仕事のメンタルヘルス問題。気軽に職場へ「相談」するアイデアを紹介
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こんにちは。株式会社Smart相談室の藤田 康男と申します。
昨年からのコロナ禍を通じて、感染症予防対策とあわせて、企業が従業員の心身の健康を重視する「健康経営」の考え方が大きく浸透したのではないでしょうか。
一方で、この1年で経験したことや、ある程度できあがった対策に関して、もっと従業員の健康をサポートできる方法があるんじゃないかな?とも考えます。
本稿では、企業におけるメンタルヘルスの課題と私が考える解決に向けたあるアイデアをお伝えします。
近年のメンタル不調者の増加について
近年メンタル不調者が増えているのをみなさんはご存じでしょうか。
公開されているさまざまな調査結果から、いくつか、裏付けデータをご紹介します。
1.精神疾患患者数の増加
出典:厚生労働省 「精神疾患による患者数」
コロナ禍に入る前の少し古いデータですが、平成14年は258万人だった精神疾患患者数は、平成29年には400万人を超えるなど、中長期で増加傾向にあることがうかがえます。
2.職場でのストレスを感じる人は約6割
仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は平成30年は58.0%。職場の半分以上の方が悩みを抱えていることがわかっています。
3.コロナ禍、プライベートな問題含む
近年のメンタル不調者の増加傾向にくわえて、令和2年からのコロナ禍によって、メンタル不調を訴える人は増加していると予想されます。
令和2年9月の厚生労働省の調査によると、調査対象全体のうち、半数ほどが不安、ストレスを感じていると判明しています。(約16%が「過敏に感じた」と回答。)
不安の原因は、「自分や家族の感染」、「自粛等による生活の変化」、「自分や家族の仕事や収入」など。以上のように、複数データから、近年メンタルヘルス対策が重要視されるようになった背景がうかがえます。
メンタルヘルス対策と、その課題について
以前より政府は、ストレスチェックの実施や産業医の専任、健康経営の啓蒙、ハラスメント窓口の設置義務化などの施策を打ち出しています。企業としては、従業員のメンタル状況を記録するシステムの導入、産業医と契約してメンタル不調者の面談をお願いするなどの施策を実施しています。
しかし、メンタルに関連した数値の悪化を確認して、その後に社内で面談し、産業医と面談するというアクションは、すでにメンタル不調に陥っている従業員にとっては遅い対応なのではないでしょうか。
中には「アンケートなどでメンタルに関するスコアが下がると、上司や人事と面談をさせられる」と身構えてしまい、「自分の状態がよくない」と書くことに抵抗がある方もいるかもしれません。
また、責任感や達成意欲から「私は大丈夫」、「まだやれる」と考えて、ムリをしてしまう従業員もいるように思います。
従業員のメンタル不調が発覚すると、人事担当者や上司が従業員の負荷の調整、休職などの対応をしますが、一度メンタル不調を起こしてしまった方へのケアはけっして簡単ではありません。
どうにかして、メンタル不調を未然に防ぐための仕組みはないだろうか。この思いのもと、私は事業アイデアを考えはじめました。
ヒアリングを通じてわかった、「相談」に関する悩み
「メンタル不調を未然に防ぐような仕組みをつくりたい」という思いから、ゴールがわからない状態でスタートを切った私ですが、多くの経営者や人事担当者、従業員へのヒアリングを通じて状況を整理できました。
具体的には、各立場ごとに以下のような悩みがあるのではないかと考えます。
従業員
- ちょっとした気になることを相談していいか悩んだ末、相談せずに、ストレスを溜め込んでしまう相談をしたくても、「何か悪い印象を与えるのではないか」と思ってしまい、社内の人事担当者や上司には話しにくいことがある
- マネージャーと、1on1の形式では話しにくいことがある介護や子育て、場合によっては借金などプライベートで問題があってもなかなか同僚には相談しにくい
マネージャー
- 多忙ゆえに従業員とゆっくり話す時間を取れない
- 1on1で個人的な話にどこまで対応すべきか悩む
- 従業員のトラブルや不調が顕著になるまでなかなか気づけない
- 従業員の悩みは聞いていても、マネージャー自身の悩みを相談できる相手がいない
社内窓口担当者
- プライベートの相談をどこまで聞くか悩む
- 経営方針にかかわるような相談は立場的に回答しにくいことがある
- 相談を聞く時間が業務時間を圧迫して他の仕事ができない
- 従業員の悩みを傾聴する立場なので、気持ち的にぐったりしてしまう
人事労務部門
- プライベートな問題やメンタル不調とまでは言えないようなケースは産業医にお願いするのは適正でない
- 従業員の個人的な問題までを含めると対応するとなると多くの時間がかかってしまうため、現実的でない
- 通常の業務が忙しいなか、従業員の悩みをキャッチアップして解決まで導くのは難しい
このように、各立場ごとにさまざまな悩みがあり、それぞれが複雑に絡み合っているのがわかります。
ヒアリング結果のまとめ
ヒアリング結果をまとめると、従業員がメンタル不調に至るまでに、とくに下記の要因が強く影響を与えていると考えました。
- 社内の人に相談したくない事情がある
- プライベートな問題が仕事に悪影響を及ぼしているが、相談しにくい
- マネージャー、人事労務部門だけでは悩みのキャッチアップ、解決のための対応は難しい
「モヤモヤ」の蓄積が「メンタル不調」につながる
従業員の精神的な状況を想像すると、何かのキッカケで「モヤモヤ」が生まれ、ストレスとして蓄積し続けることで身体に影響を及ぼすまでのメンタル不調に陥るのではないでしょうか。
反対に言えば、「モヤモヤ」が発生した段階で、解消のためのサポートができれば状況が変わるのではないでしょうか。
ヒアリングの中で従業員の方はモヤモヤした気持ちが芽生えても、ご自身の状況について「大した問題ではない」と考え、相談できていないパターンが多く見られました。
一方で、平成28年の厚生労働省の調査によると、悩みが生まれた際に「誰かに話すだけで楽になる」と感じる方が多いという結果も出ています。
>「ストレスを実際に相談した」とした労働者のうち、ストレスが「解消された」労働者の割合は 31.7%、「解消されなかったが、気が楽になった」は 60.3%となっている。
すなわち、相談者は、モヤモヤした状態であっても「相談すべきではない」と考えており、誰かに相談したいと思っても「気軽に相談できる人がいない」という構造が課題になっているのです。
この構造を変える仕組みを作れば、何かしら状況に変化が生まれるのではないでしょうか。
気軽に悩みを話せる「相談室」のサービスをつくりました
「悩みを相談したいけど、できない」という構造を変えるために何ができるのか。熟考を重ねた結果、「どんなことでも話していい、まずは話を聴くよ」という、気軽に相談できる窓口が設置されていたら、従業員のモヤモヤを解消できるんじゃないかという仮説にたどり着きました。
そして生まれたサービスが「Smart相談室」。
ひとことで表すと、従業員のメンタルヘルスをサポートする「遠隔メンタルヘルスケア プラットフォーム」です。
具体的には以下のようなソリューションを提供します。
- オンラインカウンセリング
- ハラスメント・不正110番窓口
- マインドフルネスやストレスチェックができるデジタルコンテンツ
専門家が相談窓口になることで相談窓口担当の工数を削減し、メンタルヘルス改善や離職率低下など、働く環境の改善に寄与します。
この記事をご覧の皆様の中で、今回のサービス「Smart相談室」のご利用にご興味をお持ちの方がおられましたら、ぜひ一度、内容の説明をさせていただけないでしょうか?
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