人事労務の存在価値を高めたい。付加価値を生み出す人材育成を実現する
- 公開日
目次
「PARKの人びと」は、SmartHRが運営するユーザーコミュニティ「PARK」に参加する人事・労務領域で活躍する方々のキャリアに焦点を当て、お話を伺うインタビュー企画です。
第2回目に登場いただくのは、アディッシュ株式会社の田島 穂隆さんです。管理本部に所属し、総務、法務、人事、労務、インフラ、情報セキュリティの各担当メンバーを統括する立場で活躍されています。
事業会社として急成長を遂げる同社を環境面から支える田島さんに、これまでのキャリアと今後の野望、そしてバックオフィスメンバーに対する想いを伺いました。
労働法を詳しく知らないと気づき、興味が湧いた
これまでのキャリアの変遷を教えてください。
田島さん
大学では経営や経営に関する法律を学んでいました。卒業後は飲料メーカーや通販会社、生協などに在籍。営業や物流管理、人事、商品開発、約300名規模の事業所のセンター長など幅広く業務を経験しました。
その後、2014年に当時在籍していた株式会社ガイアックスから新設分割により設立されたアディッシュ株式会社に、管理部の立ち上げメンバーとして転籍しました。労務を軸に制度設計、人事労務システムの導入などにも携わりました。
2020年3月にはアディッシュが上場。以降は上場会社としての業務が加わり、会社法周辺の業務やストックオプションの発行などにも携わり、現在に至ります。
キャリアの初期では、バックオフィスに限らず幅広く業務を経験されていたのですね。
田島さん
採用や労務の経験はあるものの、あくまでも複数経験した業務のなかの1つでした。
社会人当初は、お客さまに向き合う仕事に夢中になっていたんです。BtoB営業も経験していますが、BtoC営業も行なっていました。お客さまの反応もよかったので、自信につながりましたね。何より楽しかったです。
ただその先も長く続けるイメージをもてなかったこともあり、転職しました。その後もこれがやりたいという職務はとくになく、環境が変わる度に任された業務に精一杯取り組む日々でした。
そのような過程を経て、株式会社ガイアックスに入社したのがちょうど30歳の頃。その時期に「自分は今後、何を専門にしていきたいのか?」と考える機会がたまたまありました。そこで自問した結果、バックオフィスの専門職を目指すという結論に至ったんです。
それはなぜでしょうか?
田島さん
過去に在籍した企業のなかには、タイムカードの記載が実勤務と異なって記録されている場面に遭遇したことがありました。また、時季変更ではなく上司の意思により従業員が自由に有給休暇を取得できないような会社もありました。労働環境に対するモヤモヤを感じつつも、そもそもそういったやり方をしないと経営は成り立たないのだろうかと純粋な疑問が湧きました。
そこでたどり着いたのが労働法です。働くうえでの基礎となる労働法について詳しく理解していないと気づき、いっそ極めてみたらどうかと思ったんです。バックオフィスの種類もさまざまありますが、労務を志したのはそのような経緯です。
キャリアの転機になった自社の「意思表明制度」
ご自身の経験と疑問がもとになり、労務を目指されたのですね。その後のキャリアで大きかった転機は何ですか?
田島さん
弊社には、中期的なキャリア計画を実現するための支援として「意思表明制度」があるんですね。
たとえば新しくポジションができたり、ポジションが空いたりしたときは、社外に採用をかける前に社内で意思表示した人に声をかけています。
もともとチャレンジすることを良しとする土壌があり、そのような制度もあったので、私も「自分はこういう経験があり、将来的にはバックオフィスを希望します」と表明していたんです。意思を汲んでもらい、アディッシュ設立とほぼ同じタイミングで労務としてアサインしてもらえました。これが1番大きな転機だったなと思っています。
地元・九州を離れて東京に出ることを決意
その後は、福岡拠点長を経て、労務担当、人事総務部長、管理本部長と次々に肩書が変わっていったと伺っています。
田島さん
当初、私は福岡センターの管理者だったこともあり、キャリアチェンジしてもそのまま弊社の福岡センター内で労務担当として勤務していました。ただ、ほとんどの労務系の書類は東京本社に集約されるため、当時は社保や雇保などの手続き以外の書類や実務にあまり触れる機会がありませんでした。
ちょうどその頃、上司の小澤とその先のキャリアについて話をする機会があったんです。その時、小澤からは「東京本社に異動してキャリアを積んでいく気持ちはある? それとも地元の九州に残って同じ仕事を続けていくか、どうする?」と。
私はすでに家庭を持っておりましたが、さらに幅広い知識や経験を得たいと考えて東京本社へ異動することに決めました。そして東京に移ってからも引き続き労務を担当し、1〜2年ほど経過した段階で人事総務部長に抜擢していただきました。
地元の九州を離れて東京に出るとは、大きな決断ですね。
田島さん
だいぶ大きかったですね。私も妻も九州の人間なので、そのまま残れば実家にもすぐ帰省できます。東京に居を移せば、年に一度帰省できるかできないかになるので、私生活を含めて大きな決断でしたね。
ご家族は反対されなかったんですか?
