Q:「ボトムアップ型組織」で活躍できるマネージャーの育て方のコツは?【人材マネジメントQ&A】

少子高齢化が進む現在では、優秀な人材を採用・確保・育成するために、人材マネジメントの重要性はますます高まっています。この企画では人事担当者が見えにくい「マネジメントの悩み」を人材マネジメントのプロが解説。ビジネスの現場でマネージャーが抱える課題に効果的なヒントをご紹介します。

今回はZホールディングス株式会社 Zアカデミア 学長の伊藤羊一さんに、ボトムアップ型組織で活躍できるマネージャーの育成方法についてご回答いただきました。

A:「優秀なファシリテーター」として育成しましょう

まずはマネージャーの役割を会社で定義しましょう。マネージャーは「管理する」「引っ張ってリードする」存在ではなく、「優秀なファシリテーターであれ」と育てると、ボトムアップ型のリーダーシップやマネジメントができるのではないでしょうか。

ファシリテーター型のマネージャーは、メンバーの意見を聞いてまとめるだけでもなく、自分が思うことを言うだけでもありません。もちろん、自分の意見を言葉にするのは大事です。しかし、ボトムアップ型では意見を吸い上げることが必要なので、メンバーに話してもらうことが、より大切になります。

そのため、周囲の意見をまとめて、1つの結論にもっていくファシリテートのスキルを鍛える必要があります。ファシリテートスキルの鍛え方は、基本的には「ロジカルシンキング」と「コミュニケーション」の強化です。

ロジカルシンキングでイシューを押さえて、そのために考えるべきことを考察して、メンバーの意見を引き出しながら、その意見を構造化していく。意見の対立をマネジメントしながら、結論に導いていくことも求められます。

誘導するのではなく、メンバーの発言から結論を導いていくので、高度なロジカルシンキング力が必要になります。また、意見を引き出すためには、話を盛り上げるコミュニケーション力も必要です。この2つをしっかり鍛えて、ファシリテーター型のマネジメントを目指していくとよいでしょう。

「マネージャーはファシリテーターであり、一人ひとりの意見を引き出す」と定義して、ファシリテーション力を鍛える。ファシリテーション力とは、「ロジカルシンキング力」と「コミュニケーション力」とすると、わかりやすいですね。

コミュニケーションを4つに分解して対応する

なかには、コミュニケーションスキルがネックになる方もいるかもしれません。「コミュニケーション力がない」と感じている方は、慣れていないだけかもしれません。その場合は、コミュニケーション力を分解して、苦手な部分を確認すればよいでしょう。

コミュニケーション力は、「自分の意見をもち」「自分の意見をしっかりと伝えられる」「相手の話をリスペクトして聞く」「議論できる」という4つに分解できます。

芸人みたいな反応をしろというわけではなく、この4つを自分なりのやり方で進めればよいのです。自分の意見をもっていれば、言葉にすることはできるでしょう。

大事なことは相手に寄り添いながら、リスペクトしながら話を聞くことです。これは相手に対して、愛をもって聞く姿勢が必要です。最初から対立モードでいるのではなく、「相手の意見も自分の意見もよい」「みんな違う」ことを大前提としてもつことが大事です。

「傷つくのが嫌だ」や「意見が違うのは怖い」と考えてしまいがちですが、「全員が違うのだから、意見は最初から一致しないに決まっている」という前提がわかれば、気にしても仕方ないと思えるようになります。そのなかで「どのように意見をまとめていくのか」が、ファシリテーションにつながります。

一人ひとりの意見に自分の意見を組み込むのが成功のカギ

ボトムアップ型組織でのマネジメントでは、マネージャーがやりたいことをファシリテーションでどのように組み込んでいくかが、成功のカギになります。メンバーの主体性を重視するのであれば、自分の意見を言ってはいけません。ファシリテーターに徹して、メンバーで考えてもらって、一旦結論を出します。そのうえで、「自分はこう思う」とメンバーに伝える。もしくは、最初に「自分の意見もあるけど、後から伝えるから自由に議論しよう」と言って議論をスタートさせるとよいでしょう。

いずれにせよ、「自分はこのように思うんだけど、それについて話してみよう」と言ってからファシリテーションをしても、メンバーはマネージャーの意見に忖度して、自由に意見を述べられない可能性が高まります。

確実に対立することがわかっているときは、「腹を割って話そう。思っていることをすべて聞かせてくれ」という感じで進める方法もあると思います。対決しながら解決にもっていくので、これはファシリテーションではないですが、話しているうちに「マネージャーが言っていることも一理ある」「俺もみんなの言っていることがわかる」「では、どうするべきなのか?」と、全員で考えながら次のステップに進めるでしょう。

ボトムアップ型組織のマネジメントの理想系は、一人ひとりと1on1で意見を引き出しながら、自分の意見は言わずに「やりたいのであれば、ぜひやってほしい」とメンバーに任せられること。そのためにもまずは、ファシリテーターとしての素養がある人材を見極めてみましょう。

日本興業銀行、プラス株式会社を経て2015年4月よりヤフー株式会社。現在、Zアカデミア学長として次世代リーダー開発を行うほか、社外でもリーダー開発を行う。2021年4月武蔵野大学アントレプレナーシップ学部を開設、学部長就任。代表著作「1分で話せ」(SBクリエイティブ)。
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