マイナンバー法改正! 取扱いの注意点と、企業が整えるべき管理体制

こんにちは、株式会社Flucle代表取締役 社会保険労務士の三田です。

2021年度の通常国会で、「デジタル社会の形成を図るための法律の整備に関する法律」が成立しました。それに伴い、2021年9月1日には個人情報に関係する「マイナンバー法」が一部改正されました。

目的は、今後のデジタル社会の形成に向けて国民が安全で安心して過ごし、個人の権利利益などを保護できるようにすることです。今回は、その改正内容と注意点、企業が整えるべき管理体制について解説します。

改正内容の概要

マイナンバー法の改正により、従業員等の転籍・退職などがあったときに、本人の同意があれば、特定個人情報を転籍・退職前の企業から転籍・再就職などをした企業へ提供できるようになりました。

特定個人情報とは、マイナンバーを含む個人情報をいいます。

番号法(以下、マインナンバー法)により、利用できる範囲が「税・社会保障・災害対策」のみと限定されています。

それに対し個人情報とは、生存している個人について、特定の個人を見分けられるる情報で、個人情報保護法により情報の定義や取扱いなどが定められています。その中でも、生存している人のマイナンバーは特定個人情報にあたり、取扱いが制限され、漏えいなどが起きると厳しい罰則があります。

改正前は、従業員等はそれぞれの企業へ特定個人情報を提供する必要がありましたが、改正後は従業員等が転籍・退職などで勤務先の変更があっても、改めて特定個人情報の提出、本人確認をする必要がなくなりました。

結果、企業と従業員ともに負担が軽減されます。

マイナンバー法改正後イメージ

(出典)内閣官房IT総合戦略室 デジタル改革関連法案準備室 総務省自治行政局『デジタル改革関連法案について』P17

では、あらためて企業がマイナンバーを収集する際の注意点や管理方法についてご紹介していきます。

従業員等からどうやって同意を取るか

同意は、勤務先が決まった以後に従業員等から取らなければなりません。採用時に取得したり、就業規則への規定や雇用契約書に項目を設けたりでは、同意がなされたと認められません。

同意の取得は、従業員等が以下を認識したうえで行ってください。

  • 特定個人情報が転籍・退職などをする企業から転籍・再就職先などの企業へ提供されること
  • 提供される情報

同意を取得する方法は、

  1. 口頭
  2. 書面
  3. 従業員等から同意する旨のメールを送信

などが一般的です。

マイナンバーはどうやって送付されるのか

マイナンバーは、お住まいの市区町村から送付されます。

2016年1月からスタートした制度で、当初は「通知カード」が送られてきていました。しかし2020年5月25日、通知カードは廃止され、代わりに「個人番号通知書」が送付されるようになりました。

通知カードと個人番号通知書は、どちらもマイナンバーを本人に知らせるためのものですが、違いがあります。

【通知カード】

通知カードは、マイナンバーの証明に使えます。

ただし、マイナンバーの本人確認のために身分証明(免許証など)が必要です。

通知カードイメージ

(出典)総務省『通知カード』

【個人番号通知書】

個人番号通知書は、マイナンバーを本人に知らせるためだけの通知書で、マイナンバーの証明に使うことはできません。

マイナンバーを証明するためには、マイナンバー入りの「住民票の写し」または「住民票記載事項証明書」と本人確認のために身分証明(免許証など)が必要です。

個人番号通知書のイメージ

(出典)マイナンバーカード 総合サイト『個人番号通知書について』

通知カードと個人番号通知書の他に、市区町村に届出すれば発行される「マイナンバーカード」があります。

マイナンバーカードは、マイナンバーの証明と本人確認の両方が可能です。

マイナンバーカードのイメージ

(出典)総務省『マイナンバーカードの様式について』

マイナンバーを集める

企業がマイナンバーを集めることは義務ですが、従業員等による企業へのマイナンバー提出は任意です。そのため強制的に提出させることはできません。

a.利用目的を明確にして、従業員等へ説明する

マイナンバーは社会保険、雇用保険、税金に関する手続きなどに必要です。

本人がマイナンバーの提出を拒否したときは、その旨を記載した書面(任意書式)を提出してもらうようにしてください。

b.本人確認を実施

マイナンバーを集める際は、「マイナンバーの確認」と「本人確認」の2つが必要です。

確認にあたり、必要な証明書は下記になります。

  • マイナンバーカード:他の証明不要
  • 通知カード:顔写真つきの身分証明書(免許証など)
  • 個人番号通知書:「住民票の写し」または「住民票記載事項証明書」と身分証明証(免許証など)

身分証明書がないときは、年金手帳、健康保険証など2つ以上の証明書が必要です。

詳細は下記の「本人確認の措置」を参考にしてください。

(参照)内閣府『マイナンバー(社会保障・税番号制度)本人確認の措置』

c.扶養家族のマイナンバーを提出してもらう

扶養家族のマイナンバー提出における本人確認は原則不要です。扶養家族のマイナンバーカードのコピーや身分証明証を提出してもらう必要もありません。

ただし配偶者を社会保険の扶養に入れるときは、配偶者の本人確認をしなくてはいけません。直接、企業が従業員等の配偶者の本人確認を実施することは難しいため、従業員等が配偶者の代理人となってマイナンバーを提出してもらってください。

