Q:人事評価の「甘辛調整」の基準はどう決めるべき?【人材マネジメントQ&A】

少子高齢化が進む現在では、優秀な人材を採用・確保・育成するために、人材マネジメントの重要性はますます高まっています。この企画では人事担当者が見えにくい「マネジメントの悩み」を人材マネジメントのプロが解説。ビジネスの現場でマネージャーが抱える課題に効果的なヒントをご紹介します。

今回はZホールディングス株式会社 Zアカデミア 学長の伊藤羊一さんに、人事評価の標準化についてご回答いただきました。

A:上位評価者が調整できる体制構築と定期的なすり合わせで納得感を醸成しましょう

最も大切なのは「頑張ったかどうか」ではなくて、「評価できる目標になっているのか」です。被評価者が「どのくらい達成しているのか」に対して、評価者が説明責任を果たせる形になっていないと、なんとなくの気分で評価することになってしまいます。

そのためには、すべての評価項目ごとに、評価基準も「この結果を残したらA評価」などと、達成する目標、評価の基準を明確にしておくことが必要です。基準がなければ、被評価者の「これをやったのでA評価ですよね」という自己評価に対して、「評価基準によればBだよね」という不毛な議論が起きてしまいます。

上位評価者が調整できる体制で「甘辛」をチェックする

評価基準のあいまいさについては難しいところです。私も例外ではなく、自分の評価が絶対的に甘いか、厳しいかは標準化しにくいと思います。

評価の「甘辛」を調整するために、ヤフー株式会社では、必ず評価会議で評価の甘辛を上長が調整してくれる体制を構築しています。たとえば、同じ本部内に部長が5人いる場合は、5人の部長がつけた評価に対して、部長の上長が評価をチェックして「この人の評価の部分が少し甘くないか」「厳しくないか」を調整しています。

また、被評価者は評価項目と基準を提示されるだけでは、納得感は得られません。そのため、日頃の1on1などで、現状の評価と評価基準のすり合わせしながら慎重に進めていくことがポイントになります。

評価者が注意すべきは、メリハリをつけること。部下に嫌われたくないため、つい甘い評価にしてしまいがちな評価者も少なくないでしょう。しかし甘く評価してしまうと、きちんと評価している評価者や、評価項目に沿った結果を残している部下に対してのモラルハザードを起こしてしまうので、評価者には公平な目線を持つことが求められます。

ポイントは被評価者への思いを意識的に除外すること

完璧な評価は非常に難しいため、評価者同士が話し合う評価会議でも、まれにですが、評価が着地しないこともあります。

それを避けるために、目標設定時に被評価者とすり合わせしておくのが一番よいと思います。とくに大切なのが、定性評価ですね。定量評価は、絶対評価で達成したかを判断しやすいですが、定性評価は職種や会社によって、基準が異なるケースも少なくありません。

定性評価の客観性を保つためには、「自分がどのように行動して、どの評価相当であるか」を被評価者自身が記載して、その内容を評価者が評価して、評価会議で言葉にして説明することが必要です。定量評価のように明確に決めることは無理だと割り切り、不明確な部分は評価者が言葉で補うようにしましょう。

ポイントは、「あいつも頑張っているし」という思いは意識的に除いて、パフォーマンスだけを評価すること。

評価者も被評価者も納得感のある基準を設けて、現状の評価と評価基準のすり合わせを評価期間内で定期的に擦り合わせるようにしましょう。

日本興業銀行、プラス株式会社を経て2015年4月よりヤフー株式会社。現在、Zアカデミア学長として次世代リーダー開発を行うほか、社外でもリーダー開発を行う。2021年4月武蔵野大学アントレプレナーシップ学部を開設、学部長就任。代表著作「1分で話せ」(SBクリエイティブ)。
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