「アルバイトが廃棄品を勝手に食べた!」懲戒や解雇は妥当?

2018.04.24 ライター: 弁護士 浅野 英之

こんにちは、弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士の浅野英之です。

コンビニや飲食店等の経営者・関係者の方の中には、「アルバイトが勝手に、店の商品をつまみ食いしていた。」とか、「廃棄品の弁当を、アルバイトが食べていた。」という行為を発見してしまった経験があるのではないでしょうか。

しかし、社長やオーナー、役員が、常に店頭に立って監視するのも現実的ではありません。

防犯カメラの映像や、他の従業員の証言で、このような問題行為に気づいてしまったとき、「犯罪ではないか。」、「解雇したい。」という法律相談をされる方もいらっしゃいます。

そこで今回は、「アルバイトが廃棄品を勝手に食べてしまった」という問題について、懲戒や解雇が妥当かどうかを解説します。

店の廃棄品を勝手に食べたら犯罪!

コンビニの廃棄品は、「捨てる予定のもの」ではありますが、まだ店が管理している以上、店に所有権があるといえます。

店に所有権のある廃棄品を、所有者である店に無断で勝手に食べれば、「業務上横領罪」もしくは「窃盗罪」などの犯罪に該当する可能性があります。

「業務上横領罪」は、業務上占有するものを横領する行為を、「窃盗罪」は他人(この場合には店)の占有するものを窃取する行為をそれぞれ処罰する罪です。

それぞれ、刑法によって、「窃盗罪」は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金、「業務上横領罪」は10年以下の懲役に処せられることとなります。

損害賠償請求をすることができる

店にある廃棄品は、店が所有権を有していると解説しました。つまり、廃棄品もまた、店の財産であるということです。

廃棄品を勝手に食べるアルバイトの行為は、店の財産を侵害する行為ですから、これによって店が負った損害について、店はアルバイトに対して賠償請求することができます。

まだ販売できる商品であれば、その商品の定価を基礎として損害を計算することも考えられますが、廃棄品の場合には、既に販売することはできませんので、それよりも低い金額と考えられるでしょう。

懲戒処分の判断基準は?

ここまでに解説した、刑事上の責任、民事上の責任とは別に、会社内においても、無断で廃棄品を食べたアルバイトに対しては、制裁を科すことが考えられます。

具体的には、「懲戒処分」にすることが考えられますが、懲戒処分は、就業規則にその内容が記載されていなければなりません。

つまり、あらかじめ禁止された行為に違反した場合でなければ、懲戒処分にすることはできないというわけです。

廃棄品を食べることを禁止するということについて、あらかじめルールとして定めていたり、命令していたり、以前そのようなことが行われたときに厳重注意していたりといった場合には、無断で廃棄品を食べることが会社の秩序を侵害するのは明らかですから、懲戒処分を検討すべきでしょう。

懲戒処分の判断基準としては、よほどのことがない限り「懲戒解雇」は厳しいと考えます。

廃棄品を無断で食べた回数、程度、悪質性、お客様や店の評判への悪影響の程度などを総合考慮して、懲戒処分の程度を判断するとよいでしょう。

まとめ

今回は、コンビニや飲食店などで起こる、アルバイトが無断で廃棄品を食べてしまった、という問題について、会社側の対応を弁護士が解説しました。

学生アルバイトなど、社会人経験の少ない社員の場合、「どうせ捨てるなら食べてしまおう。」という軽い気持ちでルールに違反するケースもあり、厳しく注意する姿勢が大切です。


【編集部より】飲食業におけるSmartHR導入事例

飲食業でSmartHR導入後に起きた変化とは?
飲食業におけるSmartHR導入事例

アルバイト人材をはじめ、多くの入退社手続きが発生する飲食業界は、その管理も煩雑。特に多くの業態や店舗を持ちチェーン展開する会社では、管理が分散してしまうなど、より大きな課題を抱えます。この飲食業を営む企業において、SmartHRを導入した結果、どのような変化が訪れたのかに迫ります。

【こんなことがわかります】

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    ・労務兼任スタッフが店舗勤務に注力できるようになった話
弁護士 浅野 英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。企業側労働問題を得意とする石嵜・山中総合法律事務所にて、労働問題に関する数多くの相談対応、顧問先企業の労務管理を行ってきた経験を活かし、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。以降、「労働問題に強い弁護士」として、企業側はもちろん、労働者側の相談にも対応し、労働問題のスペシャリスト弁護士として活動中。特に成長中のベンチャー企業、中小企業の人事労務のコンサルティングに定評がある。 【企業向けメディア】ビズベン!
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