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経営者が本気にならないと「残業時間」は一向に削減できない


こんにちは。社会保険労務士の篠原宏治です。

国が一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジと位置付ける「働き方改革」の流れを受け、残業削減や業務効率化などの労働時間の縮小化が推進されています。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が、毎年新入社員に対して行っている意識調査アンケートでは、今年度初めて「給料が増える」ことよりも「残業がない・休日が増える」ことを求めるという回答が上回る結果となりました(*1)。

残業削減や業務効率化は、今や健康障害の防止だけでなく人材確保の観点からも取り組まなければならない課題と言えます。

しかし、むやみに労働時間の縮小化を進めると、サービスやプロダクトの質の低下、社員の不満の増加など、「事業運営への悪影響」を生じさせることにも繋がりかねません。

残業削減や業務効率化に向けた建設的なフローとして、何から行い、どのように労働時間の縮小化を進めることが理想的と言えるのでしょうか?

最初に行うべきは「経営者の本気度」を社員に示すこと

「労働時間の縮小化」を進めるにあたって必ず最初に行わなければならないことは、残業削減の目標を定めて、その達成に向けて経営者が社員に本気度を示すことです。

例えば、人事制度「ハタカク!」を推進し社員6割の生産性向上に繋がった株式会社クラウドワークスでは、その制度の一環である「リモートワーク」を役員自ら率先して活用するなどし、社員に浸透するよう働きかけたようです。

このように社員は、経営者や役員の意思や意向を汲み取って行動します。逆に、経営者自身が「業務があるから残業は仕方がない」という考えに捉われていると、社員もそのような考え方からいつまでたっても脱却できません。

業務の進捗状況に関わらず、あらかじめ決めた時間には必ず退社させることを徹底するなど、まずは、本気で残業削減に取り組んでいることを社員に伝えることが重要です。

各社員が「業務効率化」を意識して働く風土づくりを

労働時間の縮小化を進める上で理想的なのは、社員一人ひとりが普段から効率化を意識して業務を行う社内風土を作り上げることです。

長時間労働の要因や残業削減のために解決すべき問題は会社によって異なります。そのため、労働時間の縮小化に向けて具体的に取り組むべきことも会社によって様々です。

よくある対策としては、

・無駄な会議や資料作成の廃止
・決裁ラインの見直し
・人材配置の適正化

などが挙げられます。会社によっては、新しい機械設備やシステムを導入することで、大幅に作業効率を上げられるということもあるでしょう。

こういった対策はもちろん重要ですが、社員に業務効率化の意識が定着しない限り、その場しのぎのものにもなりかねません。

しかし、社員が常に業務効率化の意識をもって働くようになれば、新しい業務を行うことになった場合であっても、無駄なく仕事を進められるようになります。

業務効率化意識を高めるための「仕組み作り」が重要

社員に業務効率化の意識を持たせるためには、業務効率化を進めて残業時間を削減した社員に、適切なインセンティブが与えられる仕組み作りなどが重要です。

業務効率化に対するインセンティブとしては、賞与・昇給・昇格などへの反映などが考えられます。

業務効率化の提案制度を導入して、案の提案者や採用者に報奨金を支給するというのも、社員に業務効率について考える習慣を身につけさせる有効な方法となりうるでしょう。

業務効率化や残業削減の取り組みは、社員、そして経営者自身の「意識改革」と言っても過言ではありません。

「長く働くこと」よりも「早く帰ること」への評価を

今回お話したように、効率化や残業削減には、経営者自ら本気度を示し「風土」「仕組み」から抜本的な改善を図ることが大切です。

小手先だけの対策にならぬようサービスやプロダクトの質を担保しつつ、「長く働くこと」よりも「早く帰ること」を評価する会社を目指していきましょう。

【参照】
*1:2017(平成 29)年度 新入社員意識調査アンケート結果 – 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

特定社会保険労務士 篠原 宏治

社会保険労務士事務所しのはら労働コンサルタント代表。元労働基準監督官。特定社会保険労務士。労働基準監督官として残業代不払いや長時間労働などの労働問題に関する数多くの相談対応、監督指導(臨検)、強制捜査などを行ってきた経験を活かし、「労働問題に強い社会保険労務士」として、労使双方からのご相談に対して実務的な助言やコンサルティングを行っています。社会保険労務士事務所しのはら労働コンサルタント
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