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昼下がりの仮眠は合理的? 「シエスタ制度」導入の妥当性を考える


夏が暑いのは言うまでもないんですが、昼食を済ませたあと、程よく冷房の効いた心地よい部屋にいると、どうも眠くなってしまいますね。

春は「春眠暁を覚えず」とされ、なんとなく眠いのも理解されやすいのですが、夏だって眠いのは眠いんです。

そんな折、とある中学校では、全校生徒が10分程度の昼寝をする「シエスタ制度」を取り入れたそうでして、なんとも羨ましい限り……。

私だけでなく、各所から「シエスタがあれば、シエスタさえあればオレはもっと成果を出せるのに〜っ!」という叫びすら聞こえてきそうです。

そんな眠気混じりの今回は、企業が「シエスタ」を導入する妥当性について考えてみたいと思います。

シエスタはスペイン発祥の昼寝文化

シエスタといえば、スペイン文化の中でも我々が特に羨ましいと思う風習のひとつと言っても過言ではないでしょう。のんびりと1時間もかけてゆっくりとランチを取り、その後2時間近くのお昼寝休憩。まさにパラダイス……!

ただ「その分、労働時間も短くなるのか?」と言いますと、そう甘くはないわけで、スペインでは1日の労働が、8時〜13時と17時〜20時といった具合に2部制になっており、全体の労働時間で見ると日本とそう変わらないですね。

元々は、南欧の昼下がりは日差しが強くて暑くて仕事にならないといったような背景から生まれた習慣とされています。

ただし昨今では、シエスタのために、昼下がりどきのお店や企業が動きを停止してしまうことが経済活動に与える悪影響や、国民の多くが20時頃まで仕事をしていることがワークライフバランスの観点から望ましくないなどの理由から、スペインではシエスタを廃止する傾向が見られます。

睡魔が襲う「14時から16時」ころの昼寝は効果的?

一方、科学的な観点から見ると、医師・医学博士の裴英洙さんの解説によると、14時から16時の間は人間の生体リズムと、ランチ後のホルモンバランスというダブルパンチで、避けがたく眠気に襲われる時間帯とされています(*1)。

この時間帯の生産性が下がってしまうのであれば、シエスタは合理的な行動であると考えてもよさそうです。

13時から16時を完全に休憩時間にする企業も

そのような背景から「シエスタ」をビジネス活動に生かすために、大阪のITベンチャー「株式会社ヒューゴ」では、13時〜16時までを完全に休憩時間とするシエスタ制度を2007年に導入し、話題となりました(*2)。

また、そこまで極端ではなくても、「午後の早い時間に30分以内の短い昼寝を取ることが、作業効率の改善に効果的である」との観点から、軽い昼寝を推奨する企業も増えてきています。

シエスタ制度がない企業では柔軟な対応はあまり期待できない

ただ現実的には、そこまで柔軟な対応を取れる企業は少ないのが現状です。

いくら作業効率をあげるからといって、シエスタの制度がない企業で、昼過ぎにいきなり枕をデスクの下から引っ張り出して昼寝を始めたなら、上司からの叱責は免れないでしょう。

「でも課長。ほんの短い昼寝は、作業効率を高めるんですよ! あのグーグルやナイキだって導入しています!」と口を尖らせたところで、「最近の若いやつは……」と深いため息をつかれるか、「寝言を言ってないで、とっとと仕事をしろ!」と怒鳴られるのがオチでしょう。

勝手に始めて怒られるのは当然目に見えていますので、同僚とともに前述の株式会社ヒューゴやグーグル、ナイキなどの例や科学的な根拠、成果データなどを収集し、妥当な判断材料を用いて建設的に制度導入を訴えかけたほうがよさそうです。

「寝ずにデスクに向きあう」ことより「成果と向き合う」ほうが大切?

現状シエスタ制度がなく、どうしても昼寝がしたい場合は、お昼休憩で昼食をとった残り時間を使って、自主的に仮眠をとることで、午後からの仕事もスッキリと始められるのではないでしょうか。

もしくは、仕事中に堂々と爆睡してるけど、その一方で出すべき仕事の成果もバリバリあげて、

「いや、いいんだ。あいつは特別なんだよ」

と、「美味しんぼ」の山岡さんよろしく、周囲に認めさせるかですね(笑)

もちろん、風紀を乱してしまうようであればいかがなものかと思いますので、強引に認めさせるべきではありませんが、仕事に臨む上では「寝ないでデスクに向かう」ことを目的とするより、「いかに効率よく成果をあげられるか」に向き合うほうが大切と言えるでしょう。

その為に取り組めることがあれば、今回のシエスタに限らず、導入を検討するなり提案するなり、働きかけるのは至極当然なことと言えますね。所属する企業で効果が期待できそうであれば、先に述べたように建設的に導入を訴えるべきでしょう。

そんなわけで、私も今から堂々とシエスタをとることにします。おやすみなさい!

【参照】
*1:医学的データから見る「午後2時~4時の眠気」の撃退法 – ダイヤモンド社書籍オンライン
*2:ヒューゴのシエスタ制度について – 株式会社ヒューゴ

社会保険労務士 吉田 崇

よしだ経営労務管理事務所代表。関西を中心に、社長と従業員が安心して働ける職場環境作りをモットーに多くの事業所と顧問契約し、 労務管理で成果を上げる。通常の社労士業務の他に、集客、ブランディングコンサルタントとしての実績も多数。一級カラーコーディネータの資格を有し、ポスターやロゴ等のデザイン業務やWeb制作も行う個性派社労士。よしだ経営労務管理事務所 公式サイト
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