年末調整で知っておくべき「扶養控除」「配偶者控除」の対象範囲や注意点

2018.11.01 ライター: SmartHR Mag. 編集部

扶養控除は、年末調整を受ける給与所得者にとって、所得税や住民税の金額に関係する重要な仕組みです。

また、健康保険上の扶養に関するルールもあり、世帯全体の保険料負担がどうなるのか気にしなければならない場合もあるでしょう。

今回は、どのような家族・親族が扶養控除の対象になるのか。また、年末調整に必要な扶養控除申告書の作成時に、どのような点に注意すべきかなどついて、解説していきます。

「源泉控除対象配偶者」の要件

2018年から配偶者控除と配偶者特別控除の仕組みや所得控除できる年収の上限金額などが大きく変わりました。

この改正に伴い、年末調整のときに使用する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の様式も変更されています。

これまで「控除対象配偶者」とされていた欄が「源泉控除対象配偶者」となりました。

また、配偶者控除を適用できる納税者の条件や、配偶者の年収の上限も変更されたので、世帯の状況によっては働き方を考えてみる必要があるでしょう。従来は配偶者控除を適用できる納税者本人の年収額に制限はありませんでしたが、年間の所得見積額900万円超え(給与年収1,120万円超え)の方は適用できなくなりました。

一方、所得見積額が900万円以下の方は、配偶者の所得見積額85万円以下(給与年収150万円以下)であれば配偶者控除が適用されます。

これまでの配偶者の所得見積額は38万円(給与年収103万円以下)だったので、税金に配慮して労働時間を制限していたパート勤務の方などにとっては朗報と言えるでしょう。世帯収入額が上がる可能性があります。

ただし、納税者が個人事業主であって、「青色事業専従者」や「白色事業専従者」として納税者から給与の支払いを受けている配偶者の場合は適用されない点には注意してください。

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「控除対象扶養家族」の4つの種類

配偶者以外にも扶養している親族がいる場合、年齢別に4つの種類の扶養控除が適用されます。

「一般の控除対象扶養親族」に該当するのは、16~18歳・23~69歳の親族で所得控除額は38万円です。

大学生などの教育費の負担が大きいとされる19~22歳の親族は「特定扶養親族」に該当し、税負担を軽減する目的で扶養控除額は63万円に設定されています。

アルバイトをする大学生は多いですが、大学生本人の年収が103万円を超えると親の扶養控除対象親族から外れてしまうので、働きすぎに注意したほうが良いでしょう。

70歳以上の親族は「老人扶養親族」で、同居の場合は58万円・その他の場合は48万円が所得控除されます。親族の年齢は、その年の12月31日現在の年齢で判断する決まりです。

「扶養」で押さえておきたい2つのルール

扶養に関する決まりには「税法上の扶養」の他に「社会保険上の扶養」もあります。

扶養対象にするための親族の収入限度額などが異なっているので、きちんと理解しておきましょう。

親族を「税法上の扶養」の対象にしたい場合には、その親族の給与年収が103万円以下であることが必要です。控除対象になれば、納税する本人の収入から所得控除され、所得税や住民税の一部が免除されます。

「社会保険上の扶養」は、健康保険料や年金保険料の負担をすることなく社会保険に加入できることを意味しています。

具体的には、子どもやパート勤務の主婦などが夫の勤務先の社会保険に加入している例が挙げられるでしょう。給与年収が130万円を超える見込みになったときには、扶養対象から外れて自分で社会保険料を負担する決まりです。

扶養から外れた親族は、年間で20万~30万円程度の保険料を負担して国民健康保険・国民年金に加入、または勤務先の社会保険に加入します。

「配偶者控除額が変更になったからもっと働きたい、でも社会保険料を自己負担したくない」というパート勤務の配偶者などがいる場合には、「いくらまでの年収範囲で働くか」を考えたほうが良いでしょう。

「年少扶養親族」は控除の対象とならない

「児童手当」支給の対象となる16歳未満の年少扶養親族は、所得税上では扶養控除の対象になりません。

年少扶養親族と生活しているにもかかわらず、収入の関係で児童手当を受給していないという場合でも扶養控除の対象にすることはできない決まりです。

しかし、住民税では扶養控除の対象になります。年少扶養親族がいる従業員には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の下部にある「住民税に関する事項」の欄に忘れずに親族の情報を記載するように促しましょう。

(関連記事 ▶ 子供がいる場合の「扶養控除」における4つの注意点

まとめ

結婚・出産、子どもの進学・独立など家族構成やライフスタイルの変化によって、扶養控除の対象者も変わっていきます。

その変化を正確に年末調整の結果に反映させるためには、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を従業員から提出してもらうことが必要です。

申告書の提出がないと年末調整ができないにもかかわらず、提出が遅れがちな従業員がいると労務管理担当者は困ってしまいます。

年末調整を年内に確実に完了させたい場合には、申告書記載方法のポイントや提出期日を明記した文書を早めに従業員に配布し回収するなどの工夫をしましょう。

 

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