favyが採用単価1万円台で年100人採用できたワケ【 #スマレジ会_Meetup Vol.6 】その1

2018.06.20 ライター: 藤田 隼

慢性的な人手不足に悩まされる飲食業界。労働人口が著しく減少していくこれからの時代にあって、人材難対策待ったなしの状況です。

人材難時代においては、採用の強化や1人1人の労働生産性向上などが重要になりますが、今回はこの“飲食業界における採用強化”のヒントを探るべく「人手不足を解消し最適な人材を採用するには?」をテーマに開催された、『#スマレジ会_Meetup Vol.6』の潜入レポートを全4回にわけて発信します。

レポート第1弾の今回は、株式会社favy HR部長 渡辺 宰二郎さんによる講演「自社・自店舗にとって最適な人材を確実に採用するには?」をお届けします。

株式会社favy HR部長 渡辺 宰二郎さん。人材会社のスタッフサービスで複数拠点の統括マネージャーを経験後、インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。エグゼクティブクラスのシニアコンサルタントを経て、その後まだ10名程度のfavyへ入社。今後日本の労働人口が減る中で「飲食店」が簡単に潰れない世の中にするために日々試行錯誤している。現在はfavyのHR責任者。

favyにとっての成長は「採用」が90%

渡辺さん:今回のテーマは「自社・自店舗にとって最適な人材を確実に採用するには?」ということで弊社favyの人材採用についてお話させていただきます。

まず「favyにとって“成長”とはどんなことなのか」というと、採用が90%なんじゃないかなと考えています。どういうことかというと、「採用の方法」が「人材の定着」に直結しているんじゃないかなと思っています。

我々favyは、どちらかというと急拡大をしていくようなフェーズにあり、懇切丁寧に教育するなどになかなか手が回っていないというのが正直なところです。

そこで、どうしたらいいかなと考えた時に、採用の入り口の時点から「教育が必要ないぐらいの人材」を採用できるよう、注力しているということになります。

favyが最注力する「採用ブランディング」

実際にどんな手法でやっているのかについてですが「採用ブランディング」にかなり力を入れて取り組んでいます。

そもそも「採用ブランディング」が何かというと、自社の価値や信頼感を高めて、是非この企業で働いてみたいという“自社のファン”を増やしていくことで、結果的に人材を増やしていくという手法です。

一般的に人材採用といえば、主に求人媒体の広告や人材紹介サービスなどを活用してやっていくことが多いかと思いますが、そういったサービスを活用せず現在に至ります。実際に、そのような手段を一切使うことなく181名まで採用したような流れです。

favyが「採用ブランディング」に注力する2つの理由

「採用ブランディング」に注力している理由は2つあります。

(1)創業間もないため、知名度が低くファンがいなかった

今となっては、飲食業界の方々も、favyを聞いたことある程度になってはきていますが、かつては創業間もない会社だったため、ファンがいませんでした。

創業間もない時は私も営業を最初していましたが、当時は営業先でも「favyって何ですか……?」と言われるなど知名度がありませんでした。だから、広告や人材紹介を使ったところで「行きたい」という動機にもならない感じですね。トヨタみたいな世界的な企業であれば「大きいな、トヨタに行きたいな」みたいに思ってもらえるかもしれないですけれども、当時のfavyにはその要素がありませんでした。

(2)外食産業の人気がなく、金がかさんでしまう

それに加えて、外食産業に関わる業務の人気度がすこぶる低かったということですね。

例えば、学生アルバイトなど、皆さん結構働いていらっしゃいますが、じゃあ、いざ新卒採用試験を受けようかという時に、外食産業はというと、ランキングの下から数えて1、2番目ぐらいになってしまうぐらい人気がなかったんです。

そんな状況で、他の業界や企業のように求人媒体で広告出したり人材紹介を頼んだりしたとしても、結局かなりのお金を払わないといけないんじゃないかという考えに行き着いたんですね。

