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昼休みにまつわる労務リスクについて、弁護士が解説してみた

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こんにちは、弁護士法人浅野総合法律事務所 代表弁護士の浅野英之です。

働き方改革により長時間労働が問題視される一方、最近では昼休みを返上して働く人の増加が取り沙汰され、企業が「昼休み」の法的な問題点を把握する必要性が高まっています(※)。

(※)昼休み返上、増加中 働き方改革しわ寄せか – 中日新聞

今回は、昼休みにまつわる労務管理上のリスクを、ケースごとに解説します。

「休憩」にまつわる労働基準法上の規定

そもそも労働基準法では、労働時間が6時間超8時間以下の労働者には最低45分間、8時間超の労働者には最低1時間の休息を一斉に与えることを企業側に義務付けています(労働基準法34条1項、2項)。

また、休憩時間は労働者の自由に利用させなければならないと規定されています(同条3項)。

つまり、会社は労働者に休憩時間を取得させなければならず、かつ休憩時間中は、指揮命令によって労働者を拘束してはいけません

これに違反した場合、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる可能性があります(同法119条1号)。

「休憩」にまつわる労使トラブルのケース4つ

以下では、昼休みに関連する労使トラブルについて、ケースごとに、どのような問題が生じ、企業がどのように対応すべきかを解説します。

(1)昼休み返上労働

冒頭でもお話しした通り、昼休みを返上して就労する労働者が増加しています。

会社内で昼休みに仕事をすることが常態化し、会社が黙認していると、「指揮命令があったもの」と評価されるおそれがあります。

企業としては、昼休み中の就業を禁止することを労働者に周知し、昼休みの就労が常態化していないか注視する対策を検討する必要があります。

(2)ランチミーティング

定期的にランチミーティングを開催する会社も多いと思いますが、ランチミーティングは「使用者からの拘束」だと評価される可能性があります。

ランチミーティングには、社員同士のコミュニケーション向上などのメリットもありますが、強制参加にしないなどの配慮が必要となります。

(3)電話番、手待ち時間

休憩時間中に電話番や受付を任せた場合、労働者は、電話や来客があったら直ちに対応を求められるため、業務から解放されているとはいえない場合があります。

やむを得ず電話番を置く必要があれば、当番制をとるなどして、昼休憩の時間を確保することをご検討ください。

(4)休憩時間の一斉付与

法律上、休憩時間は「一斉に」与えなければなりません(労働基準法34条2項本文)。

もっとも、接客娯楽業、官公署の事業などでは、業務の性質上、この規定は適用されず(労働基準施行規則31条)、また、労使協定を締結すれば、従業員に交代で休憩を与えることができます(労働基準法34条2項ただし書き)。

まとめ

働き方改革によって、残業規制が厳しくなった反動として、休憩時間を利用して業務を行う労働者が増加しています。

昼休みの適正利用についての問題を含め、労務問題は専門的な知識・経験を有する弁護士等の専門家にアドバイスを求めながら対応することをオススメいたします。

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