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Q:口下手でコミュニケーションに自信がない……。効果的な方法は?【人材マネジメントQ&A】

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少子高齢化が進む現在では、優秀な人材を採用・確保・育成するために、人材マネジメントの重要性はますます高まっています。この企画では人事担当者が見えにくい「マネジメントの悩み」を人材マネジメントのプロが解説。ビジネスの現場でマネージャーが抱える課題に効果的なヒントをご紹介します。

今回はZホールディングス株式会社 Zアカデミア 学長の伊藤羊一さんに、口下手の方におすすめの円滑なコミュニケーションの方法についてご回答いただきました。

A:毎日の挨拶など量をこなすことで質は向上する

私はコミュニケーションは「量が質を産む」と考えています。誰でも簡単にできるのは、オフィスに出社するときに、自らが毎日挨拶することです。挨拶なら口下手でもできます。

口下手な人はとくに、毎日の挨拶の後に、1人に対して一言ずつ話しかけることを意識するとよいでしょう。「その飲み物を飲んだけどおいしいよね」「週末どうだったの?」「あのイベント行くと言っていたね」「お菓子持ってきたけど食べる?」とか、ネタを見つけて全員と1日に必ず1つ会話する。毎日、話していると人間は馴染んできます。

「メンバーの数が多くて、全員とは難しい」と考えるマネージャーもいるでしょう。毎日は少し厳しいのであれば、挨拶は日課で続けて一言は週3日でやるなど、継続していくことが大切です。

メンバーはマネージャーの努力を必ず見ている

私は48歳でヤフー株式会社に転職したのですが、入社後1週間くらいはフロア中の人に、1人一言ずつ話しかけていました。そのフロアには約100人いましたが、すぐにほとんどのメンバーと友達になれました。

私はコミュニケーションがあまり得意ではありません。でも努力して続けていくと、できるようになりますし、その努力を人は必ず見ています。私が入社1年後に幹部で飲みに行ったときに、「羊一さんが入社直後からフロア中を回っているのはびっくりしました」と教えてもらったんです。その姿を見て嫌がらせをしようと思う人は、あまりいないでしょう。

プラス株式会社に転職したときも、挨拶を1週間は続けていました。当時の私は、30代前半で物流部門に配属。年上の方も多いこともあり、「どうも伊藤でございます」と下から入っていく感じで接していました。

「銀行から鳴り物入りで入ってきたヤツが、コメツキバッタみたいに挨拶している」と、物流現場でかわいがってくれましたね。自分の責務を果たすためには、みんなと友達にならなければいけない。人づきあいが下手だからこそ、最初に仲良くなっておこうと意識しました。すぐに「伊藤さん、飲みに行こうよ」と、お誘いをいただいて、コミュニケーションを深めていくと、いろいろな話が入ってくるようになりました。それはマネジメントするうえで、得なことなんですよね。

「あの人は口下手なのに一生懸命にコミュニケーションを取ろうとしている」と気づいてもらえると、みんなとすぐにコミュニケーションが取れるようになります。

回数を重ねていくと、「この人は毎週末に海釣りをしている」などと相手のことがわかるようになります。そうすると「先週末どうだった?」という聴き方ができるわけです。それが質の高いコミュニケーションで、量が質に転化することなのです。

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