人材が流出する外食産業が対策すべき方向性

そのような理由を踏まえ、「採用ブランディング」に力を入れていこうという方針にしたわけなんですけれども、ちょっとここで外食産業の市況感について触れます。

外食に関しては、95年ころをピークに2000年代に入って市場規模が1回ちょっと凹んだんですけど、最近ちょっとまた戻ってきたかなという状況です。

出典:労働政策研究・研修機構(JILPT)

これは雇用に関するグラフです。今後人口が減少していくという話がある中で、現時点では日本全体でみたときの人数的には別に減っていないわけですよね。女性活躍のような影響もあるのかもしれないですが、現状で言うと(一時的ではあっても雇用者数が)ちょっと増加しているんです。

なんですけれども、外食産業では、2012年3月に1.3倍程度だった有効求人倍率は、現在では3.0倍を超え、3倍ほどに跳ね上がっています。

更に、業界の就業人口としては、こんな感じでグンと減っちゃっているわけです。日本全体では雇用者が(短期的に)増えている状況なのに、宿泊業含め外食産業では、もうすでに労働人口が減少し始めてしまっているというのが現状なんですね。

つまり、イメージとしては、全国で働いてる5,848万人が、外食産業から流出しちゃっているわけです。

そこで、何をしなきゃいけないかっていった時に、他の業界から人材を引っ張ってこなければならないと。

飲食業全体で人が減っている中で、業界内で今働いてる人たちの獲得競争をするだけでは到底勝てないし、ここで戦っているだけでは人なんか雇えないだろうというところですね。なので、他の業界も含めた人材市場から獲得していかなければならない

私たちfavyは、やっぱり外食産業全体が盛り上がってほしいなというところで、(いち企業としてだけでなく)外食業界全体的に、人材が集まってきてほしいと考えています。

そのため、同業界からだけじゃなくて他業界から人材を獲得しなきゃいけないなと思っています。

外食産業に求められる新たな「タレント・アクイジション」

そこで、どのような取り組みが必要なのかということで、新たなタレントの獲得、「タレント・アクイジション」が必要だなと思い、実際に動いていくことになっていきました。

「タレント・アクイジション」って何ぞやということで、ビズリーチHR研究所さんから引用して簡単にご説明すると、タレント人材、つまり優秀な人材を獲得するということです。そのために採用ブランディングや潜在層へのアプローチが必要になってきますよと。

じゃあ「潜在層」と「採用ブランディング」はどうしたらいいのか?

AISASモデルを参考にした「潜在層」へのアプローチ

私たちが分散型グルメメディアとして運営していることが、そのまま人材採用の面でも生かせるんじゃないかなと思ったんですね。

私たちfavyが運営するメディアは、電通の提唱するマーケティングの購買行動モデル「AISAS」でいうところの「Attention(注目)」と「Interest(興味)」に該当し、つまり(読者の)ほとんどが潜在層なんです。

この「AISAS」を人材採用に当てはめてみようと考えました。

まず顕在層っていうのは、まさにリクナビやマイナビなどの求人を見る人です。「転職しよう」と考えてからようやく求人を見ますよね。そこから人材を獲得しようとすると、単純にお給料を上げようなどの条件面の運用になってくるので、これだけでは採用はうまくいかないなと。

潜在層へのアプローチに適した「Wantedly」

そこで、向こう(顕在層)にいって戦ってもしょうがない、こっち(潜在層)で戦わないといけないなと思ってですね。まだ転職しようと考えていない潜在層に対してどうアプローチしたらいいんだろうと考えた時に、一番良かったツールが「Wantedly」だったんです。この「Wantedly」を最大限活用して募集して、人材を獲得していきました。

わかりやすい身近な例としては、テレビなどの手段があります。例えばクラレさんはまさに採用ブランディングのためにCMをやっているんじゃないかと。化学メーカーのクラレさんが、「ミラバケッソ」というキャッチーな造語とともにアルパカを起用するCMをやっていましたが、何であのような内容になったかといったら、恐らく知名度を上げて新卒採用しやすくするためなんじゃないかと思います。

