【年末調整】子供がいる場合の「扶養控除」における5つの注意点
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目次
そろそろ年末調整シーズンが近づいています。
年末調整の書類作成にはさまざまな注意点がありますが、子供がいる場合はとくに気をつける必要があります。
たとえば、従業員に扶養親族がいる場合には扶養控除が適用されますが、子供については、その年齢や給与収入によって控除額が変わります。さらに今年からは、今までは控除の対象とならなかった子供について特定親族特別控除も創設されていますので、より注意が必要です。
そこで今回は、新たに創設された特定親族特別控除を含め、子供がいる場合の控除における5つの注意点について解説します。
税理士の方による解説動画も参考にしてください。
(1)「年少扶養親族」は控除の対象とならない
扶養親族とは、納税者が金銭的に養っている親族のことを指します。たとえば、加齢により働けなくなった両親や子供などがこれにあたり、扶養親族となるかどうかの基準は、その親族の年間の所得金額が58万円(給与収入のみの場合には、その給与収入が123万円。以下同じ。)以下がどうかとされています。
「扶養親族がいる=養うための金銭的な負担がある」と認識された場合には、住民税や所得税の計算上控除される金額があり、それを扶養控除といいます。
しかし、親族であれば何歳でも扶養控除の対象となるわけではなく、16歳未満の年少親族は扶養控除の対象になりません。
ただし、住民税については「非課税限度額」という特別な制度があり、16歳未満の子供の有無もその判定に関わってきます。年末調整の際にはどうしても所得税をメインに考えてしまいますが、年少親族についてもきっちり記載するようにしましょう。
(2)「生計が同じ」である必要がある
扶養親族の対象となるためにはいくつか条件があり、そのひとつに「納税者と生計を一にしている」、すなわち「納税者と生計を共にしている」必要があります。
「生計を共にする」とは、生活費など日常生活に必要なお金が納税者の財布から出ているような状態のことです。ここでは、必ずしも同居が条件とはされていません。
つまり、息子や娘が進学を機に一人暮らしを始めた、という場合でも資金援助をしていれば扶養控除の対象となるのです。
ただし、その場合は仕送りしていることを証明するために、金融機関の領収書や通帳の写しといった書類が必要になりますので注意しましょう。
これらの注意点は、従業員から管理職の方へ問い合わせる可能性もあります。この機に、中管理職の方が知っておきたい労務知識を共有してみてはいかがでしょうか。
以下の資料にポイントをまとめましたので、ぜひご活用ください。

社労士監修!中間管理職が知っておきたい労務知識
(3)「年間の合計所得金額」に注意
子供がアルバイトをしている場合には、その子供の年間の所得金額が58万円以下でないと扶養親族にはなれません。
こちらは「103万円の壁」として話題になったものですが、今年からは年間の給与収入123万円が新たな「壁」となります。
ちなみに、この金額は「手取り」ではありません。保険料や税金を差し引く前の“総支給額”ですので、実際に手元に入ったお金だけ合算すればいいわけではありません。この点には注意が必要です。

お役立ち資料
年収の壁まるわかりガイド
2025年の税制改正により、所得税の非課税ライン103万円から160万円への引き上げが決定しました。
そのほか、社会保険料は106万円や130万円で加入義務が発生するなど複数存在する「年収の壁」について、税理士と社会保険労務士両名によるダブル監修のもとわかりやすく解説します。
(4)扶養親族の区分と控除額
その年の12月31日時点で16歳以上19歳未満または23歳以上であり、かつ年間の所得金額が58万円以下の子供は「一般の控除対象扶養親族」です。対象となる子供がいる納税者は所得から38万円が控除されます。
一方、その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満であり、かつ年間の所得金額が58万円以下の子供は「特定扶養家族」に区分され、控除額が63万円に変わります。この年代の子供は大学進学などでお金がかかることが多いため、税負担が軽減されているのです。
ただし、子供が大学生かどうかは控除額に関係ありません。あくまで基準となるのは年齢と所得金額です。
たとえば、一般の控除対象扶養親族のAさん(16歳)と、特定扶養親族のBさん(20歳)という2人の子供がいる場合には、38万円+63万円=101万円が控除されます。
(5)新たに創設された「特定親族特別控除」
その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の親族であっても、年間の所得金額が58万円を超えた場合には扶養控除の対象となる「特定扶養親族」とはなりません。そのことにより、大学生アルバイトの働き控えなどが起きていることを考慮し、所得金額が58万円を超える場合であっても123万円に達するまでは一定金額の控除をする制度が創設されました。この年齢、所得金額に該当する親族を「特定親族」といい、特定親族に関する控除を「特定親族特別控除」といいます。
今までは、所得金額が扶養控除の対象となるラインを超えた場合、その親族については年末調整で考慮する必要がありませんでしたが、ラインを超える度合いによってはこの新たな控除の対象となることがあります。書類への記入漏れがないよう気をつけたいところです。
条件によって控除額は変動。丁寧なチェックを!
このように、子供がいる場合にはその年齢や給与収入によって控除額が変わります。
また、この他にも妻や夫の収入によって配偶者控除の有無も変わりますので、扶養控除等申告書は間違いのないように丁寧に記入してもらう必要があります。
提出された書類は、記載された情報に間違いがないか、しっかりチェックしましょう。

お役立ち資料
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年々複雑化する年末調整に関するマニュアルのアップデートや、従業員からの質疑応答に大幅に時間を取られるなど、大量の書類管理に追われ残業が増えてしまう人事・労務担当の方も多いのではないでしょうか。
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【こんなことがわかります】
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年末調整に関する主なQ&A
Q. 子供の扶養控除は何歳まで?
その年の12月31日時点で16歳以上、かつ年間給与収入が123万円以下の子供は「一般の控除対象扶養親族」です。対象となる子供がいる納税者は所得から38万円が控除されます。
Q. 年末調整で何を書けばいい?
その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の子供は「特定扶養家族」に区分され、控除額が63万円に変わります。

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