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「話が違う!」 入社前に提示された待遇と実態が違った場合の対処法

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就職活動や転職活動をしていると、入社後の諸条件が気になり、様々な情報に目を通すかと思います。

基本給等はもちろん、残業時間の扱い方、福利厚生、勤務地や社内イベントへの参加度合い……などなど、企業によってさまざまな取り決めがあり、それらの情報を踏まえて応募することでしょう。

しかし、入社前に想定していた労働条件と、実際に働き出したあとの状況を比べると、ギャップが生まれる場合しばしばがあります。

例を挙げるとすれば、休日数のカウント方法が想定よりも少ないのが実態であったり、自身がイメージしていた社風が、入社後の実態と異なったりするかもしれません。こうしたことが起こると、最悪の場合、すぐに離職してしまうことも起こりえます。

今回は、給料や待遇が想定と異なった場合の法的問題と、その対処法について解説いたします。

求人票での募集と実態が異なる場合

近年、「給料や待遇が事前に聞いていたものと異なる」という求職者からのトラブルは、実際に増えています。

人手不足のあおりで人材獲得が難しくなっている反面、中小の使用者側の経営環境に大きな改善はありません。しかしながら、少しでも経費を抑えての人材確保を試みている現状があり、無理が生じている可能性もあります。

トラブルが起こる段階としては、「求人票広告の段階から虚偽の記載がある」というケースも多いです。

ハローワークでの求人の場合、職業安定法第5条の3において、以下が義務付けられています。

従業員を採用しようとする事業主は、労働者が従事すべき業務の内容および賃金,労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

実際とは異なる勤務条件を明示したのでは意味がありません。これは当然に、正しい労働条件を明示することを求めたものになります。

そのため、虚偽の求人票広告をしたり、虚偽の労働条件を提示して労働者の募集を行った者に対しては、罰則の制裁もありえます

なお、これまでは不正確な求人内容や虚偽の求人内容をした事業者に対し、行政側であまり指導をしていなかったようです。しかし現在は、違反があれば積極的に是正の指導を行うようになりました。何か問題が生じた際には、まずは労基署などに相談してみましょう。

事前のメールや口頭での合意内容が守られない場合

本来、事業主が従業員を採用するにあたっては、労働条件を書面で明示する義務があります

したがって、労働条件を通知する書面の明示は、法律上要求される義務であることがわかります。全く労働条件の明示がない場合は、それ自体が労基法違反となります。

また、通知された労働条件が事実と相違する場合は、従業員は即時に労働契約を解除できます。ただし、労働条件として通知を要するのは、労働契約のすべての事項というわけではありません。

たとえば、事業主と従業員の間で、メールや口頭で合意がされたに過ぎない場合もあります。この場合は証拠を基にした契約の事実認定の問題となり、残っている証拠から、どのような労働条件の合意が当事者間でなされたかを判断することになります。

メールや口頭のみの合意では、のちのちトラブルになることがあり得ます。雇用開始時にできるだけ雇用契約書を作成し、労働条件を細かく書面で確認しておくべきです。

なお、単に書面にするだけでなく、

「契約書の文言が明確に記載されているか?」
「曖昧な記載はないか?」

という事項も、よく確認しておきましょう。

契約書があっても文言が不明確であるために、結局労働条件をめぐってトラブルになるケースも散見されます。労働条件の相違をめぐってトラブルが起きた場合、早めに労基署、弁護士などに相談するようにし、証拠を保存しておくように心がけましょう。

お役立ち資料

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