【サーベイ回答率90%超え!】社員の本音を知り「攻め」の組織をつくる 【SmartHR Agenda#2 レポート】

働き続けたい組織となるために、企業はHRテックをどのように活用しているのか。企業の担当者から直接事例をうかがい、視聴者とともに考えるオンラインイベント「SmartHR Agenda #2 〜HRテック活用事例に学ぶ働き続けたい組織〜」。

SmartHR導入事例講演Ⅰでは、株式会社これから 取締役 安島 正人さん、人事 採用担当 渡邉 裕美さん、People Tree合同会社 Co-Founder&CEOの東野 敦さんを迎え、「【サーベイ回答率90%超え!】社員の本音を知り「攻め」の組織をつくる」をテーマにパネルディスカッションを行っていただきました。

【サーベイ回答率90%超え!】社員の本音を知り「攻め」の組織をつくる 【SmartHR Agenda#2 レポート】

【パネラー】

People Trees合同会社 Co-Founder & CEO 東野 敦 氏

関西大学卒業後、富士重工業(現SUBARU)、本田技研工業において、工場・研究所を担当。その後、主に海外進出や現地法人・国内グループ会社の人事部門の支援を行い、直接担当した国は20か国以上に上る。人事戦略企画を担当後、フィリピン地区の人事ダイレクターとして3社の経営を担う。海外人事部門立上げに伴い江崎グリコに転じ、グローバル人事ヘッドと人事戦略企画グループ長を兼任。タレントマネジメントシステムの導入による従業員情報の可視化と適材適所の実現、採用マネジメントシステムの共同開発など、人事領域におけるテクノロジー活用を推進。

株式会社これから 取締役(コーポレート管掌役員) 安島 正人 氏

新卒で自動車商社へ入社。2013年以降、IT企業にて営業や人事、グループ会社を管理する管理本部にてマネジメントを務める。その後も、上場準備会社にて人事部の立ち上げ、第一期の新卒採用や制度整備に従事。2020年3月に(株)これからに入社。取締役に就任し、コーポレート管掌役員として人事・総務を兼任。人事領域では、採用・労務・人事評価・教育などティール組織確立に向け経営と現場のグリスとなり、オフェンス人事で会社を前進させる。

株式会社これから 人事 採用担当 渡邉 裕美 氏

2012年、創業メンバーとして(株)これからに入社。営業、CS、ディレクション、採用などを経験し、フランス留学のため一旦退職。帰国後、現在は人事採用担当として中途採用をメインに行う。そして、社員のエンゲージメントやモチベーション向上のため、組織状態を把握し、経営陣と共に社内環境の改善に努める。また、一児の母として、スーパーフレックスを活用し、自らワーキングマザーにとって働きやすい環境や制度作りを推進する。

【モデレーター】

株式会社SmartHR プロダクトマーケティングマネージャー 重松 裕三

慶應義塾大学商学部卒業後、コンシューマー向けプロダクトを開発する企業で、プロダクトマネージャーとして新規事業の立ち上げを複数手掛けつつ、組織内最大チームのマネジメントを担う。2019年、SmartHR に入社し、プロダクトマーケティングマネージャーとしてクラウド人事労務ソフト「SmartHR」の機能開発に貢献。人事情報を活用し組織の力を向上させるサービスの企画開発も担当し、2020年9月に「従業員サーベイ」機能を、2021年10月に「人事評価」機能をリリース。

グラレポ

サーベイで、成長を続ける組織の声に傾聴

重松:まずはじめに、サーベイの導入背景をお聞かせください。

安島さん:以前からSmartHRを導入しておりましたが、会社が成長している今、従業員との目線が合っているのかを知るためにサーベイを導入しました。

これから 安島さん

(安島さん)

重松:ありがとうございます。一方で、サーベイの導入、実施に踏み切れなかった背景もあったと伺っています。

渡邉さん:仮にサーベイの結果、課題が出てきたとして、解決に向けた一手を打つのが難しく感じていました。そのため、運用イメージが持てずに躊躇していたところがあります。

重松:実際に導入に至った経緯についても伺えますでしょうか。

導入に至った経緯

渡邉さん:ちょうどコロナ禍ということもあり、テレワークの推奨に加え、新卒・中途ともに採用を強化していたころでした。どんどんと人が増えるなかで、サーベイの重要性や必要性が増していったのが理由の一つです。

もう一つの理由が、SmartHRのサーベイ機能には、非常に実用性があると感じていたからです。今まで懸念していた運用イメージが明確に持てたことと、SmartHRの担当の方からの手厚いサポートがあったことが、決め手となり導入に踏み切れました。

重松:東野さんは、コロナ禍をきっかけとしたサーベイ実施にはどのような印象をお持ちでしょうか?