マイナンバーを保管する

集めたマイナンバーは、適切な方法で保管しなくてはなりません。

  • マイナンバー法で定められた利用範囲で手続きを行う必要があるときのみ保管する
  • マイナンバー取扱いを行う担当者以外が見れないよう保管する
    • 誰でも開けられるキャビネットやクラウドでの保管は法令違反になります。
    • 鍵付きのキャビネットを用意し、鍵は担当者のみ保持、開けるときは開閉記録をつけます。
  • マイナンバーの取扱いなどを明確にする
    • 利用範囲、取扱規定の作成、取扱者(個人番号利用事務等実施者)、管理方法などを決めておきます。

マイナンバーを利用する

利用にも注意が必要です。

  • 定められた手続きなどの範囲(税・社会保険・災害対策)以外では利用できない
  • 決められた場所で利用し、マイナンバーが他の人から見えないようにする
  • 利用範囲は、法令等で定めれらた範囲のみで、利用したときは記録を残す

社内の従業員番号に使うなど、法令で定められた以外の利用は法令違反になります。

マイナンバーを破棄する

利用しなくなったマイナンバーは、正しい方法での破棄が必要です。

税金、社会保険、雇用保険の関係手続きで一定の保存期間が義務付けられているときは、保存期間が終了した時点で破棄します。

税金関係は一番長く保存期間が7年、社会保険、雇用保険関係は2年となっています(雇用保険の被保険者にかかわる書類は4年)。

破棄の方法は企業で決めて構いません。

  • 書類ごとに破棄をする
  • マイナンバーだけ復元できない程度にマスキングする

などを実施するのが一般的でしょう。破棄または削除したときの日付や、その方法などの記録は残しておいてください。

マイナンバーの取扱いには注意点が多く、上記以外にもたくさんあります。ポイントをまとめた資料を参考にしてください。

(参照)個人情報保護委員会『特定個人情報を取り扱う際の注意ポイント令和3年7月個人情報保護委員会』

漏えいしたときは罰則が重い

マイナンバーの漏えいには罰則があります。

企業だけでなく、マイナンバーの取扱者も罰則の対象になるので、リスクを知って正しく管理してください。

故意の漏えいではなくても、状況に応じて個人情報保護委員会から管理などの改善命令が出されることがあり、それに従わないときは罰則が適用されるケースもあります。

また、過失があったときは、罰則以外に漏えいされた人から損害賠償請求をされる可能性もあります。

同種法律における類似既定の罰則
対象 行為 マイナンバー法の法定刑 行政機関個人情報
保護法・
独立行政法人等
個人情報保護法
個人情報保護法 住民基本台帳法
特定の公務員が対象 情報提供ネットワークシステムの事務に従事する者が、
情報連携や情報提供ネットワークシステムの業務に関し
て知り得た秘密を洩らし、または盗用 【法50】
3年以下の懲役or150万以下の罰金
(併科されることあり)
2年以下の懲役
or
100万以下の罰金
特定の公務員が対象 国、地方公共団体、地方公共団体情報システム機構など
の役職員が、職権を濫用して特定個人情報が記録された
文書等を収集 【法52】
2年以下の懲役or100万以下の罰金 1年以下の懲役
or
50万以下の罰金
番号の取扱者が対象 個人番号利用事務、個人番号関係事務などに従事する
者や従事していた者が、正当な理由なく、業務で取り扱う
個人の秘密が記録された特定個人情報ファイルを提供
【法48】
4年以下の懲役or200万以下の罰金
(併科されることあり)
2年以下の懲役
or
100万以下の罰金
番号の取扱者が対象 個人番号利用事務、個人番号関係事務などに従事する
者や従事していた者が、業務に関して知り得たマイナン
バーを自己や第三者の不正な利益を図る目的で提供し、
または盗用 【法49】
3年以下の懲役or150万以下の罰金
(併科されることあり)
1年以下の懲役
or
50万以下の罰金
1年以下の懲役
or
50万以下の罰金
【法84】
2年以下の懲役
or
100万以下の罰金
誰でも対象 人を欺き、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は、財物の窃
取、施設への侵入等によりマイナンバーを取得 【法51】
3年以下の懲役or150万以下の罰金
誰でも対象 個人情報保護委員会から命令を受けた者が、個人情報
保護委員会の命令に違反 【法53】
2年以下の懲役or50万以下の罰金 1年以下の懲役
or
100万円以下の罰金
【法83】
1年以下の懲役
or
50万以下の罰金
誰でも対象 個人情報保護委員会による検査等に際し、虚偽の報告、
虚偽の資料提出をする、検査拒否等 【法54】
1年以下の懲役or50万以下の罰金 50万円以下の罰金
【法85】
30万以下の罰金
誰でも対象 偽りその他不正の手段によりマイナンバーカードを取得
【法55】
6月以下の懲役or50万以下の罰金 30万以下の罰金

(出典)内閣府『マイナンバー制度における罰則の強化』

まとめ

国はマイナンバーカードの活用を推奨しており、2021年10月からは健康保険証として使えるようにもなりました。

マイナンバーは個人の情報が紐づけされている重要な番号です。取扱いなどはマイナンバー法に従いましょう。

もし社内管理体制や取扱いに甘い点があるなら、まずは適切な取扱いになっているかどうかを確認されることをおすすめします。

株式会社Flucle代表取締役/社会保険労務士法人HRbase代表。 労務管理の課題をITで解決できる社会を目指し、顧問業務クラウドHRbase PROを開発・提供している。
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