失業等給付の給付制限期間が3ヶ月→2ヶ月に短縮。雇用保険法改正・制度変更等のポイントは?


こんにちは。特定社会保険労務士の羽田未希です。

国は「働き方改革」の中で多様な働き方を推進しており、平成28年から労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会において、雇用保険法の改正、制度の見直し等が議論されてきました。

今回の改正、制度変更等により、労働者が安心して転職、再就職活動ができるよう、セーフティネットとしての雇用保険が充実し、より実態に即した形になったといえるでしょう。

今回は、事業主、人事担当者が確認しておきたい雇用保険制度の改定、変更等についてポイントを解説します。

失業等給付の給付制限期間が3ヶ月から2ヶ月に短縮(令和2年10月1日以降)

離職した人は、ハローワークで求職の申し込みをして、受給資格の決定を受けます。「自己都合」、「懲戒解雇」で退職した方は、失業状態の7日間(待期期間)の後、待期期間が完成した日の翌日から一定の期間、基本手当(失業等給付)が支給されません。この一定の期間を給付制限期間といいます。

これまで、「正当な理由がない自己都合による退職」の場合、給付制限期間は3ヶ月でした。今回の法改正により、令和2年10月1日以降に「正当な理由がない自己都合により離職した方」は、5年間のうち2回までは給付制限期間が3ヶ月から2ヶ月に短縮されます

懲戒解雇等、「自己の責めに帰すべき重大な理由で退職された方」の給付制限期間は、これまでどおり3ヶ月です。なお、「事業主都合により離職した人(特定受給資格者)」や「正当な理由があり離職した人(特定理由離職者)」は、この給付制限はありません。

どのような場合に給付制限期間が2ヶ月になるのか、図を見ながら確認しましょう。

(1)給付制限期間が2ヶ月となる場合

3回目の離職日(図の離職日③)からさかのぼった5年間に自己都合による離職が1回(図の離職日②)のため、3回目の離職にかかる失業等給付の給付制限期間は2ヶ月になります。
(離職日①は、離職日③からさかのぼった5年間にはないため、この5年間において離職は、離職日②の1回ということになります。)

ポイントは、令和2年10月1日以降、離職日からさかのぼって5年間に「離職」が何回あったかです。

出典:厚生労働省「失業等給付を受給される皆様へ「給付制限期間」が2ヶ月に短縮されます」

(2)給付制限期間が3ヶ月となる場合

離職日③にかかる失業等給付の給付制限について、3回目の離職日からさかのぼった5年間に、すでに離職日①と離職日②の2回、自己都合による離職があるため、この際の給付制限期間は3ヶ月になります。

出典:厚生労働省「失業等給付を受給される皆様へ「給付制限期間」が2ヶ月に短縮されます」

(3)令和2年9月30日以前に自己都合で離職している場合

離職日①と②は令和2年9月30日以前なので、給付制限期間は3ヶ月になります。

また、令和2年9月30日以前の離職に関してはこの5年間の対象とならないため、離職日③にかかる失業等給付の給付制限は2ヶ月となります。

出典:厚生労働省「失業等給付を受給される皆様へ「給付制限期間」が2ヶ月に短縮されます」

雇用保険被保険者期間の算定方法の変更(令和2年8月1日以降)

週の所定労働時間が20時間以上、雇用の見込み期間が 31日以上である等の要件を満たせば雇用保険被保険者となります。

しかし、雇用保険被保険者の資格を満たしているものの、休職等で勤務日数が少なかった場合、短時間被保険者等で週2日と週3日の労働を定期的に継続する場合など、個別事例によっては失業等給付の受給のための被保険者期間に算入されないことがありました。

そのため、離職日が令和2年8月1日以降の方については、被保険者期間の算入にあたり、日数だけでなく労働時間による基準も補完的に設定するよう見直すことになりました。

これまでの「賃金支払の基礎となった日数が11日以上である月」の条件が満たせない場合でも、「その月における労働時間が80時間以上」であることを満たす場合には被保険者期間1月として算入できます。

出典:大阪労働局・ハローワーク 「失業等給付の受給資格を得るために必要な 「被保険者期間」の算定方法が変わります」

育児休業給付、介護休業給付、高年齢雇用継続給付においても、同様の被保険者期間の算定方法となりますので、ご注意ください。

離職証明書の記載について

失業等給付を受けるためには、離職日以前2年間に被保険者期間が12ヶ月必要です。

実際には、離職証明書の⑧欄⑨欄は、離職日からさかのぼって1ヶ月ごとに区切った期間を少なくとも12ヶ月分記載します(特定受給資格者または特定理由離職者の場合、 離職の日以前の1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上です)。

たとえば、離職日以前の1年間に賃金支払の基礎となる日数が11日以上ある月が11ヶ月、10日以下だが賃金支払の基礎となる労働時間数が80時間以上ある月が1ヶ月ある場合を考えてみましょう。

この場合、離職日以前2年間で、賃金支払の基礎となる日数が11日以上の月がある場合は、被保険者期間が12ヶ月になるまでさかのぼります。賃金支払基礎日数10日以下だが労働時間数80時間以上の月よりも、賃金支払基礎日数が11日以上ある月を優先するためです。

賃金支払基礎日数が10日以下の月の⑬備考欄には、賃金支払の基礎となる労働時間数として、所定労働時間ではなく時間外労働も含めた総労働時間を記載します。

出典:大阪労働局・ハローワーク 「失業等給付の受給資格を得るために必要な 「被保険者期間」の算定方法が変わります」

おわりに

「働き方改革」や新型コロナウイルス感染症の影響により、労働に関する法律等が目まぐるしく改正、見直しされています。

今回取り上げた雇用保険の改正、制度変更に加え、今年、新型コロナウイルス感染症の影響により様々な特例等も設けられていますので、情報を整理しつつ、正確に把握しておきたいところです。

【編集部より】働き方改革関連法 必見コラム特集

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特定社会保険労務士 羽田未希

17年間の飲食業現場経験を持つ、異色の女性社会保険労務士として飲食業・小売業などサービス業を得意とする。パート・アルバイト活用、人材育成のコンサルティング、労使トラブルを未然に防ぐ就業規則作成、助成金申請など、中小企業の人材活用のサポートを行う。著書に『店長のための「稼ぐスタッフ」の育て方』(同文舘出版)がある。
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