東野さん:コロナ禍で数多くの企業さまがサーベイ実施に取り組んだかと思います。コミュニケーションが取りづらいなかで「業務や心身の調子はどうですか?」という姿勢を示したり、「会社が誠意を持って回答いただいた内容を統計的に分析、対応します」というメッセージの発信は、企業にとって非常に重要です。

重松:ありがとうございます。これからさまは、従業員数が現在180名と成長を続けています。そのなかで、従業員の方の声をしっかりと拾う難しさは感じますか?

渡邉さん:100名ほどになった段階で、一人ひとりの声の届きづらさや、拾いづらさを感じました。

東野さん:100名というのは1つのトリガーだと思います。40名ほどで創業者の社長1人では管理が難しくなり、80名を超えると人事に1名必要となります。100名を超えるとサーベイのほうが、インタビューよりも効率的ですね。

 

迅速な改善策が生む、社員からの信頼感

重松:ここからはサーベイの活用方法やメリット、工夫についてお伺いします。

渡邉さん:現在、「エンゲージメントサーベイ」、「従業員満足度サーベイ」、「退職サーベイ」の3つを行っています。今後は「入社時サーベイ」の運用も予定しています。

従業員満足度サーベイの結果として、評価への理解度が低い点、リモートワーク推奨下でも出社希望のメンバーが意外にも多かった点、社内状況が見えづらくなった点の3つが課題であることがわかりました。また、一方で社風やビジョンへの理解度が高いことや、働く仲間との信頼関係が構築できているという強みも発見できました。

これから 渡邉さん

(渡邉さん)

重松:続いて、課題に対して実施された改善策がこちらです。

課題に対して実施された改善策

渡邉さん:まず、1つ目の「人事評価制度への理解度が低い」という課題に対しては、全従業員に向けて、評価制度の仕組みに関する説明会をすぐに実施しました。

2つ目の出社希望のメンバーに対して、代表自身が椅子とテーブルを発注しまして、翌週にはソーシャルディスタンスを保ちつつ仕事ができる環境を構築しました。

3つ目の部署間のコミュニケーション不足に対しては、翌月から各部署の情報を発信する社内報を社長室主導で実施しました。

東野さん:このようにクイックにアクションを起こすのは非常に重要で、社員からの信頼も高まりますし、“安心して正直に回答する”という文化形成にもつながります

重松:改善策に対する、従業員の方の反応はいかがでしたか?

改善策に対する、従業員の方の反応

渡邉さん:実施前は、前向きに捉えてもらえるか不安がありましたが、サーベイに対しては非常にいい反応が多かったです。改善策を講じたあとは、オフィスに人が増えたり、ほぼ全員が社内報を閲覧していたり、部門長が非常に積極的に分析会へ参加していたりといった様子を見て、安心しました。

重松:分析会というのは、どういったものでしょうか?

渡邉さん:全部門長と役員をリモートでつなぎ、会社全体のサーベイ結果に対して、各部門長が部門の課題と強みを確認するものです。

安島さん:分析会により、各部門別に細かく良し悪しが可視化されます。部門長同士の意見交換による改善が生まれ、目指す方向が揃えられて非常に効果的でした。

東野さん:やはり部門長を交えた分析会は有効ですし、サーベイ運用の要になると思います。部下に分析や対策を任せるのではなく、部門長が自分たちで解決しようと先頭に立っていただくのが非常に重要です。

経営陣や部門長を巻き込むことに難しさもありますが、経営にメリットがあることを伝えつつ、「サーベイは通知表ではなく、企業の方向性が社員に浸透しているか確認するもの」といったスタンスで打診してみるとよいかもしれません。

2割の声にこだわった、安心のサーベイ運用

重松:続いては、回答率向上のための工夫についてお聞かせください。

回答率向上のための工夫

渡邉さん:まず1つ目は、各拠点の部門長に対して、社員に向けたサーベイの実施および回答のお願いに関するアナウンスを依頼しました。2つ目に、結果と課題に対するアクションの資料化、共有を行いました。3つ目に、サーベイ結果を従業員がすぐに確認できるようイントラサイトに公開しています。

安島さん:また、大前提として「人事評価にサーベイ結果を反映しないこと」を明言し、従業員の心理的安全性を確保した結果、1回目の78%から2回目では92%と回答率が上がりました。

従業員の心理的安全性を確保した結果、1回目の78%から2回目では92%と回答率が上昇

安島さん:1回目に2割程度の人が未回答ということは、2割の声を聞けていないのだと思います。回答する側が1回目で感じていた不安を払拭できたため、2回目の回答率を達成できたのではと分析しています。

重松:続いては、サーベイの質問項目についてです。これからさまはSmartHRがプリセットでご用意しているエンゲージメントサーベイの質問内容をそのままご利用いただきましたが、いかがでしたか?

