社労士が選ぶ「算定基礎届あるある」ランキングTOP5
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さて、社労士界における6月のメインイベント「労働保険の年度更新」がやっと一息ついたと思ったら、すぐさまやってくる7月の「算定基礎届」の提出。社労士殺しの憎いヤツ……。
ここで、改めて算定基礎について説明しますと、毎年7月1日現在の社会保険被保険者全員について、その年の4月・5月・6月に受けた賃金に基づき、9月以降に適用される新たな標準報酬月額(社会保険料や給付額の計算基礎となる報酬額)が決定するわけですが、その申請をするための書類が「算定基礎届」となります。
今回は、そんな「算定基礎届あるある」やその注意事項をランキング形式で紹介します。チェケラ!
第5位 報酬月額に「通勤手当」を含めるのを忘れがち
所得税などと違い、社会保険の報酬月額には通勤手当も含まれます。
基本的に、各種手当なども含め毎月コンスタントに支払われているものは、すべて「報酬」として扱われますので注意しましょう。
第4位 「支払基礎日数」を書き間違いがち
報酬月額には、実際にその月に支払った給与額を記載します。例えば末締めで、翌月10日支払いの場合ですと、4月の欄には4月10日に支払った給与額を記入します。
一方、支払基礎日数は、その4月10日に支払った給与の計算基礎となった日数、つまり3月の日数を記載します。つまり月給制の場合ですと、4月・5月・6月の支払基礎日数はそれぞれ、31日・30日・31日となります。パートさんなど時給や日給で支払う人の場合は、それぞれ実際の出勤日数を記載します。
なお、パートさんの場合は、備考欄に「パート」と記載するのもお忘れなく。
第3位 総括表の○調マークに、「ついに来たか・・・」という気持ちになりがち
これは完全に社労士あるあるですね。
現在ほぼ4年に1度、すべての事業所で、きちんと社会保険に加入すべき人を全員加入させているか、月額変更や、賞与支払届などがきちんと提出されているか、といったことが調査されます。またこの調査は「定時決定調査」として、この算定基礎届の提出の際に同時に行われることが多いです。
この調査対象に選ばれた事業所に送られてくる「算定基礎の総括表」には、調査の「調」を丸で囲んだ印鑑が押されて来るのです(もしかしたら、地域によって少し違うかも知れません)。
まあ、特にやましいことがなければ、賃金台帳や源泉の領収書などの書類を準備して年金事務所に赴き、ものの数分で終わる調査なのですが、まあ、やはり「調査」という響きには何となく身構えてしまいますよね。
第2位 「算定の対象月」の取り扱いをミスりがち
算定の対象となるのは、上記の支払基礎日数が17日以上ある月となります。17日以下の月については記載はしますが、平均額の計算には含めません。
また例外としまして、途中入社で給料が1ヶ月分支給されない社員については、その入社月の支払基礎日数が17日以上あっても、その月については算定対象月に含めず、翌月からが算定対象月となります。
1位の発表の前に、労務担当の皆さんに朗報です!ロクイチ報告、年度更新、三手基礎届と、労務業務の繁忙期はミスも起こりがち。これを機に業務の効率化を検討してみてはいかがでしょうか?
以下の資料にポイントをまとめましたので、ぜひご活用ください。
第1位 「4月昇給者」の取り扱いをミスりがち
さて、栄えある1位はこちら! 「4月昇給者」の取り扱い。
4月に昇給して、標準報酬月額が従前より2等級以上上がる社員については、9月の定時決定を待たずに、7月から標準報酬月額が変更となります。
このような社員についての算定基礎届については、備考欄に「4月昇給、7月月変該当」と記載し、算定基礎届と同時に月額変更届を提出する必要がありますので、ご注意を。
また、5月、6月に昇給して、標準報酬月額が2等級以上変わる場合についても、備考欄にその旨記載し、昇給から3ヶ月分の支払いが完了した時点で、月額変更届を提出します。降給の場合の取り扱いも同様です。
夏はすぐそこ!忙しかった6〜7月よ、さようなら
とまあ、算定基礎届の記入で気をつけるべき注意事項をあるある形式でお届けしましたが、届出自体はそんなに身構えるようなものでなく、ササッと記入して郵便で送るか、あるいはSmartHRでも7月4日から実行可能になる「電子申請」で、さらに簡単に提出できるようになっていますので、パパッと終わらせてしまいましょう。
さあ、算定基礎届の提出が終われば、ついに今年も夏がやって来ますよ!