田島さん
反対はなかったですが、「よく考えて決めてほしい」とは言われました。「本気でやるつもりだったら賛成するけど、なんとなくならやめてほしい」と。子供もいるので当然ですよね。ただ、気持ちはすでに固まっていたので、迷わず東京に行く旨を伝えました。
ご自身の今後のキャリアを見据えて、強い気持ちで東京行きを決断されたのですね。
田島さん
そうですね。ただ、部長になりたいとか本部長になりたいといった気持ちがあったかというとそうではなく、あくまでも自分の業務の幅を広げたいという一心で東京に来たというのが正直なところですね。
キャリアに大きな影響をもたらした2人の人物
これまでのキャリアのなかで、とくに嬉しかったできごとは何ですか?
田島さん
さきほど上司である小澤の話が出ましたが、私のなかでは彼の存在が本当に大きいんです。経験や知識も豊富ですし、難しい案件になると小澤が一任されるくらい社内からも信頼が厚い人物です。そういった小澤が担当してきた業務を徐々に私が対応するようになり、任せてもらえる範囲が広くなったと感じた瞬間はとても嬉しかったですね。
それこそ30代の頃にどう専門性を高めていこうかと考えていたことがリンクしている実感があり、改めて当時の判断は間違えていなかったと思いました。
身近に尊敬できる方がいるのは大きいですね。
田島さん
身近といえば、小澤ともう1人、代表の江戸です。この2人がいるからこそ、アディッシュに自分が存在していると言っても過言ではありません。
江戸さんはどのような存在ですか?
田島さん
江戸は、ミッション・ビジョンに即した事業を意思をぶらさずに推進していて、大変だけど経営を楽しんでいるように感じます。
私は自分が経営者になって何かを成し遂げるよりも、裏方が良いというタイプ。「理想を実現するために邁進する人」を側で支えたいタイプなんです。だからこそ、江戸のそういう真っ直ぐな部分に惹かれますね。
専門性の高い会話ができたときにやりがい感じる
仕事のやりがいや楽しさを感じるのは、どんなときですか?
田島さん
労務を選んだ理由にも紐づきますが、自分の知識や経験が蓄積されていると感じたときです。たとえばPARKでもそうですし、社労士の方や他社の人事・労務の方と専門性の高い会話ができたときに、これまで頑張ってきたことが活きていると思えて、やりがいや自分の成長を感じます。
社内ではメンバーを管理する立場として会社の組織づくりに貢献されているぶん、自然と視座も高くなりますね。
田島さん
そこまで大げさなものではないですが、日頃から俯瞰して“枠”を見るようには意識しています。私がメンバーと同じ立場で労務に向き合ってしまうと意味がないので、違う視点で見るよう心がけています。その結果、たまにメンバーと意見をぶつけ合ってしまうこともありますが(笑)。
そうなのですね!
田島さん
「手続きをする立場ではそうなるけど、経営目線で考えるとこの方法のほうが会社としてはメリット大きいよね?」といった具合です。メンバーの意見も的確なので理解できることがほとんどです。
一方で、会社全体の最適解を考えることも大事なので、その点でメンバーとも丁寧に意見をすりあわせることも重要だと考えています。
育成を通じて人事労務の存在価値を高める
最後に、これから田島さんが実現したいことを教えてください。
田島さん
やはり、人を育てていきたいと考えています。「アディッシュのバックオフィスってすごいよね」と思ってもらえるような人材を育てていきたいですね。
私のミッションはメンバー個人のスキルを上げること、管理部内の適正化を図り業績に貢献すること。そして、高いスキルをもった人材がそれに見合った評価や報酬が得られるような仕組みをつくることだと思っています。
その背景にある想いを聞かせてください。
田島さん
バックオフィスのメンバー、とくに人事労務は業務に対して評価が低く感じる場面がまだまだ多いと感じているんです。一方で、法律に従って単に何かの手続きをするだけでは、評価は上がりにくいと思っています。
であれば、手続きを行なうだけではなく、経営施策に対して人事労務視点での提案・改善や、人的リスクと経営とのバランスを取りながら対応するなどの動きも必要です。そのように経営と一体となって考えられる人材を育て、経営側からも評価されやすい土台をつくることが重要だと考えています。
人事労務を専門職として志す人が経営にも密接に絡み、従業員から感謝され経営側からも評価される。その結果「人事労務職に就いて良かった」と思ってもらえるようにしたい。私自身はそこを1つの野望として、今後実現していきたいと思っています。
付加価値を与えられる人材を育成して、人事労務の存在価値を高める。メンバーの皆さんの今後のキャリアにもつながる素敵な野望ですね。貴重なお話をありがとうございました!
お役立ち資料
納得感のある人事評価を実現。組織を成長させる15のキーワード
この資料でこんなことがわかります
- 結果を出す企業が取り入れている15のキーワード
- OKRやMBO、FASTの法則など、話題のキーワードを解説
- 自社の人事評価・人材育成に活かせる知見が満載