エンゲージメントサーベイの質問内容

安島さん:質問を一つひとつ考えていくことは、非常に時間がかかってしまいます。そのためまずは、プリセットの質問をそのまま利用しました。その結果の分析を経て、新しく追加する設問、削除する設問を検討するという形で運用を回しています。

決裁者を巻き込んだ、スピード感のある運用フロー

重松:続きまして、サーベイの運用フローについてお伺いしたいです。

サーベイの運用フロー

渡邉さん:運用計画ミーティング後、1か月ほどでサーベイを送信します。回答完了後に、人事と安島、代表で全社分析会を実施し、約2週間以内に、部門長と分析会を行います。それを経て、約2週間程度で従業員向けに結果共有を行い、2回目のサーベイを実施するという運用フローです。

安島さん:全社分析会の場には私と代表という決裁権のある2人がいるため、スピード感を持って承認が進んでいきます。

重松:運用フローについて、何か東野さんが気になった点はありますか?

People Tree 東野さん

(東野さん)

東野さん:非常に素晴らしい運用フローだと思います。もちろん、従業員数といった企業規模によって、実施から検証、分析までのサイクルを3か月や6か月と設定し、適切な回数を実施するのがいいかと思います。

 

改善策を発信し、さらなる企業理解を推進

重松:サーベイ結果のフィードバック方法についてお伺いできますか?

サーベイ結果のフィードバック方法

渡邉さん:サーベイ結果は資料化して公開しているのですが、「そもそも“エンゲージメント”とは?」の説明やサーベイ実施の狙い、背景を資料に記載しています。そのほか、前回結果からの変化や今回の結果、次回に向けた施策といった内容です。

重松:情報をオープンにしていくことは非常に重要かと思うのですが、その際に気をつけるべき点を教えていただけますか。

東野さん:サーベイ結果は、決していい話ばかりではないと思います。サーベイの結果はあくまで、経営方針に対する社員の理解や共感の指標です。

もし悪い結果の場合でもそれを隠そうとするのではなく、改めて経営方針の説明やメッセージの発信が必要になります。

決して人事の反省会ではなく、経営陣から結果に対する改善策を発信する場でもあるんです。

 

人事×経営陣で取り組む、業務効率化

重松:最後のパートは、人事施策と経営戦略の関係性についてお伺いします。人事視点、経営視点で大事にしていること、今後取り組みたいことについて教えてください。

渡邉さん:今後は、今までのサーベイのほか、オリジナルの設問でのサーベイ実施や研修サーベイ、評価サーベイなども活用していきたいです。

SmartHRでサーベイを実施して、ほかサービスにはない実用性を感じています。大掛かりなサーベイの実施や確実なフィードバックを実現できたのは、SmartHRだからこそだと思います。

安島さん:経営視点からは、人事施策が自然と生産性にも結びつくと捉えています。より優秀な人材を確保するためにも、多様性のある働き方にどんどんと取り組んでいきたいです。

東野さん:やはり経営陣が考えていることを人事はしっかりと組織に伝えていく必要がありますし、一方で人事も経営陣へ伝えていく必要があります。サーベイの有効活用により、経営戦略がしっかりと社員に伝わり、社員全員が信頼し、目標実現につながります。

重松:ありがとうございます。改めて、サーベイ導入に当たって重要なポイントを教えていただけますか?

東野さん経営者の思いが社員にしっかり伝わっているか確認することに尽きます。経営陣と社員が1つの目標を共有しつつ、お互いの意見をサーベイで伝えていくことです。

最初はシンプルに、経営理念を理解しているかどうか、共感しているかどうか、実践しているかどうかという、3つの質問をするだけでもよいでしょう。

 

質疑応答

Q:経営陣にサーベイ導入を納得してもらうためには何が必要でしょうか?

重松:最後にQ&Aに移っていきたいと思います。「エンゲージメントサーベイ実施を経営層に納得してもらうためのアドバイスはありますか?」という質問になります。

東野さん:エンゲージメントサーベイは、経営戦略の実行ツールです。目的と経営層へのメリットをしっかり定めて、お伝えするというのがいいと思います。出てきた課題をすべて解決する必要はないですし、1個ずつでいいので改善すべき優先順位に沿って取り組みましょう

 

Q:結果の開示にためらってしまいます。

重松:最後のご質問です。「結果をオープンにできていません。心のどこかでできない理由を探してしまいます」ということですが、何かアドバイスがありますか?

東野さん:結果だけ伝えるのではなく、結果に対する改善アクションを伝えるまでを1つのパッケージと心掛けましょう。「このように改善していきます!」と示すことで、自信を持って結果と向き合えると思います。

重松:ありがとうございます。質問はまだまだ寄せられていますが、時間も限られていますので、以上で終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

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