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法律違反になりかねない「採用面接での質問事項」とは?

2017.07.07 ライター: 弁護士 浅野 英之

こんにちは。浅野総合法律事務所 代表弁護士浅野英之です。

このところ、多くの企業が将来的な人手不足を懸念しています。その背景要因としては「人口減少」「生産年齢人口の減少」が大きいでしょう。

そんな時代を会社として生き残るには、「採用」だけでなく「入社後のエンゲージメント」は非常に重要になってきます。折角採用しても、すぐ辞めてしまっては意味がありません。長く勤続する上で、大前提としてその企業のビジョンや理念を理解し、幸せに働けるかどうかが決め手となるでしょう。

そのためには、採用面接において、如何に会社にマッチした優秀な人材を確保できるかが問われます。

採用活動では、「どういう求職者を採用するのか」については会社側が自由に決めることができるのが原則です。したがって、採用面接時に、会社が採否の判断をするにあたって必要な事項は、当然質問することができます。

しかし、実際には、違法になりかねない質問もあるので注意が必要です。

「基本的人権」の観点から聞いてはいけない質問例

会社側は、どの求職者を採用するか自由に決められる、という「採用の自由」があり、また、その際に必要事項を調査することができる、という「調査の自由」もあります。

もっとも、「自由」といっても完全に自由ではなく、法律による一定の定めがあります。労働者にも「基本的人権」があるからです。

以下に、その該当項目例を解説します。

(1)本籍や住所に関する質問

まず、本籍や住所に関する質問は、採用面接で聞いてはいけない質問のひとつとして挙げられます。

本籍や住所は、差別につながる可能性が高い個人情報だからです。回答によっては、同和地区や外国籍であることを理由に差別され、採用対象から排除される懸念もあります。

たしかに、本籍や住所は、場合によっては自分で変更することができます。

しかし、本籍は、生まれ持ったものであり、容易に変更することはできません。

(2)家族や財産に関する質問

次に、家族やその財産に関する質問も、そのひとつです。

家族やその財産に関しては、本人の努力によって変えられるものではありません。

特に「家柄」については注意が必要です。「家柄」を重視することは、前近代的な身分制による差別を受け継ぐことになるからです。

(3)思想・信条・宗教に関する質問

思想や信条、考え方、世界観、宗教に関する質問も、そのひとつです。

そもそも思想や宗教などは、憲法で「思想の自由」や「信仰の自由」として保障されています。

このような内心に関する質問を、採用面接で尋ねることは控えましょう。

(4)健康に関する質問

健康に関する質問の中で、エイズや肝炎にかかっているかどうかという質問も、採用面接で聞くべきでない質問のひとつです。

エイズや肝炎は、会社の業務を遂行する上で他の社員にうつる可能性はありません(*1)。

非常にセンシティブな情報ですので注意して下さい。

どうしても質問したいときはどうすべき?

以上で解説したような、聞くと違法になってしまうような質問以外にも、聞かない方がよい不適切な質問は多くあります。

しかし、採用面接の際、「不適切かも?」と不安に思ったとしても、どうしても聞きたい、ということもあるでしょう。

特に、採否の判断にあたって重要な影響を及ぼす場合には、聞かざるを得ない場合もあります。

採用面接の際の質問が、違法ではないか? 不適切ではないか? と、判断に迷った場合には、会社の業務にとって必要不可欠な事項といえるかどうか、検討してみましょう。

必要不可欠であるといえる場合には、その質問がなぜ会社の業務にとって必要不可欠なのか、あらかじめ求職者に説明する、という手順を踏めば、回答を求めることが許される場合もあるからです。

【参照】
*1:職場とHIV/エイズハンドブック – 東京都福祉保健局

弁護士 浅野 英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。企業側労働問題を得意とする石嵜・山中総合法律事務所にて、数多くの労働相談対応、顧問先企業の労務管理を行ってきた経験を活かし、「労働問題に強い弁護士」として、企業側だけでなく労働者側の相談にも対応。労働問題のスペシャリストとして活動中。特に成長中のベンチャー企業、中小企業の人事労務のコンサルティングに定評がある。 【企業向けメディア】ビズベン!企業の労働問題解決ナビ
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