パート・アルバイトの給料・時給計算の注意点。8時間〜の割増賃金や休日出勤の計算方法
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アルバイトの方の給与計算というと「時給×労働時間」というイメージを持っている方が多いと思います。
たとえば、ある月に時給1,000円の人が月に80時間労働したら、その月の給料は1,000円×80時間=80,000円というような計算です。
ところが、そのような計算では、必ずしも合法にならない場合があります。そこで、アルバイトの給与計算で気を付けたいポイントを以下3点ご紹介します。
「アルバイトの給与計算(給料計算)」3つの注意点
(1)アルバイトも「1日8時間」を超えれば割増賃金の対象
あるアパレルショップで働くAさん。10:00~18:00(休憩1時間)が契約上の所定労働時間ですが、その日は「たな卸し」で、22:00まで残業をしました。所定7時間+残業4時間で、その日の実労働時間は11時間になります。
Aさんの時給が900円だとしたら、900円×11時間=9,900円がその日の給料になりそうですが、これは違法です。
アルバイトの方も、1日8時間を超えた労働時間に対しては、通常時給の1.25倍の単価で給与計算する必要があります。
ですから、Aさんの給料を正しく計算すると、この日は所定労働時間7時間、8時間以内残業1時間、8時間超残業3時間ですから、「(900円×7時間)+(900円×1時間)+(900円×1.25倍×3時間)=10,575円」が法的に正しい給与額となります。
(2)アルバイトも深夜割増がつく&24時を超えても前日の勤務を引き継ぐ
ある居酒屋で働くBさん。16:00~翌3:00(0:00〜1:00に休憩1時間)のシフト勤務をしました。この日の実働時間は10時間です。
このケースでBさんの時給を1,000円とした場合、1,000円×10時間=10,000円では、もちろん違法です。
アルバイトの方も深夜割増は必要ですので、22:00~3:00(休憩1時間除く)は1.25倍の深夜割増時給になります。
また、日付が変わっても、前日の勤務を引き継ぐので、1:00~3:00は、8時間超えの残業の割増賃金も上乗せされて、深夜と合わせ1.5倍の時給になります。
すなわち、Bさんは通常勤務6時間、深夜勤務2時間、深夜かつ8時間超え残業2時間となりますので、「(1,000円×6時間)+(1,000円×1.25倍×2時間)+(1,000円×1.5倍×2時間)=11,500円」が法的に正しい給与額になります。
■ 再出勤の勤務時間は割増賃金対象となる?
なおBさんが明け方3:00に勤務が終わった後帰宅して、同日の16:00にまた再出勤したら、再出勤後の勤務時間は別勤務扱いとなり、割増賃金はリセットされます。
このようにパート・アルバイトの給与計算は、複雑なケースも少なくないため、現場の管理職の方も、最低限の労務知識を身につけておきたいところです。
管理職の方が知っておきたい労務知識については、以下の資料を参考にしてください。
(3)「シフト外の日に休日出勤」が割増賃金対象となるかはケースバイケース
シフト制のアルバイトをしていると、突然の退職や欠勤があったり、想定外の多忙になると、シフト外の勤務を頼まれることもあると思います。
例えば、あるコンビニでアルバイトをしていて、通常、月・水・金に8時間のシフトが入っているCさん。
土曜日に人手不足で8時間の出勤を依頼された場合、休日出勤手当は発生するのでしょうか? (なお、このコンビニでは、1週間を月曜日起算で労務管理していると仮定します)。
この場合は、Cさんには休日出勤手当は発生しません。確かに、Cさんにとっては休日だったかもしれませんが、労働基準法では1日8時間、1週40時間の枠内に労働時間がおさまっており、かつ週1日以上の休日が確保されていれば休日出勤とはならないのです。
この点、Cさんが、月~金まで8時間のシフトがびっしり入っていて、さらに土曜日も8時間の出勤を依頼された場合は、土曜日の出勤は週40時間を超えますので、1.25倍の割増賃金の対象となります。
また、このケースでさらに日曜日の出勤した場合は、週の休みが1日もなくなりますので、日曜日の時給は法定休日出勤として、通常の1.35倍の割増賃金になります。
まとめ
このように、アルバイトの方においても、労働時間が1日8時間を超えたり、深夜に労働したりしたら、正社員と同じく割増賃金の対象となるのです。
自分の給与明細を確認して、割増賃金の払い漏れが無いか、確認をしてみて下さい。