを調整し、自然な会話の流れをつくることを心がけましょう。
(5)効果的なフォローアップ
面談の締めくくりとして、相互理解が深まった点を確認し、具体的なネクストステップを提示します。選考に進んでもらいたい場合は、その理由や求職者の魅力を感じた点を具体的に伝えましょう。あわせて、選考プロセスの詳細も明確に説明します。
このフレームワークに沿って面談を進めることで、より効果的な相互理解と採用成功につながります。
カジュアル面談の効率的な運用をサポートする採用管理システム
カジュアル面談を含む採用活動では、候補者との接点が増えるほど、情報管理が煩雑になりがちです。SmartHRの採用管理機能を活用することで、候補者の情報や書類、選考結果を一元管理できます。採用が決定した候補者の情報は、そのまま従業員として登録できるため、採用から入社後の手続きや育成までをシームレスに実施できます。
将来的には、選考フローの設定と評価者のアサイン機能を追加予定です。評価者は面接結果を直接入力できるようになります。
Q1. カジュアル面談と採用面接の違いは?
カジュアル面談は選考を目的としておらず、企業と求職者が相互理解を深めるための対話の場です。選考には直接影響しないため、双方がより率直に情報や意見を交換できます。多くの場合、カフェやオンラインなどリラックスできる環境で実施されます。
Q2. カジュアル面談で聞くべきことは?
経歴、就職・転職活動の状況、興味の対象、企業選びのポイント、キャリアプランなどを、自然な会話の流れのなかで質問します。一方的な質問は避け、対話を心がけましょう。
Q3. カジュアル面談を効果的に実施するには?
以下の3点がとくに重要です。
- 適切な担当者の選定(対話力があり、企業文化や業務内容を深く理解している人材)
- 十分な事前準備(求職者の経歴理解、説明内容の整理)
- 適切なフォローアップ(面談内容の記録、次のステップの明確な提示)