じゃないと、(潜在から顕在に変わるタイミングで)リクナビやマイナビなどの求人媒体にたどり着かないですよね。「こんな化学メーカーがあるんだよ」という認知をさせてから、新卒求人媒体に飛んでいくっていうような感じの流れですよね。「ああ、クラレさんってあのミラバケッソの会社なのね」とイメージしやすくしているわけです。

潜在層の共感を生む「モチベーション3.0」による動機付け

このようなことをオンライン上でできるツールがWantedlyなんです。

Wantedlyさんは「採用は共感で進化する」と掲げていて、つまりお金や条件ではなくて「感覚」に訴えかけて人を惹きつけていく仕組みのツールになっています。

なぜ共感が大切なのか?

よく「モチベーション2.0」とか「モチベーション3.0」ということが言われますけれども、ちょっと一昔前の、私が新卒ぐらいの頃でいうと、その中心が2.0の世界だったんですよね。

モチベーション2.0では、営業を頑張れば頑張るほどインセンティブがたくさん入ってくるような世界だったと思うんですけども、今の時代って、そんな感じじゃないですよね。

モチベーション3.0においては、むしろ自分の成長や好奇心であったりとか、興味、文化などなどで動機付けされるようになってきています。なので、我々としてはこの部分を注力したわけです。

「社員インタビュー記事」をWantedlyで次々と配信

では、具体的にどうやってやってきたか?

Wantedlyは、人材募集記事を自由に作りやすいので、「うちの会社でこんなことをしましょう」といった内容でたくさん発信して。で、社員に対しても、Facebookでいいね!やシェアを頂いて拡散してもらっています。

ただ、最初の頃は従業員数が少ないので、シェアされても(リーチできる人数は)知れてるわけですね。1店舗を経営されているとしたら、恐らく全従業員数が10人ほど、そこからアルバイトを引くと10人未満くらいかなと思いますが、この人数でシェアしても思うように拡散されない規模感だと思うんですよね。

リーチできなかった層へのアプローチを可能にするFacebook広告

そのようなフェーズのときに私たちが何に取り組んだかというと「Facebook広告」です。

Facebookの広告機能を活用することで、シェアだけではリーチできなかった層にも訴えていったと。とはいえ安いです。1回1万円程度で十分成果をだしていけます。
(※ 編集部注:Facebook広告は、最小予算 1日100円から出稿可能です)

なので、情報を発信することで「この会社面白そうだな」と、Pull型で採用していく手法をとってきました。

そして社員インタビュー記事をどんどん発信をしています。入社してきたら、どんな経歴でどんな思いで入ってきて、どんなことをしたいか、といった内容で訴えかけるような記事を発信をしていって、みんなにこれまたいいね!してもらったり、シェアをしてもらったりというような感じです。

「転職顕在層」と「転職潜在層」の違い

候補者となり得る人からの見え方の違いなんですけども、どういうようにして入ってくるかというとですね、左側は顕在層ですね。

たとえば顕在層の方が、普通に転職のために情報を収集しようと思って、Googleで「転職」って調べたら、上からバーッとリクナビやマイナビでの求人広告が出てくると思いますが、(その検索結果をクリックして)じゃあその中でどういう会社を選ぼうかというところで、「場所」や「給与」、「福利厚生」などの条件で検索にかけ比較していくわけですよね。

それだけの条件で会社を選んできた人が欲しいのかと言われたら、私たちは選ばないわけです。お給料だけで入って欲しくないなという気持ちがあるので。そうではなくて、潜在層の方々にビジョンや想いに共感してもらって入社して欲しいわけですね。

で、右側はfavy代表の高梨がFacebookで呟いているスクリーンショットですけれども、店舗オープンの時に「オープニングスタッフ募集中です。アルバイトも正社員もどっちもウェルカムです。興味あればお願いします!」と呟いている内容です。

これをFacebookで見た方が「高梨さんが運営してるんだな、良さそうだな」とリンクを開いてみて、それを読んだところ「面白そう!」と感じてくれた人と面接をするという流れです。

ここでは、お金などの条件面をうたっていないため、ビジョンや想い、興味・関心のような要素でfavyに共感してくれた人が集まってくれると。なので、ここが(顕在層の動機と)全然違うんです。

