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モンスター化した新卒・若手の「パワハラ騒ぎ」。でも向き合うべきは“若さ”ではない?

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「最近の若者は……」

なんてことを言い出すと、若者からは「やれやれ、これだからオヤジは嫌だね」と煙たがられるわけです。

古代エジプトの壁画にも『最近の若者はなっとらん!』と書かれていたとかいないとかって話もありますが、結局のところ「最近の若者は……」なんていうのは、世代間のギャップや、歳をとるとともに考え方が変わったことによる、主観の変化でしかないわけです。

世間を賑わせている19歳の警察官が教育係であった先輩の警官を射殺した事件についても、「最近の若者の堪え性の無さが生んだ悲劇」という風潮がありますが、このようなケースが若者の堪え性の無さを示す根拠になるかといったら、それはまた別問題でしょう。

新人や若手社員の「パワハラ騒ぎ」の原因は、若さが故ではない?

とはいえ、ここのところ、上司から少し注意されたり指摘されたりしたくらいで「パワハラ扱い」する新人や若手社員が、どうやら増えているようです。

つい先日、ダイヤモンド・オンラインでも「新人を軽く注意したら即無断欠席、そのまま退職しパワハラで300万円要求!」という記事が掲載され話題になっていました。

社労士としての私の経験においても、確かに経営者の方々から「最近の若い人たちの扱いは難しい……。」というご相談を受けることが多くなりました。

ただ、個人的には、これらの原因は「現代の若者」ということよりも、昨今の「少数意見が過剰に尊重される風潮」にあるように思えます。

少数意見の過剰な尊重が生んだ弊害

確かに少数意見を尊重すること自体は重要ですが、昨今では、マイノリティーの意見がSNSやネットニュースなどを通じて拡大再生産され、まるでその少数意見が世間の見解であるかのように拡散されてしまうケースが増えています。

また、それに対し少しでも反論しようものなら、一斉に集中砲火を浴びたちまち炎上するという、まさに「言いたいことも言えないこんな世の中は」状態。

一昔前であれば、問題になりようもなかったことでも、昨今の少数意見が過剰に尊重される風潮により、騒ぎ立てれば自分のエゴがまかりとおると考える人も増えているように感じます。

パワハラを盾にする「モンスター従業員」への対処

そんな中、増えてきたのが、

「私が少しでも不快に感じたら、それはパワハラだ!」

という、自己中心的な理論を振り回し、それが正義であると勘違いしている「モンスター従業員」の存在です。

会社としてはとても頭の痛い問題。これはもはや「若者だから堪え性が無いんだ」という類の話ではなく、年齢問わずこのようなトラブルの火種があちこちに潜んでいるといえるでしょう。

では万が一、従業員から「パワハラ」と指摘され弁護士等に相談が行った場合、会社としてはどのような対応をとるべきでしょうか?

「パワハラ」に該当する事実があったのかを徹底的に調査すべき

重要なのは、本当に「パワハラ」に該当する事実があったのかどうかの調査を徹底的に行うことです。できる限り当事者全員から聞き取りを行い、それが「適切な指導」の範囲内であるかどうかを確認します。

それが第三者的にみても「パワハラ」に該当するようなものではないと判断した場合は、毅然とした態度で冷静に対処することが重要です。

まともな弁護士であれば、きちんと事実を説明すれば、それで勝ち目がないと判断し、その時点で手を引くでしょう。

それでも争いになる場合、然るべき専門家に相談

仮に、それでも争う姿勢を見せた場合は、会社も弁護士など然るべき専門家に相談し司法に判断を委ねる意思を表明します。

このようなモンスター従業員に対しては、内部で独自に処理しようとはせず、あくまでも冷静に、法やルールに則って粛々と対応するのが最善です。

もちろん、実際にパワハラに該当する事実があるのであれば、これは由々しきことですので、会社としてしかるべき対処を行い、再発防止に努めるのは当然のことです。

おわりに

実際にパワハラに該当する事実があったとしても、「若者だから堪え性が無いんだ」という固定観念が、事実を見えなくさせてしまうような危険も考えられます。

そのため、どのようなハラスメントトラブルにおいても傾向や印象に惑わされることなく、事実に対して冷静に向き合うことが求められるでしょう。

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