チェーン店アルバイトで「ヘルプ先の時給」が所属店舗と異なる場合の注意点


社会保険労務士表参道HRオフィスの山本純次です。

多店舗チェーン展開している飲食・小売店等では、アルバイトが通常の勤務店舗から他店舗にヘルプ出勤することもよくあることと思います。その際、店舗によって時給等が異なる場合、どのように取り扱われるのでしょうか?

今回は、チェーン店アルバイトにおける「他店ヘルプの時給」はどのように計算するかについて、解説します。

所属店舗とヘルプ先とで時給が異なる場合の取り扱い

例えば、所属店舗で時給1,100円で雇用契約を締結しているが、ヘルプ先の店舗が1,200円の場合、1,100円の支払いで良いのでしょうか? 逆に、ヘルプ先店舗のほうが時給が低い場合(例えば1000円)は、そちらに合わせてもよいのでしょうか?

労働契約法では、勤務場所・業務内容を明示することが義務付けられており、通常その場所での勤務内容に対する時給が設定されます。就業規則などで、他店舗への応援(ヘルプ)や異動、出張などが有り得ると規定されている場合、業務命令として他店舗へ行くということは、会社の人事権として合理的な命令の範囲(明らかに遠方の地や、全く異なる業務に、説明なく行かされるなどではない)で認められます。

その場合、労働契約書や就業規則で時給が他の店舗での業務に応じて変わるというような規定がない場合は、元の時給が適用されます。

ヘルプ先のほうが時給が低い場合は特に注意

一方、時給が他の店舗での業務に応じて変わるというような規定がある場合は、他店舗ヘルプの際に高い時給での支払が必要になりますが、ヘルプ先のほうが時給が低い場合は注意が必要です。雇用時にそういった明確な説明がなく、応援に行かせて、しかも時給が低いとなると労働条件の一方的な低下と捉えられる可能性があり、違法と判断されるケースもあり得ます

人事労務担当者は上記の部分を注意しながら、雇用契約時や応援の際の時給の設定の説明などを明確にしたうえで、実施する必要があります。

今後は「同一労働・同一賃金」が広がることもあり、ヘルプとはいえ同様の業務を行っていれば同じ給与とすることが求められてきますので、そのあたりも実情を踏まえて決めていく必要があります。

1日の間に2つの店舗で業務を行う場合の残業代

また別の論点にはなりますが、1日の間に2つの店舗で業務を行った場合、当然ですが労働時間が通算されます。通常の店舗で5時間、その後別の店舗で5時間働いたとすると、応援の店舗での2時間分は残業代の支給対象となります。また、この2時間分の残業代の計算は、時給が異なる場合は後者の時給をベースに計算するかたちとなります。

こういったケースが多く発生すると、給与計算時での管理の煩雑さや支給計算のミスも発生する可能性がありますので、人事労務担当者は注意が必要です。

実態と業務の内容、難易度や繁忙の違いなどを把握したうえで、管理上の無駄なコストを増やさないよう、運用を決めていただく必要があるでしょう。


【編集部より】飲食業におけるSmartHR導入事例

飲食業でSmartHR導入後に起きた変化とは?
飲食業におけるSmartHR導入事例

アルバイト人材をはじめ、多くの入退社手続きが発生する飲食業界は、その管理も煩雑。特に多くの業態や店舗を持ちチェーン展開する会社では、管理が分散してしまうなど、より大きな課題を抱えます。この飲食業を営む企業において、SmartHRを導入した結果、どのような変化が訪れたのかに迫ります。

【こんなことがわかります】

    • ・月間40時間の労務工数削減に成功したワケ
    • ・なぜ約2,000名の労務管理をたった数名でできるようになったのか?
    ・労務兼任スタッフが店舗勤務に注力できるようになった話
特定社会保険労務士 山本 純次

渋谷・表参道に事務所を構える人事労務の専門家、株式会社表参道HRオフィス。代表取締役CEO。社労士として社会保険・労働保険の手続き代行から就業規則の策定、労務相談までなんでも対応いたします。事務手続き代行、給与計算、就業規則作成まで幅広い人事労務業務を対応いたします。また、ベンチャーとシステムに強い社労士としてIPO支援に関する業務まで対応しております。社会保険労務士 表参道HRオフィス
他の執筆記事はこちら

人事労務の関連記事

人事労務の新着記事

飲食・小売業の人事労務特集

人事労務用語を詳しく調べる

人事の最先端イベント開催!