継続的発信の重要性。直近1年では「100人」の採用に

ただ、これは当然大変です。継続的に取り組めるかが非常に重要です。

このような広報活動は、結構体力がいるのと、忍耐力や継続力が必要です。仮に、1週間に1回絶対発信しよう思っても、日々の業務に追われて、おろそかになっちゃうこともあると思いますが、我々としては丹念にずっとやり続けてきたというところです。

その結果、ざっと直近1年で、約大体2,500人からの応募が集まりました。で、面接に進んだのが約1,000人。最終的に100人の採用に至りました。

1人あたり2万円を切る採用単価

採用単価としては、1人あたり2万円を切っています。計算の内訳としては、単純にWantedlyの毎月の費用が5万円ぐらいなのと、それに加えてランチ面談や飲みながらの面談などの費用も含めたトータルの費用を、月の採用ペース9人で割ると、大体1人あたり2万円以下で採用できている、というような実績になっています。

「採用ブランディング」のメリット

このように採用ブランディングをやっていくとですね、これまで挙げた以外にもいろいろなメリットが出てきたりします。

もちろん、今言ったエントリー数や採用数がアップするのはもちろんなんですけれども、「ミスマッチの解消」に繋がったり、「離職率」が低くなったりしているんですよね。

あとはトータルコストがちょっと削減できたっていうのと、現役メンバーへの組織風土や文化の再醸成みたいなことも実現できたかなと思います。

組織拡大の懸念点を解消する「社内報」としての役割も

また、現在では社員数180人ほどになり、社員からすると、だんだん誰かわからない人もぽつぽつ出てくると思いますが、先程紹介した、入社した人へのインタビュー記事をどんどん発信をしており、その中で「私はこんな経歴でこんなことをしてきました。favyではこんなことをしたいんです」というメッセージを書いているため、「1つの社内報」のような役割も担ってきているのは、意外なメリットだったなと思います。

「favyは全員採用担当」

その他の取り組みとしては、我々はこんなことをしてます。

まず、favyは全員採用担当というふうな形でやってます。採用時の面談結果も社員みんなで評価しています。その人とみんなが一緒に働きたいかどうかで判断をしています。このあたりの施策も社員を巻き込んでやる必要があり、大変ではありますが、ひとつの施策として取り組んでみる価値はあるかなというふうには思っています。

内容としては以上です。マーケティング的な話も含まれており、難しい部分もあったかと思いますが、是非取り組みたい!と思ったら、私たちがサポートしますので、是非お声がけいただければと思います。

最後にちょっと宣伝で、favyを知らなかった方々、Facebookで「favy」と調べたらすぐ出てきますんで、是非いいね!押してください(笑)。あとはiOSのほうだけですが、アプリもございますので、是非皆さんご覧いただければと思います。プレゼンとしては以上でございます、ありがとうございました。

その2「SNSを活用したソフトクリーム専門店「coisof」の採用成功事例」につづく


【編集部より】飲食業におけるSmartHR導入事例

飲食業でSmartHR導入後に起きた変化とは?
飲食業におけるSmartHR導入事例

アルバイト人材をはじめ、多くの入退社手続きが発生する飲食業界は、その管理も煩雑。特に多くの業態や店舗を持ちチェーン展開する会社では、管理が分散してしまうなど、より大きな課題を抱えます。この飲食業を営む企業において、SmartHRを導入した結果、どのような変化が訪れたのかに迫ります。

【こんなことがわかります】

    • ・月間40時間の労務工数削減に成功したワケ
    • ・なぜ約2,000名の労務管理をたった数名でできるようになったのか?
    ・労務兼任スタッフが店舗勤務に注力できるようになった話
藤田 隼

SmartHR mag. 2代目編集長。ソーシャル系スタートアップでSNSマーケティングや自社メディア運営に携わり、2015年よりメディアに特化した事業会社で複数サイトのディレクターを経験した後、SmartHRにジョイン。ウェブ解析士。
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