1. 人事・労務
  2. 労務管理

4月1日発表の「新元号」。人事労務上の要チェックポイントとは?

公開日
目次

こんにちは、特定社会保険労務士の榊 裕葵です。

平成30年4月30日をもって平成が終了し、5月1日からはいよいよ新元号の時代となります。

新元号の発表が予定されているのは平成30年4月1日なので、新元号への対応の時間的猶予は1ヶ月しかありません。そこで、可能な限り前段取りをしておくことが重要になります。

本稿では、人事労務担当者が新元号の対応に向け、どのようなトラブルを想定し、何を準備しておかなければならないかを解説していきます。

「役所提出書類」に関する情報収集

まず、年金事務所やハローワークに提出する、社会保険や雇用保険の資格取得・喪失など、人事労務に関する手続きの書類についてです。

これらの書類は、和暦で作成するような形になっていますが、新元号発表後、すぐに新書式が全国に行き渡るとは思えません

現時点では年金事務所やハローワークも明確な方針を打ち出していないと思われますが、新元号が発表されたくらいのタイミングで、年金事務所やハローワークへの問い合わせや、インターネット等での情報収集をするなどして、対応のルールを確認して下さい。

たとえば、「暫定的に平成31年のままで記載して良い」とか「新書式が配布されるまでは手書きで新元号を追記してほしい」といったように、何らかの方針が決まるはずです。

5月1日以降、実際に新入社員が入社して書類を作る段階になってから年金事務所などに電話をしても、回線がパンクしてつながらなかったり、窓口に行っても混雑していたりする恐れがありますので、早目の確認を心がけるようにしましょう。

利用中の「システム」に関する事前準備

人事労務に関する手続を電子申請で行っている場合は、自社の利用しているシステムが新元号にどう対応するのかを確認しておきましょう。

新元号に対応した入力方法が分からなくて電子申請が進められなかったり、誤った対応をして返戻を受けてしまったりしては、人事労務担当者の貴重な時間をロスしてしまいますし、新入社員の保険証の発行が遅れるなどのトラブルにも繋がりかねません

政府が提供しているe-Gov経由で電子申請をしている場合は、政府の「電子政府利用支援センター」や、自社を管轄する年金事務所やハローワークの電子申請担当部署が確認先になります。

SmartHRをはじめとした、「クラウド人事労務ソフト」を利用して電子申請を行っている場合は、各運営元の会社からホームページやメールなどを通して新元号への対応方針の案内があると思いますので、動向をチェックしましょう。万が一、不明点があればサポートセンターを活用するのもよいでしょう。

また、人事労務に関する手続き以外にも、「勤怠管理」や「給与計算」などのソフトを利用している会社も少なくないと思います。これらのソフトについても新元号への対応がどのようになされるのか、運営元の会社からの情報を確認しておきましょう。

加えて、エクセルなどで数式を組んで自社独自の管理表などを作っている会社もあると思います。たとえば、入社年月日と退職年月日を入れたら退職金の額が自動計算されるようなエクセルの計算シートが一例です。

全て西暦を前提に数式が組まれていれば問題ないですが、和暦で計算式が組まれている場合は、新元号で計算しても正しい計算結果が出るように数式の修正を行う必要があります。

新元号対応に関する「帳簿保存」「書類作成等」の社内ルール作成

労働基準法で定められた法定帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)には3年間の保存義務があります。

労働安全衛生法で定められた健康診断の結果は5年間の保存義務があります。

また、履歴書や雇用契約書なども法律上のルールはありませんが、社内のルールに基づき保存がなされているはずです。

こういった書類は、会社によってデータで保存している場合も紙ベースでファイルで保存している場合もあると思いますが、いずれにせよ、新元号に対応したルールを定める必要があります。

特にデータ保存に際して、ある人は新元号で管理しているのに、ある人は西暦で管理しているようなことがあれば、並び順がぐちゃぐちゃになってしまったり、検索時に不便が生じたりします。

また、雇用契約書などを作成する場合にも、法的なリスクになるわけではありませんが、和暦と西暦が混じってしまうなどしたら、一貫性がなく管理上の非効率が生じる恐れがあります。

このような不便・不都合が生じないよう、新元号に対応した書類保存や書類作成の社内ルールを、新元号が運用開始になる前までに固めておきたいものです。

まとめ

人事労務領域においては、新元号に変わる際、何か対応が漏れたことによって直ちに法的リスクにつながるようなことはありません。

しかし、きちんとした対応をしておかなければ事務処理に混乱や非効率が生じてしまいますから、人事労務担当者は早めに手を打っておくのが得策です。

人気の記事