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会社は「社員個人のSNSアカウント」を管理・規制できるのか?

2017.05.30 ライター: 社会保険労務士 吉田 崇

昨今、FacebookやTwitter、Instagramなどに代表される「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」は情報収集や拡散のツールとして、我々の生活に非常に密接に入り込んでいます。

「知る人ぞ知る商品やサービス」が、誰かの投稿をきっかけに「バズ(口コミにより爆発的に話題になること)」を生み、急速にブレイクするということが、日常的に起こるようになりました。

その一方で、SNSは使い方を一歩間違えると、自らが大ダメージを受ける「諸刃の剣」でもあります

個人のちょっとした発言が本人の知らぬ間に拡散され、個人アカウントはもちろん所属企業まで地獄の業火のごとく炎上し、向こう数年ぺんぺん草も生えない焼け野原になってしまう、なんてことも珍しくありません。

そこで今回は、「社員個人のSNSアカウント」を管理する際の注意点について解説します。

会社は「社員個人のSNSアカウント」を管理しても良いのか?

現代社会において、SNSは「即効性と影響力」があるがゆえに、企業にとっては魅力的なマーケティングツールとして積極的に利用していきたい一方、自社の評判や信用を落とすリスクもあり、その取り扱いには慎重にならざるを得ません。

最近では、従業員が自社の機密に該当する情報をうっかり投稿したり、不適切な動画や写真を配信したりすることで、会社の信用が貶められる事態を避けるために、社員個人のSNSアカウントを会社に申請させるという会社もあるようです。

しかしながら、企業秩序を維持するためとはいえ、従業員の私生活にここまで会社が介入してしまうのは、必要性と合理性を欠くといえるでしょう。

「会社の評価を落としうるSNS投稿の規制」は合理的

ただし、会社名を全面に押し出したり、会社の肩書きを用いたプロフィールで運用している場合(「〇〇会社 営業 山田一郎」といったような)、そこで発信される情報が密接に会社の情報と結びついている印象を受け手に与える可能性が高く、アカウントを届け出させることの必要性が認められる場合もあります

このように、従業員による就業時間外のSNSの利用を企業が制限することは難しいのが現実ですが、「会社の社会的評価に重大な悪影響を及ぼす従業員の行為については、それが私生活上で行われたものであっても、会社の規制を及ぼしうることは当然認められなければならない」という最高裁での判例があります。

それに則り、就業規則等による「会社の評価を落としうるSNS投稿の規制」は、十分に合理性があると言えるでしょう。

例えば、

・顧客情報や機密情報に関する投稿
・著作権や肖像権などを侵害する投稿
・会社の戦略や業績に関する投稿

などを具体的に明確に禁止することはもちろんのこと、自社の従業員としてふさわしくない投稿(他人を中傷する投稿等)についても、控えるように明記しておくことも可能です。

また、違反した場合の懲戒についても明示しておきましょう。

マーケティングツールとしてSNSを活用するには公式アカウントを

さて、SNSの厄介な面ばかりを書いてしまいましたが、前半部分でも述べたように、SNSは企業のマーケティングツールとして非常に魅力的であることも事実です。

ただし、このようにマーケティングツールとして利用する場合は、公式の企業アカウントを作成し、SNSを運用するための担当者をきちんと選任するようにしましょう。

守りに入りすぎたPR投稿は、ありきたりすぎてシラけてしまいますが、あまりに悪ノリが過ぎると、これまたすぐに炎上してしまいます。

そのあたりのギリギリのラインを見極め、人の注目を集める投稿ができるネットリテラシーに長けた人材は、今後ますます重宝されそうですね。

社会保険労務士 吉田 崇

よしだ経営労務管理事務所代表。関西を中心に、社長と従業員が安心して働ける職場環境作りをモットーに多くの事業所と顧問契約し、 労務管理で成果を上げる。通常の社労士業務の他に、集客、ブランディングコンサルタントとしての実績も多数。一級カラーコーディネータの資格を有し、ポスターやロゴ等のデザイン業務やWeb制作も行う個性派社労士。よしだ経営労務管理事務所 公式サイト
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