女性活躍推進法の概要と施行された目的とは?
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女性活躍推進法が施行されてから、まもなく1年が経ちます。
皆さまの会社では、女性活躍が進んでいますか? また、女性が活躍できる職場環境の整備、女性管理職の登用は進んでいますでしょうか?
正直なところ、こうした問いにすぐには答えられない方が多いと思われます。また、「女性活躍が進んだところで、どのような効果があるかわからない」と思う方は少なくないでしょう。
今回は、こうした状況を確認すべく、女性活躍推進法の施行に至った背景と、女性活躍が進んだ場合の効果についてお話します。
女性活躍推進法とは?
女性活躍推進法の施行によって、常時雇用する労働者の数が301人以上の事業主に、以下の実施が義務付けられました(300人以下の事業主は努力義務)。
①自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析
②状況把握、課題分析を踏まえた行動計画の策定、社内周知、公表
③行動計画を策定した旨の都道府県労働局への届出
④女性の活躍に関する状況の情報の公表
さらに事業主に対して、就業継続支援や長時間労働の是正、固定的な性別役割分担意識の変革など、働き方改革の取り組みも求めています。
女性活躍推進の必要性
では、なぜ女性活躍推進が必要なのでしょうか?
女性活躍推進法が導入された背景には、実はさまざまな理由が混在しています。以下にて順に確認していきましょう。
少子化の影響による労働力人口の減少
まず挙げられるのが、少子化による労働人口の減少です。働く人が減ってきているため、労働力不足がますます深刻になっていくのは明らかな状態です。
そのため、これからはもっと女性が活躍していかなければ、日本の経済や産業は衰退の一途を辿ります。
また、仮にお子さんを出産したとしても、その出産を機に、別の問題が立ちはだかります。
女性の継続就労の困難さ
第一子出産を機に、約6割の女性が離職をします。また、介護離職者年間10万人のうち、約8割は女性です。
育児が落ちついて再就職する場合でも、パートなどの非正規労働者として働くことが多いのが現状であり、女性労働者の6割近くが非正規として働いています。
女性が一旦離職後に非正規として再就職する場合と、離職せず継続就労する場合を比較すると、生涯賃金に最大2億円の差が出るとも言われています。
女性の継続就労は、日本経済に大きな影響を及ぼしているのです。
国際比較における、女性管理職割合の低さ
女性管理職割合の国際比較において、上位国のフィリピン、アメリカ、フランスなどは35%を超えています。
しかし、日本は11.2%とかなりの低位であり、ジェンダーギャップ指数でも145カ国中101位にいます(2015年時点)。
社会での女性活躍については、日本は完全な後進国なのです。
このような背景から、政府も202030(ニイマルニイマルサンマル)スローガンのもと、「指導的地位に占める女性の割合を2020年までに30%とする」という目標を掲げています。
女性活躍推進の効果とは?
では、企業内で女性の活躍が進むと、どのような効果が現れるのでしょうか?
まず考えられることとして、女性従業員の仕事への意識が高まることが挙げられます。こうした意識の高まりが、業績の向上や組織の活性化を起こすのです。
また、具体的な効果として、以下の6例が挙げられています。
・女性を積極的に登用することで、自由な発想が生まれ、新しい商品やサービスの開発につながる。
・組織の多様性を高めることで、市場への適応力やリスクへの耐性が高まる。
・女性が活躍している企業では、優秀な人材を採用しやすくなる。
・女性の離職率の低下への効果が生まれる。
・女性活躍に不可欠なワーク・ライフ・バランス支援を行うことで、従業員一人あたりの生産性が向上する。
・社内のコミュニケーションが向上したり、職場の雰囲気が良くなったなどの声が生まれる。
女性活躍が推進されると、以上のような効果が期待できます。
女性活躍推進法の施行から1年が経とうとしている今、皆さまの会社で女性が働きやすい環境を見直してみてはいかがでしょうか?