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クラウドで変わる人事の働き方。「HRテクノロジー」で何ができるの?

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こんにちは。特定社会保険労務士の山本 純次です。

人事業務の各分野でのクラウド化の進展とともに、今まで紙作業・手作業が多かった領域の業務効率化が進んでいます。

例えば、人事労務においては、「紙での書類作成」「役所に出向いての申請」などの従来型業務が、クラウドシステムの台頭によってオンライン上で実施できるようになり、効率化されています。

HRテクノロジーの台頭で変化する人事の働き方

このように人事労務主導での人事業務全体の業務の効率化、ひいては働き方改革が進んできています。

なにも人事労務業務に限った話ではなく、「HRテクノロジー」の普及により、人事分野全般の業務に大きな変化が起きています。

HRテクノロジーの台頭で変化する人事の働き方

項目別働き方の変化

それでは、具体的にどのように変化していくのでしょうか?

業務項目別に、見ていきましょう。

(1)人事労務手続き

従来の業務は、入社者に対して、年金手帳、雇用保険被保険者証、住民票などを提出してもらい、その情報をもとに申請書類を作成し、各役所への申請書類を作成し、窓口で提出していました。扶養の変更や住所変更なども同じです。

しかし、国が推進する電子政府「e-Gov(イーガブ)」の登場で、これまで役所の窓口で申請していた各種手続きは、Web上で実施できるようになりました。

また、e-GovとAPI連携する、「SmartHR」をはじめとした「クラウド人事労務」の登場によって、人事情報をWeb上で収集し、手続き書類の自動作成できるようになりました。これにより人事情報の回収から申請までを一気通貫で実施できるようになっています。

人事担当者は、こういったシステムを利用すれば、従業員情報の転記などの二度手間が必要なくなり、業務を大幅効率化できるはずです。

その他、年末調整をペーパーレス化させる流れも加速しています。

(2)採用

従来の採用業務では、採用媒体での募集、(複数の人材紹介エージェントからの紹介を受けて)候補者と個別にコンタクトをとって面接日程調整、面接官の手配、評価結果の回収、採用の決定までを実施するのが一般的なフローだったかと思います。

クラウド採用管理システムを使えば、求人情報管理や候補者情報管理のほか、面接日程の調整や面接官のアサインなども一元化できます。

また、採用が決定した後に、入社者と締結する雇用契約や秘密保持契約なども、弁護士ドットコムの「クラウドサイン」やSmartHRのオプション機能「オンライン雇用契約」などを使うことで、Web上での締結・管理が可能になります。

このように、人海戦術で行ってきた採用関連業務も新しいシステムを使えば多くの業務を効率化できる余地があります。

(3)人事考課、異動等

従来の人事考課は、各部門等での各階層での評価を、紙の「評価シート」などで回収し、評価会議で各部門の調整後、昇降給・昇降格を決定していくという流れだったかと思います。その際、多くの評価が評価者による肌感覚頼みでした。

これらはクラウド評価管理によって、Web上に集約し、一元管理できます。評価者の肌感覚に頼らざるを得なかった主観的な評価も、定量データで可視化された客観的な評価体系へと変えることができます。

また、異動に関しては、各部門での要望を集約し、人員調整や人材育成としての配置替えを個々に検討して決定していくのが従来の手法でした。

しかし、クラウド人材マネジメントシステムの台頭により、従業員データだけでなく、技能や異動履歴、本人の希望などを集約させ、組織構成別に所属する従業員の一覧を顔写真付きで管理し、人を動かしていくことが可能になっています。

このように、人事考課・異動がオンライン上で一元的に管理されることで、社内調整や資料の作成などの不要なプロセスを削減し効率化できるでしょう。

(4)勤怠・給与計算

給与計算では多くの情報を各担当から集約しないとなりません。

従来型業務フローの場合、多くは、入社情報を採用担当から、昇格・給与改定を評価担当から、変動手当等の情報は労務担当から、経費精算の情報は経理担当から収集します。また勤怠情報をタイムカードなどから集約し残業時間や遅刻早退時間の集計が必要です。

そのうえで社会保険の計算、各種税金を計算し、手取り給与を計算していきます。計算が完了すると、給与の振込と給与明細を従業員に配布するという作業が発生します。

近年、クラウド給与システムの多くが、クラウドの人事労務や勤怠、会計、経費精算との連携が図られています。

各種情報をWeb上で集約し、計算に反映していきます。勤怠ソフトなどでは自動で残業時間やシフトに対応した勤務時間が集約され、給与ソフトに自動連携できるものもあります。実施した計算を確認のうえ確定すると、会計ソフトに人件費の計上が自動的に実施され、給与明細に表示されない会社負担分の社会保険料なども会社の費用として計上されていきます。

給与の振込もファームバンキングと連動するものもあり、自動化が進められます。給与明細は、Web明細として確認することが通常で、年末調整時の源泉徴収票などもWebで発行のうえいつでも確認できるということができます。

おわりに

従来の人事業務では紙ベースかつ人海戦術で行っていた業務が他の部門と比べて多く、業務量が多くなってしまうのが一般的でした。

しかし、クラウド人事労務などの最新HRテクノロジーを活用することで、効率化が図れるはずです。

自社の業務を振り返っていただき、効率化ができていない業務があれば参考にしていただければと思います。

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