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人的資本とは?人的資源との違いや情報開示の動きをわかりやすく解説

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「人的資本」とは、簡単に言うと、人材も物的資本と同様に適切な投資によって価値が高まる存在であると捉える考え方です。昨今では、この考え方に沿って「人的資本経営」に取り組む企業や、その情報開示を求める投資家が増えています。本記事では、人的資本の考え方や必要性、情報開示に関する動向などをわかりやすく解説します。

人的資本(Human Capital)の考え方とは

人的資本の定義

人的資本(Human Capital)とは従業員のスキル、知識、ノウハウ、資質などに焦点を当てた概念です。これらは建物や設備などの有形資産と同様に、企業に利益をもたらす重要な無形資産であり、企業にとって投資する価値があるものと考えられます。

OECDは人的資本を「生産性を高めるために役立つ、人々が持つ知識、スキル、その他の個人的特性の蓄積」と定義しています。

(出典)Human capital and educational policies

人的資本とは

人的資本の価値を最大化するための組織的な取り組みを、「人的資本経営(Human Capital Management)」と呼びます。人的資本経営においては、優れたスキルをもった人材の雇用や、従業員へ教育・研修を実施し、スキルの開発や成長を促すことで、自社の企業価値へ還元することを目的とします。

人的資源(Human Resources)との違い

人的資本と人的資源の違いは?

人的資本の歴史

人的資本の考え方の起源はアダム・スミスの『国富論』の以下の記述とされています。スミスのアイデアをミンサー(Mincer 1958,1974),シュルツ(Schultz 1960),ベッカー(Becker 1975)などの経済学者が「人的資本」という概念として再定義したとされています

特別な技能と熟練を必要とするある種の職業のために多くの労力と時間をかけて教育された人は,こうした高価な機械のひとつになぞらえることができよう。その人が習得する仕事は,普通の労働の日常の賃金に加えて,彼の全教育費を,少なくともそれと同等の価値ある資本の通常利潤とともに回収するだろう(スミス 1980:175-76)」。

人的資本と類似した言葉に人的資源がありますが、両者の人材に対する捉え方は対照的なものです。人的資源という言葉には、従業員を消費すべき資源(リソース)、つまりコストとして捉える考え方が根底にあります。したがって、人材にかける費用はなるべく抑えようという発想になりがちです。

対して、人的資本の場合、人材育成にかかる資金はコストではなく、組織の成長戦略にとって不可欠な投資として捉えます。つまり、人的資本という考え方は、企業や従業員の将来的な持続可能性により注目したものです。

人的資本経営に関して詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

人的資本の開示に関する動き

アメリカの証券取引委員会(SEC)は2020年にすべての上場企業に対して、国際標準化機構が定めたISO30414に基づいた情報開示を義務づけました。

東京証券取引所でも2021年に「コーポレートガバナンス・コード」を改訂し、補充原則3-1③において上場企業へ人的資本の情報開示を求めるなど、具体的な動きが出ています。さらに、日本政府は2023年度以降、有価証券報告書において人的資本の情報開示を義務づける方針を打ち出しました。

このように、人的資本の情報開示を求める動きは国内外で活発化しているため、各企業もそれに対応していく必要があります。なお、情報開示の在り方については、2022年に内閣官房非財務情報可視化研究会が「人的資本可視化指針」を提示しているので、参考にしてみるとよいでしょう。

そして人的資本の情報開示規格「ISO30414」の存在も見逃せません。これは、人的資本に関する情報開示のガイドラインであり、国際標準として制定されました。世界で人的資本経営への動きが加速化する今日、日本企業にも、この基準に沿った情報開示が求められ始めています。適切に開示できれば、国内外で自社価値を高く判断してもらうことにもつながります。詳しくは下記を参照してください。

人的資本は企業の成長に不可欠

人的資本経営とは、従業員のスキルや能力を企業の持続的な成長に欠かせない無形資産として捉え、戦略的に投資していく取り組みです。

人的資本経営の推進には、従業員データの適切な可視化と活用が不可欠です。しかし、多岐にわたるデータの収集と分析には、多くの時間と労力がかかるのが現状です。

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